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「働く場所」と「子育て」を一体化させ、地域のあり方を探る--十三「JUSO Coworking」

特集

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 歓楽街として栄えてきた一方で、ミニシアターやライブハウスから文化を生み出している大阪・十三。まだ昔ながらの街並みが残るこの場所で、地域と協働しながら、新しいワークのあり方を発信しているコワーキングスペースが「JUSO Coworking 」だ。

 「JUSO Coworking」を運営するのは、水交デザインオフィスの深沢幸治郎氏とその妻である深沢周代氏だ。もともと、大阪のウェブ制作会社で働いていた幸治郎氏。仕事に追われる中で、「子供ときちんと向き合い育てる環境を作りたい」と決心し、3年前にフリーランスのウェブデザイナーとして独立した。

 独立して感じたものは、フリーランス同士の横のつながりだと言う。Twitterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を通じて、ウェブ制作者同士の濃いコミュニティが生まれ、そこからネットワークが広がったという。


水交デザインの深沢幸治郎氏(右)と深沢周代氏(左)。「JUSO Coworking」を、夫婦で運営している

 そうした横のつながりが作られてくると、チームでの案件も増えるようになり、打ち合わせをはじめとした場所に関する悩みが増えてきた。そうした中で、周代氏が経営するビルの一室を借りて、フリーランスの人同士が気軽に立ち寄り、仕事や作業ができるスペースを作ろうと考えたのが、JUSO Coworking誕生のきっかけだ。「もともと古いテナントビルだったこともあり、空いたスペースをレンタルスペースにしようという話もあった。地域全体の活気がなくなってきている中で、若い人をどう増やしていくか、ということにもつながると考えた」(幸治郎氏)

家族で気軽に立ち寄れる空間を

  • 3階の集中スペース。奥には、ブース席も用意する。

 スペースの構想を建てたあとは、Twitterなどで意見交換を行った。実際のビルの3階のスペースを利用して「どういった使い方がいいか」「料金はどうするか」とさまざまな人を交えて話し合った。その後、まずはすぐにでもスペースを用意したいと、オフィス家具を運び込み、2010年12月のオープンを迎えた。

 当初ビルの3階スペースのみの運用だったが、利用者も増加したことから、空いた4階のスペースを使って増床を実施した。広い空間にソファーなどを置いた快適なスペースを用意し、2012年3月にリニューアルオープンした。「3階のブースなどの集中スペースと、4階のコミュニティスペースとで利用の用途が分かれることで、利用者の気分や作業に応じて区分けすることができるようになった」(幸治郎氏)

  • こちらは4階のスペース。女性の利用者も多く、様々な人たちが行き来する。

 もっと女性の利用を増やすにはどうすればいいか――増床の目的の1つがまさにこれだった。スペース開設前に意見交換をしていた際、数多くの女性参加者がいた。しかし、実際にスペースをオープンしたところ、利用するのは男性ばかり。オフィス家具の並ぶコワーキングスペースは、女性がなかなか近寄りがたい空間。幸治郎氏は「もっと女性が利用しやすい空間にしたいと考えた」と振り返る。

 幸治郎氏は、夫婦のやりとりから女性の利用に向けたヒントを見つけたのだという。「まだ子供が小さいこともあり、ママ友を増やして子供や近所との関係を作りたかった。お母さん同士がもっと気軽に集まり、育児についての情報を共有する『お母さんオフ会』のようなものを、SNSなどで呼びかけて作ることで、つながりを得ることができた」(幸治郎氏)。こうした動きから、妊娠や産後の情報についてのリアルな情報を共有し、家族との関係をよりよくするためのイベント「家族ラボ」を同スペースで開催するようになった。

 「自分たちが共働きなせいもあり、家族で来れるような場所にして、子供だけでなくお父さんやお母さんが利用できるイベントにしたかった。カフェのように、リラックスして子供を連れてきても大丈夫な設計を主軸に、4階のスペースも改装した」(幸治郎氏)

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