現在、ファイル交換ソフトを利用しているユーザー数は2005年より増加して約176万人、割合は過去最高の3.5%に上昇――。コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などが7月25日に発表した「ファイル交換ソフト利用実態調査」によれば、個人情報流出問題の原因とされるファイル交換ソフトの利用が依然として増加していることが分かる。
同調査は2001年に開始され、今回で4回目になる。インターネットユーザーを対象に、2006年6月13日から18日の期間、有効回答数1万8596人を対象にウェブ上のアンケート形式で行われた。調査を主催したのは、ACCSのほか、日本レコード協会、日本音楽著作権協会、日本国際映画著作権協会の各団体、およびテレビ朝日、テレビ東京東京放送、日本テレビ放送網、日本放送協会、フジテレビジョンの各事業者。
今回の調査では、ファイル交換ソフトの現在の利用者数は約176万人であり、ネットユーザーの3.5%が利用しているとの推計結果となっている。割合は2005年調査時の2.7%から上昇し、過去最高を記録している。
過去にファイル交換ソフトを利用したことがある経験者数は約433万人、割合では8.6%になる。現在の利用者と過去の経験者を合計すると約608万人、ネットユーザーの約12%がこれまでに利用経験があることになる。
男女別の利用率では、過去の利用経験も含めると男性15.4%、女性7.3%。年代別では、10代19.3%、20代18.7%、30代13.5%、40代以上9%と、若年層ほど高い傾向にある。 また、現在ファイル交換を行っているユーザーがおもに利用しているソフトウェアのトップは「Winny」(33.3%)。以下、「WinMX」(24.5%)、「Limewire」(19.8%)の順となり、2005年1月実施の前回調査に対し、上位2つが入れ替わった(前回調査はWinMXが54.8%、Winnyが33.2%)。
これは、より匿名性が高く、利用者が望むファイルの種類や数が多いWinnyの優位性がもたらした結果と分析される。さらに、前回調査データにはなかったLimewireが3位にランクインした点も注目される。
現在の利用者の過去1年のダウンロードしたファイルの数の平均は194で、前回調査の236から減少。ダウンロードしたファイルを種類別に見ると、音楽が87.1、映像が79.4、ソフトウェアが8.7、写真・画像が11.2、文書が7.8という結果となった。
一方、過去の利用経験者がファイル交換ソフトの利用を止めた理由の1位は「セキュリティ、ウイルスなどが心配」(46.2%)となり、前回調査トップの「著作権侵害などの問題がある」(26.4%)を大きく上回っている。ファイル交換の利用意向が、著作権に対する倫理的意識よりも、昨今頻繁に報道されるファイル交換ソフトによる個人情報流出問題に対する懸念に強く影響されていることが推測される。
説明を行った、ACCSで専務理事、事務局長を務める久保田裕氏は「ファイル交換の利用者の割合が増加しているのは、単純に通信インフラの整備状況に関係していると分析している。それに対して3.5%という数字はむしろ少ないほうだと認識している。しかし、本調査の意図は、あくまで利用実態の把握であって、利用を抑制するのでも、利用者の摘発を目的としたネガティブなものではない」とし、著作権関連団体としてユーザーの適切な利用意識を啓蒙し、技術、法律面での整備と合わせて、健全なソフトウェア開発および普及、発展に尽力していきたいと強調した。
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