ディー・エヌ・エー(DeNA)は11月29日、医療キュレーションサービス「WELQ」のすべての記事を非公開にした。掲載されている医療情報の信ぴょう性や、記事制作におけるプロセスについて批判が相次ぎ、12月1日には同社代表取締役社長兼CEOの守安功氏が謝罪。「MERY」を除く9媒体を非公開にする事態にまで発展した。
WELQで信ぴょう性の低い記事を大量に制作するために使われていたのが、インターネットを通じて、不特定多数の相手に仕事を依頼するクラウドソーシングサービスだ。WELQ編集部がクラウドソーシングサービスに登録する外部ライターに対して執筆を依頼していたが、医療知識がないライターも執筆していたほか、1本あたりの単価も非常に低価格だったとされている。
今回の騒動を受け、WELQの発注先だったとされる大手クラウドソーシングサービスである「クラウドワークス」と「ランサーズ」の2社に見解や対応を聞いた。
クラウドワークスでは「クライアントとの契約については個別にコメントできない」としながらも、今回の騒動でクラウドワークスが利用されていたのは事実とし、今後はそういった問題が起きないよう、サービス内の機能追加を検討していると説明する。
たとえば、発注の単価については、以前からクラウドソーシングサービス全体の問題とされてきたが、現在は実際に発注を受けるワーカーとヒアリングの機会を設けているという。その上で、今後はクライアントが発注する際に推奨の単価を表示する機能や、単価が低すぎるとワーカーが判断した場合には、クラウドワークスに通報でき、検索結果において該当案件の表示順位が下がるといった対策を講じることを検討しているとした。
ランサーズは、「現在、事実確認中」としながらも、サービスに対しての意見については課題と認識しており、サービスの健全化に向けてさらなる整備を早急に進めると答えた。
すでに実施している取り組みとしては、ライターのスキルを可視化するマネージメントシステム「Quant」の導入や、仕事を依頼する際の推奨相場の提示、また、ライターに向けたスキル向上のための教育セミナーを実施してきたという。さらに、近日中に新たに仕事依頼のガイドラインを公開する予定としている。クライアントが仕事依頼のガイドラインに沿った発注が可能となるようモニタリング体制も強化するとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス