プライバシー擁護団体の電子フロンティア財団(EFF)は米国政府を相手取り、物議を醸しているデジタルミレニアム著作権法(DMCA)は表現の自由を抑制するため憲法違反だとして提訴した。
米国時間7月21日にワシントンDCの連邦地裁へ訴状を提出したEFFは、18年前に制定されたDMCAが現代にそぐわないと主張している。DMCAは、暗号化されたソフトウェアのリバースエンジニアリングを制限するもので、DMCA1201条はもともと、映画業界を違法なコンテンツ複製から守るために制定された。
EFFによると、研究者らはソフトウェアの脆弱性とバグを見つけるためにしばしばコードをリバースエンジニアリングする必要があるため、この規制がセキュリティ研究に萎縮効果をもたらしてきたという。
EFFの弁護士Kit Walsh氏は、発表の中で次のように述べた。「創造的なプロセスは、過去に作られたものを土台とする必要がある。そして、米国憲法第1条は、われわれが創造的な作品を変容させて新しいメッセージを表現する権利や、世界の多くのことを管理するコンピュータコードを研究し議論する権利を保障している。1201条は、普通の人々を高額な罰金や収監刑で脅して、そうした自由の行使を妨げるものだ。これは許容できない」
米著作権局は、「革新、表現の自由、他の公共の利益」にあたるものについて、著作権保護からの免除申請を審査している。ただしEFFの主張によると、同局は大抵の場合免除を認めていないうえに、まれに免除した場合でもその範囲が非常に狭いため、研究者は何が許可されて何が許可されていないのか判断することが困難だという。そうした理由から、EFFはコンピュータ科学者およびセキュリティ研究者の2人の原告を代表し、1201条で適用される保護が憲法の認める範囲を超えているとして提訴した。
消費者の権利擁護を推進する他の団体も、EFFの行動を歓迎している。
権利擁護団体Public Knowledgeの政策フェロー、Kerry Maeve Sheehan氏はプレスリリースで次のように述べた。「この訴訟は、著作権局によるDMCA免除プロセスの根本的な欠陥を浮き彫りにしている。著作権局は、管理的な障壁を延々と築いてきたが、これは法律で必要とされていないものだ。こうして、1201条の意図せぬ結果と擁護できない適用によって、学者、技術研究者、消費者、その他多くの人たちが陥れられた」
被告として提訴された米司法省、著作権局、議会図書館はいずれも、本稿執筆時点までこの件に関してコメントを出していない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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