ガートナー ジャパンは4月5日、日本企業における統合システムの重要性の認識に関する調査結果を発表した。それによると、現在の日本企業における統合システムの導入率は約2割だが、「統合システムは重要である」との認識は、前回2015年3月時点の55.5%から2016年1月時点では49.7%に下がり、反対に「特に重要とは思わない」との認識が前年より増えていることが分かった。
(ガートナー提供)
ガートナーでは、統合システムを「サーバ、ストレージ、ネットワークのインフラストラクチャを組み合わせ、リソースのプロビジョニングと管理を容易にする管理ソフトウェアと共に販売されるシステム」と定義している。
今回の調査は、国内のIT部門の中でも特にITインフラにかかわるマネージャー向けのアンケート調査を通じ、日本における企業ユーザーのさまざまなITのニーズや課題を分析することを目的として、前回2015年3月の調査に続いて2016年1月に実施された。
調査対象は日本全国の従業員数500人以上のITユーザー企業で、回答者にはITインフラストラクチャ領域において、製品やソリューション、サービスの導入の選定に際し、決裁権がある/関与している、もしくはITインフラストラクチャの戦略に関与している役職を想定している。有効回答数はいずれも515件。
今回の結果について、同社リサーチ部門主席アナリストの青山浩子氏は、以下のようにコメントしている。
「日本における統合システムは、2015年の時点でハイプ・サイクル上の『過度な期待』のピーク期に位置していましたが、これから幻滅期に向かう中でその期待値は調整されていく局面にあります。今回の結果は、まさにこの状況を反映したものとなりました。統合システムの採用は緩やかに増えていますが、多様性が急速に広がることで、ユーザー企業にとっては製品選択が難しくなっています。統合システムは、新興プレーヤーも参入しているという側面、技術的な側面の両方でいまだ発展中であり、必ずしもすべての現行ワークロードやシステムの移行先として最適であるとはいえません。そのため、ユーザー企業は、まずは個々の製品を追求するのではなく、統合システム市場がどのように変化しているかといった全体的な視点を持ちながら、統合システムに採用されている新規テクノロジが自社にもたらすビジネスメリットやモード2型のニーズに向けた価値を探ることが肝要です」
また同社では今回の調査結果を踏まえ、日本における統合システムについて、「2019年までに、日本企業の70%以上が、統合システムの活用をIT戦略の重要事項の1つに設定する」との予測を提示した。
統合システムについては、今後は期待値が下がる幻滅期に移行するとみられるが、ITインフラの近代化を進める上で重要な選択肢であることには変わりがないと指摘。昨今のデジタルビジネスの広がりに対して、予測不能なニーズに対応できる柔軟性や、迅速に導入/変更が可能な管理容易性を備えたインフラが今後さらに必要になってくるとしている。