“エフェメラル系(消える系)SNS”をご存知だろうか。その名の通り、一定時間で送信メッセージや画像が消えるというものだ。SnapchatやSNOWなどが有名だが、Instagramでも24時間で削除される「ストーリー」という機能が加わったり、LINEでもタイムラインで24時間限定投稿ができるようになるなど、エフェメラル系は注目のカテゴリなのだ。
10~20代男女を対象としたジャストシステムの「エフェメラル系SNS利用実態調査」(2016年3月)によると、「エフェメラル系SNS」ユーザーの49.6%が「疲れない」、55.2%がもらうときも送るときも「不要な気遣いを感じない」、54.3%が「思い切った投稿ができる」、53.4%が自分の投稿も他人の投稿も「リア充アピールを感じさせない」などと回答した。
エフェメラル系SNSで送られてきた投稿のスクリーンショットを撮って「ほぼ毎回保存している」人は29.4%、「投稿内容によっては保存する」人は37.6%と、合計すると67.0%と約7割がスクリーンショットを撮って保存していることがわかった。
同じジャストシステムの「エフェメラル系SNS利用実態調査」(2016年10月)では、エフェメラル系SNSで自分が撮影した写真を「ほぼ毎回、他のSNSに投稿している」人は38.9%、「写真の内容によって、他のSNSに投稿することもある」人は32.5%おり、合わせて71.4%がエフェメラル系SNSで撮影したものを他のSNSにも投稿していた。
つまり、エフェメラル系(消える系)SNSなのに、投稿が消えていないということになる。なぜ女子高生たちはエフェメラル系SNSをスクショを撮って保存したり、他のSNSに投稿するのだろうか。使い方の実態から彼女たちの本音を見ていきたい。
いつの時代でも、若者は保護者や教員などの大人と同じサービスを使うことを嫌う。大人は若者のSNSの使い方を見るとつい口を挟みたくなる。若者たちは、交友関係や投稿内容などを大人に見られることなく、自由な自分たちだけの空間を保ちたいのだ。
同時に、若者たちは大人たちが使い始めるとそのサービスを「ダサい」と感じ、もっと新しくてクールなサービスに移っていく。米国でFacebookは若者世代のものだったが、徐々に大人世代に普及するにつれて、若者世代は他のSNSに流出していった。かつてはMySpaceに、今はInstagramやSnapchatに若者は向かっているというわけだ。日本でも、若者たちのプライベートなやり取りはInstagramやSnapchatなど、大人があまりいないところに流れている。
もともと「エフェメラル系SNS」がもてはやされるようになったのは、SNSへの投稿が批判されて炎上したり、過去の投稿が掘り返されて晒されるようになってきたことが背景にあると言われている。炎上を怖れるのと同時に、投稿を意図しない相手から見られたくないからこその、エフェメラル系SNSなのではないか。
背景にはもう1つ、「SNS疲れ」もある。エフェメラル系SNSでは、これまで「いいね」やコメントなどができなかったため、SNS疲れからは遠かった。付き合いとしては一番ライトだったのだ。ただし、10月からSNOWのストーリーには「いいね」に当たるハートを送れ、送られた相手からは送った相手がわかるなど、徐々に変わってきている。エフェメラル系SNSにも、従来の人間関係が持ち込まれようとしており、今後これが若者の利用に影響するかもしれない。
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