NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は7月11日、企業のイノベーション創出および競争力強化に向けて、オープンイノベーションの現状や課題、国際比較、推進事例や成功要因などの分析をまとめた「オープンイノベーション白書」を公表した。
グローバル化の進展や市場の成熟に伴い、日本の企業は自社製品や経営資源のみだけでは、新たなイノベーションが生み出すことが厳しい状況である。外部などから技術やアイデアを取り込むことで新しい価値を創出する「オープンイノベーション」が重要視されてきている。
オープンイノベーションとは、製品だけでなくビジネスモデルやサービス提供プラットフォームの構築から、顧客体験を含めたイノベーションを生み出すことにある。オープンイノベーションの創出方法は、外部技術を社内に取り込むインバウンド型のみならず、外部チャネルを活用し、開発や製品化につなげるアウトバウンド型のイノベーションが増加している。
さらには、ハッカソンやアイデアソン、事業提携、ジョイントベンチャーなど、社内外で幅広く連携し、新製品や技術を共同開発する連携型(インバウンドとアウトバウンドの統合)、そして、産官学に一般市民も取り込んだ複数の事業者が相互の連携しあう、エコシステム型のモデルに発展している。
日本におけるオープンイノベーションの現状を見ると、大学発ベンチャー起業数は米国の10分の1の水準に留まり、企業では外部連携が進んでいるものの、自前主義の傾向が強い状況といえる。
日本でのオープンイノベーションの課題や阻害要因として、「事業部を巻き込んだ新規テーマの設定ができていない」「新規テーマの決裁権限が事業部門に委譲されていない」「専門組織がない/設置されていても機能していない」「経営層から担当者までマインドが醸成されていない」などが挙げられている。特に、10年前と比べて変化があまりみられないのが、経営層のオープンイノベーションの必要性や目的の理解が進んでいない点だ。
阻害要因
出所:オープンイノベーション白書 2016.7.11
この白書では、海外のオープンイノベーションの取り組みにおいて、世界で先行する特徴的なオープンイノベーションのエコシステムを形成するシリコンバレー、イスラエル、ドイツに加え、近年エコシステム形成の取り組み強化を見せるオーストラリアの4カ国の調査を実施している。
出所:オープンイノベーション白書 2016.7.11 オープンイノベーションを創出するエコシステムの国際比較