クラウドを活用したワークスタイル変革の推進に向けて協業した日本マイクロソフトとブイキューブ。ただ、両社はウェブ会議システムで競合関係でもある。果たして協業はうまくいくか。
協業によってワークスタイル変革を推進
日本マイクロソフトとブイキューブが先ごろ、両社のクラウドサービスを連携させると発表した。この協業によって、「ビジュアルコミュニケーション」によるワークスタイル変革を推進していくのが狙いだ。
ビジュアルコミュニケーションとは、映像と音声で離れた場所を結び、今まで移動して会わないとできなかったコミュニケーションを実現するもので、ウェブ会議やテレビ会議などに代表される。
協業内容は、ブイキューブのビジュアルコミュニケーションサービス「V-CUBE」とマイクロソフトの「Office 365」との連携サービスを開発し、2月中に提供開始するもの。同時にV-CUBEのシステムインフラを、「Amazon Web Services(AWS)」から「Microsoft Azure」へ移行。今後、両社サービスの親和性を高めるさまざまな新規ソリューションの提供により、ブイキューブは日本国内だけでなくアジア市場での展開も図っていくとしている。
ただ、気になるのは、マイクロソフトもOffice 365の1ソフトとしてウェブ会議機能を持つ「Skype for Business」を提供しており、V-CUBEと競合関係になることだ。果たして両社の協業はうまくいくのか。
競合製品の特徴を生かしてさらなる市場開拓へ
「たとえ競合製品があっても、協業によるソリューションがユーザーの利便性向上につながるのであれば、どんどん推進していくのが当社の姿勢だ」(日本マイクロソフトの樋口泰行会長)
「この協業は競合製品にとらわれるような小さな話ではない。両社でビジュアルコミュニケーションによるワークスタイルの変革を強力に推し進めていきたい」(ブイキューブの間下直晃社長)

会見に臨む日本マイクロソフトの樋口泰行会長(右)とブイキューブの間下直晃社長
発表会見に臨んだ両社首脳は、競合製品がある中での協業についてこう語り、V-CUBEとSkype for Businessについては用途に基づく「ユーザーの選択肢」であることを強調した。
実際には、販売パートナーからユーザーに対し、用途ごとにユーザーが受け入れやすい提案がなされるのだろうが、例えばOffice 365の販売パートナーがV-CUBEをユーザーに提案する際の訴求ポイントは何なのか。Skype for Businessとの違いを明確にしないとユーザーに勧められないだろう。そこで、会見の質疑応答でそうした状況を踏まえた形で間下氏に聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
「それぞれの特徴を分かりやすく言えば、Skype for Businessはユニファイドコミュニケーション寄りの考え方である一方、V-CUBEはテレビ会議を主体とした考え方だ。V-CUBEのこだわりは映像品質と使い勝手にある。考え方が違うので、今後は両製品を合わせて提案する機会も増えてくるのではないか」
確かに分かりやすい説明である。これでOffice 365の販売パートナーにも理解が広がるのではないか。間下氏は続けてこう強調した。
「ビジュアルコミュニケーションの普及はまだまだこれから。浸透すればワークスタイル変革にも大きく貢献できると確信している」
その心意気や良し。両社の協業がうまくいくように、今後も販売パートナーやユーザーに分かりやすい提案や説明を期待したい。