史上最大の「iPad」である2015年の「iPad Pro」を、より伝統的な9.7インチサイズに縮小して、性能を強化したカメラとスクリーンを加えれば、新しい2016年のiPad Proが出来上がる。米国での開始価格は、32GバイトのWi-Fiモデルで599ドルだ。もし筆者が今、新しいタブレットの購入を検討していたら、このiPadを買うだろう。
だが、もし「iPad Air 2」を既に所有しているなら、素晴らしい「Apple Pencil」スタイラス(別売りで99ドル)によって利用できるスケッチ機能が本当に必要にならない限り、購入を見送ると思う。
筆者は今、「Smart Keyboard」を装着した9.7インチiPad Proを膝の上に載せて、この記事を書いている。飛行機の中でだ。このキーボードは快適である。バックライトは非搭載だが、指を触れただけで、どのキーかが大体分かる。ディスプレイの画質はくっきりしていて鮮明で美しい。仕事用のツールと娯楽用のアプリやコンテンツが絶妙なバランスで搭載されている。読書は快適だ。ゲームもプレイできる。映画の視聴も可能だ。とても便利な端末である。
筆者はしばらく前から、iPad Air 2とBelkinのキーボードケースを気に入って使っている。この組み合わせはコンパクトで、利便性も高い。それから、筆者はiPadで文字を入力する。最近では、その頻度も増えている。簡単なメモを取ったり、ノートブックが手元にないときの保険としても利用したりしている。職場にもiPadを持って行く。
しかし、AppleがいくらiPadはコンピューティングの未来だと主張したところで、iPadはまだノートブックの代替品にはならない。筆者が記者会見にiPadを持参したとして、iPadだけでそのイベントに関する仕事をすべてカバーすることはできない。必要なカメラテザリングソフトウェアを実行することもできないし、「Google Chat」を通してウィンドウ内で同僚と手軽に通信することもできない(「Slack」を使えば可能)。ブラウザ内で使用できるコンテンツツールから記事を執筆、編集、公開することも不可能だ。米CNETの「Java」ベースの会計システムで社費を管理することさえできない。今後、iPadでニーズを満たす方法を思いつくこともあるかもしれないが、その場合でも筆者が慣れ親しんだ方法でニーズを満たすのは無理だろう。それこそが、実際のところ重要なポイントとなっている。筆者の使うツール群は、iPadのツール群といつも連携できるわけではない。iPad、そして、コンピューティングの未来という同タブレットのビジョンは、依然として「Mac」とかけ離れているし、汎用性という点で、「Windows」端末には及ばない。
こうしたすべての不満点は、この「iPad」の「Pro」という名と相反しているように思える。とはいえ、最も完璧に近いiPadはどれかと言われたら、筆者はこのiPadを選ぶだろう。新iPad Proはポータブルの夢を体現している。Appleが作る最も小さな生産性ツールなのである。優れたパフォーマンスを発揮し、サウンドとディスプレイも向上している。実際に欠けているものなどあるのだろうかと思えてくる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力