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便利なモノにつきまとう不快さ:D・A・ノーマン氏にきく「配慮のある技術デザイン」

文:Candace Lombardi 翻訳校正:吉井美有2007年12月05日 08時00分

 人間とコンピュータの相互作用の設計に通じた人物がいるとすれば、それはDon Norman氏だ。Norman氏はNorthwestern Universityの教授であり、「The Design of Future Things」の著者、またNielsen Norman Groupの共同創設者でもある。

 Norman氏は、一流のテクノロジー企業と自動車メーカーに対するコンサルティングという現在の仕事に加え、大衆に訴えかける設計を行う能力で知られたAppleのAdvanced Technology Groupのバイスプレジデントも務めた。

 Norman氏は忙しい中から時間を取り、CNET News.comのインタビューに答えて、デザイナーや開発者が正しく実践していることは何か、また見落としていることは何か、消費者は技術の将来に何を期待できるかなどについて考えを語ってくれた。

―マウスが要らなくなる日はいつくるのでしょうか。

 うまくいっているものをなくす必要はないでしょう?・・・実際に問題になっているのはマウスではなく、繰り返し操作を続ける必要のある仕事です。本当の問いは、われわれはどのようにテクノロジーと相互作用すればよいかということです。キーボードは未だにテキストの入力手段としては最善のものですし、選択には依然としてポインティングが最良の方法です。

―AppleとMicrosoftが採用しているマルチタッチ技術にはどんな可能性がありますか。

 タッチセンシティブスクリーンは一部の目的には非常に適していますが、万能というわけではありません。単なる操作だけでなく、スクリーン上の位置指定、例えば回転などをしたり、複数の人に同時に操作させたいアプリケーションのグラフィック操作をしたりするうえでは便利です。これは協調して問題解決をしたいような場合にはよいのですが、すべてのものの代わりになるツールではありません。

―デスクトップウィジェット、スキン変更できるプログラム、ウェブ2.0アプリケーションでは、1つの決まったルックアンドフィールからソフトウェアが派生しています。これは人間とコンピュータの相互作用について問題になるでしょうか。

 それらのシステムが習熟しやすいことが重要なのであり、それらが同じ操作原理を使っている限り問題はないでしょう。ウェブ2.0インターフェースやマルチタッチ技術が、これまでわれわれが慣れているものから大きく違っているとは思いません。よくできたものなら、それらのシステムは非常に互換性が高いでしょうし、習熟も簡単でしょう。また、今以上に相互作用に楽しさや力が加わるでしょう。

―現在では、買い物の多くがオンラインで行われており、消費者は実際には商品を直接確かめてはいません。多くの人は、1つの製品にどれだけの機能が詰め込まれているかで買うかどうかを決めています。設計者やメーカーは、消費者に機能の数よりも質を評価してもらうために何をすればよいでしょうか。

 ある友人がいます。名前は挙げませんが、彼はある大きなソフトウェア企業で働いています。彼は、自分の知る限りでは毎年機能やボタンが増えて、どんどん複雑さが増してゆく法則があるとこぼしていました。それが強要されているからです。われわれは、レビューを参照して、プロのレビューとユーザーのレビューの両方を見るということを学びました。あなたもそうしていますよね。

―もちろんです。わたしはCNETで働いていますから。

 わたしはCNET Reviewはよく読んでいますが、わたしが問題だと思っていることの一部に、レビュアーが普通の人ではない点があります。彼らは熱心なファンなのです。それこそが彼らがレビュアーになった理由ですし・・・この問題はコンピュータや携帯電話などに関するレビューで発見できる問題です。レビューを書こうという人は、多くの場合競合する製品すべてに詳しくて、読み手に向けて機能を強調しがちです。これらのレビューは非常に整理されて書かれており、あなたのような知的な人たちが書いています。しかし、そういう場合、どうしても書き手は最近見た他の製品と比較して「これにはあの機能がない」などと書くことになります。

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