長年にわたり、さまざまな「Office」製品群のオンライン版の提供を慎重に試してきたMicrosoftは米国時間6月28日、クラウドベースの生産性アプリケーション分野に本格的に進出した。
同社は、「Word」や「Excel」「PowerPoint」といったお馴染みのアプリケーション、さらには「Exchange」電子メールプログラムや「SharePoint」コラボレーションソフトウェア、「Lync」コミュニケーションテクノロジなどのサーバソフトウェアを月額使用料を支払うことで利用できるようになるサービス、「Office 365」をローンチした。同サービスは、Microsoftと複数の電気通信パートナー企業によってホストされる。
これは非常に大きなチャンスかもしれないが、リスクがないわけではない。Officeのユーザーは10億人以上いる。既存のOfficeライセンスより安価になるかもしれないOffice 365は、従来のOffice事業から売り上げを奪う可能性がある。
さらに、MicrosoftのライバルであるGoogleは、「Google Apps」によってオンライン生産性サービス事業を推進しており、新たな法人顧客を順調に獲得している。Officeはこれまで、新版が出るたびに自らの旧版と競争することが主だったが、今は豊富な資金を持つ競合他社が勢いを増している。
MicrosoftのOffice担当プレジデントであるKurt DelBene氏は28日の製品ローンチ後、米CNETとのインタビューに応じた。以下はその内容を文字に起こして、編集したものだ。
--Office 365により、大企業顧客でよく知られたOfficeサーバツールが小中企業でも利用できるようになるというのは、本当なのでしょうか。
DelBene氏:全くその通りです。Officeサーバツールの体験を小中企業に提供することは、われわれにとって大きなチャンスです。考えてみてください。リッチなカレンダー機能やリッチな電子メールシステム、世界でも一流のコラボレーション機能、リッチなユニファイドコミュニケーション機能を利用したいということに関して、小中企業も大企業顧客と共通するニーズをたくさん抱えています。それらは2万5000名のユーザーがいる企業に限ったことではないのです。仮に私が社員25名のエンジニアリング企業を経営していたとしても、同じニーズが多く発生するでしょう。私は、社員全員が同じ時間に同じミーティングに出席できるように、社員のイベントをうまく調整する必要に迫られています。そして、ミーティング参加者の予約を取ったのと同じ方法で、社内の会議室も予約したいと考えます。リッチなコラボレーションスペースのニーズも同様に発生します。
われわれは、消費者向けサービスを持ち出して、「御社は小中企業ですので、このサービスが妥当です」と言うのは適切でないと考えています。
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