日本薬剤師会は5月10日、医薬品のネット販売訴訟において厚生労働省が上告したことについて、「当局の上訴の判断は当然である」との声明を発表した。
東京高等裁判所(東京高裁)は4月26日、ケンコーコムとウェルネットが起こした一般用医薬品のネット販売規制に関する行政訴訟で、控訴人(一審の原告)の一般用医薬品のネット販売を認める判決を下した。厚労省は5月9日、この判決を不服として最高裁へ上告していた。
日本薬剤師会では、ネットでの販売は匿名性が高く、過去にもネット販売された健康食品や脱法ドラッグによる健康被害が発生していること。また、海外においてネットでの偽造医薬品の販売が蔓延していることなどから、現状のネット販売は、国民の医薬品の適正な選択、使用、安全を揺るがしかねない販売方法であるとしている。
また、厚労省による上告については、「国民の医薬品の安全性と適正使用の確保を本分とする公益職能団体の立場といたしましては、現時点では、インターネット販売の規制を行うことは不可欠と考えており、当局の上訴の判断は当然であると考えます」とコメントしている。
なお、5月10日にはケンコーコムも厚労省による上告に対して「大変意外で、到底納得のいくものではありません」とのコメントを発表していた。
今回の日本薬剤師会の発表について、ケンコーコム代表取締役社長の後藤玄利氏はFacebookで「上訴は当然としているが、僕にはその理由が理解できない。医薬品のネット販売で問題があったとは言ってないにもかかわらず、『安全を揺るがしかねない販売方法』と断じているところが特に違和感があります」としている。
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