世の中のさまざまなものごとは人と人、人と何かとのやりとりを通じて進む。インタラクションとはこの「やりとり」のことである。アプリケーションやウェブサービスであれば、システムがまず何かをユーザーに提示し、それに対してユーザーが入力し、システムはそれに反応してまた何かを提示する。
システムとユーザーとの間をつなぐのは ユーザーインターフェイス(UI)なので、インタラクションとはUIを介して起こること全てである。
UIのデザインとはまさにインタラクションのデザインでもある。そしてもちろんそれはシステムを使うときのユーザーエクスペリエンス(UX)の多くを決定する。
UXというと「心地よい」「楽しい」などの感覚がまず思い浮かぶかもしれないが、業務システムなども含めたより多くのシステムに求められるUXは「安心」や「スムーズ」などの感覚である。今回は安心でスムーズなインタラクションについて論じたい。
インタラクションの粒度
入力とそれに対する反応の量や頻度は場合によってさまざまである。データをまとめて放り込んで計算結果が出るのを長い時間待つというのもインタラクションであるし、スクロールバーを動かす場合やアクションゲームのように一秒以下の間に細かく何度もやりとりが繰り返されるのもインタラクションである (図1)。
業務システムなどであれば、入力枠が並んだフォームにデータを記入し「次へ」などを押すとシステムが内容をチェックし書類が提出されたりエラーを返したりするのもインタラクションである。
図1:いろいろなインタラクションの粒度。大型計算機にパンチカードでデータとプログラムを入れて、数時間後にプリンタ用紙の束で出力を受け取るのもインタラクションである。
インタラクションの粒度によって、設計するときに考慮すべきことが変わってくる部分もあれば、あまり変わらない部分もある。ここでは、あまり変わらない部分を中心に説明していく。