インターネット検索の分野はいま、ある重要な地点にさしかかっている。ここでは、市場をリードする者がウォールストリートから高い評価を得る一方、遅れをとった者は大きな打撃を受けており、新興企業各社は大手各社が手を付けていないニッチに狙いを定めている。
ここ10年の間、この市場にはリーダー的な企業がいくつも現れては消えていったが(AltaVistaのことを覚えているだろうか)、現在はGoogle、Yahoo、AOL、MSNがはっきりと頭ひとつ抜け出していることには、だれも異論を唱えないだろう。
この点にはウォールストリートも明らかに気付いており、突出した2つの企業--GoogleとYahooに高い評価を与えている。米国時間5日の終値は、Googleが前年から約130%増の405ドル85セントを付けたのに対し、Yahooも4%増の40ドル47セントとなっていた。
Googleはまた、検索ビジネスの大半を押さえつつある。Nielsen/NetRatingsによると、この10月にGoogleの検索を利用したユニークユーザーの数は8330万人に達したが、これは前年の数字をおよそ30%上回っている。一方、Yahooの検索サービスを利用したユニークユーザーの数は、前年比12%増の5230万人だった。
ビジネススクールでは、市場があるポイントに達すると、首位を走る者がウォールストリートから最も高い評価を受けることを学ぶが、いまの検索市場はまさにそうした状況にある。この状況では2番手も悪くはない。しかし、それ以下の企業に対しては投資家が関心を示さなくなる。たとえば、InfoSpaceの株価は現在26ドル29セントと前年比で約45%も下がっており、Mamma.com(2ドル46セント)とLookSmart(4ドル9セント)もそれぞれ60%以上株価を下げている。
無論、成長の余地はまだ十分残されており、実際に一部のアナリストは米国の検索広告市場が今後5年間で約80%成長し、75億ドル規模に達すると予想している。だが、誰が優位に立っているかという点はすでに明らかになっている。これらの先頭を走る企業は現在、その基盤を活用してインターネット電話や無線アクセスの分野に進出するなど、市場シェアをめぐる長い戦いに備えつつある。
そこで、ベンチャーキャピタリストや、彼らが投資する新興企業は、大手企業が手を付けていない分野を探すことになる。彼らは新規公募で大成功を収める代わりに、このようなニッチ市場を手に入れ、大手各社に買収されることにから、自分たちの投資に対する見返りを得ようと考えている。「第2のGoogleが生まれる可能性はあるのか」という疑問に対して、「絶対にない」と言い切ることはできない。だが、業界の専門家らは、これらの大企業がその地位を不動のものにしていくなかで、参入障壁はますます高くなっていくと述べている。
「Frenzy: Bubbles, busts and how to come out ahead」の著者であるコンサルタントのCarl Haackeは、「1990年代後半には、株式を公開する新興企業のライバルはほかの新興企業だけだった。市場には競争の余地が十分にあった。ところが、いまの市場はすでに競争がかなり激しい状態にある。市場をリードするGoogleは40億ドル規模の売上を持ち、しかも毎年100%の急成長を続けている。新興企業各社は、どの分野でもGoogleのような大手企業との競合を迫られており、そのためにたくましい想像力が抑えられている」と述べている。
もちろん、IT業界では過去にも同じような状況があった。つい最近も、ベンチャーキャピタリストが買収に期待して新興企業に投資するなか、セキュリティ製品市場ではSymantecやCheck Point Software Technologiesなど、一部の大企業を中心とした合併があった。その前にもCRMソフトウェア市場で、新興企業がニッチに重点を置くなか、Siebel Systems、Oracle、SAPなどの大企業を中心とした合併があった。
実際、このような環境のなかで大企業と対等に渡り合うには、Salesforce.comが低価格のオンデマンドCRMソフトウェアを発売したように、既存のものとは全く異なる技術やビジネスモデルを投入するしかない。
Enterprise Applications Consulting会長のJoshua Greenbaumは、「Salesforce.comは、CRM市場の枠組みを破壊する攻撃を仕掛けて、業界を震撼させた」と述べている。
つまり、断絶を生み出すような革新的技術の開発を除くと、検索市場で足掛かりを得るのに最適な方法は「ニッチ」を考えることになるようだ。
VentureOne(Dow Jones傘下のベンチャーキャピタル調査会社)のリサーチアナリストJosh Groveは、「最近の検索市場では、ベンチャー企業への投資の動きが活発に見られるが、ただし投資の対象は補完的な技術を持つ、検索のニッチを狙った、規模の小さな企業が増えている」とし、写真や求人、ローカル案内広告に対する検索などが多いと述べている。
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