「楽天がPinterestの心を射止めた」──西海岸のメディアではそのように伝えられ、楽天がリードをとったPinterestへの出資。Pinterestの時価総額は約15億ドル。出資総額1億2000万ドルのラウンドのうちの5000万ドルを楽天が出資しており、ラウンド最大の出資者が楽天である。
Pinterestはインターネット上の写真や画像を「ピンボード」といわれる壁に「ピン」で止めていく、というメタファーを持つ画像共有サービスで、現在約1200万人のユーザーを獲得している。注目すべきはそのトラフィックの集め方だ。2012年3月の段階でGoogle+、YouTube、LinkedInといったソーシャルネットワークや動画共有サイトの参照トラフィックを合計しても、Pinterestに及ばない(参考記事)ほど、強力なトラフィック誘導の力があるサイトとして注目されている。
今後、楽天はPinterestとどのようなビジネスを展開しうるのか。また日本ではどのようになるのか。
Pinterestは、ソーシャルブックマークやTumblrの感覚で、他のサイトの画像を自分のピンボードに集めることができるのが特長だ。他のサービスがリンクのURLや文中のテキストをクリッピングする代わりに、Pinterestではユーザーが画像をクリッピングする。つまり、写真雑誌を中心に集めたスクラップブックのウェブ版──というとちょうどいいのではないだろうか。
ボードに訪れたユーザーはその写真を見たり、「Repin」によって自分のピンボードにコピーしたりできるが、その写真が収集されたサイトそのものやより大きな写真が見たい場合、写真をクリックすると簡単に取り込んだ元のサイトにジャンプすることができる。これが、Pinterestがもたらすトラフィックの源泉になっている。
2012年3月にRJ Metricsが発表した資料によると、17.2%のピンボードが「ホーム」にカテゴライズされているという。またアート&クラフト12.4%、スタイル&ファッション11.7%、フード10.5%と続き、第5のカテゴリは教育9%だ。
いわば、Pinterestに集まるピンボードは、オシャレでセンスのよいライフスタイル雑誌のような雰囲気であり、6割から8割のPinterestユーザーが女性である点も頷ける。
また80%前後がRepin、すなわち他の人のPinを取り込んで自分のピンボードを充実させる投稿で占められていること。前に述べたトラフィック誘導とRepin率の高さから、ライフスタイル商材を扱うECサイトがセンスの良い購買意欲をそそるオシャレな写真をPinterestに掲載することは非常に価値があることがわかるだろう。
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