Microsoftは米国時間6月13日、分析ソフトウェア4種類のソースコードをAIDS研究コミュニティーに公開したと発表した。これで、同社はAIDS用ワクチンの開発を支援したい意向だ。
Microsoftのウェブサイト「CodePlex」から無料ダウンロードできるこのソースコードは、同社のマシンラーニング(機械学習)技術を利用して、膨大な数のヒト免疫不全ウイルス(HIV)株を分別するためのものである。研究者らはこの技術を、遺伝子パターンの特定に利用したいと考えている。遺伝子パターンは、研究者らが患者の免疫系をウイルスに対抗できるよう調整するのに役立つと見込まれている。
AIDS研究者らは、4種類のツールをダウンロードし、あらかじめ設定されているフォーマットのまま使用するか、ソースコードを元にした独自アプリケーションの開発に使用することも可能になる。
ツールの1つ「PhyloD」は、免疫系の主要部分の1つである患者のヒト白血球抗原(HLA)とウイルスの相互関係を探る。2つめのツール「Epitope Prediction」はあらゆるタイプのHLAを持つ人に対応しており、抗原において免疫反応を誘起する部分(エピトープ)のタンパク質を調べる。
「HLA Assignment」ツールは、エピトープ識別の精度を向上させるためのもので、「HLA Completion」ツールは、患者の免疫系が有するHLAタイプの体系をしぼり込むことで、遺伝子構造の粒度の細かい詳細を提供するためのものである。
HLA Completionは13日にリリースされた。
Microsoftは、同社の機械学習技術がAIDS研究に役立つだろうと判明したことを受け、2005年に同社技術を応用し始めた。Microsoftの研究者約12人が参加し、同社の研究施設で医師や科学者らと共に研究を進めている。
MicrosoftのMachine Learning and Applied Statistics Group担当主任研究者であるDavid Heckerman氏は声明で、「われわれは、世界で最も技術的に難しく、社会的な困難の一部に技術を応用している。1日1万人がAIDSで亡くなっている。こうした世界的な健康危機は間違いなく、われわれの取り組む難問の1つである」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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