遠いインドネシアの島で見つかった、身長3フィート(約0.9メートル)、1万8000年前の女性の人骨が、2003年の発見以来議論を巻き起こしているが、最近になってこの議論に関する、ある発表があった。
人骨の発見者は、この化石がホモ・フローレシエンシスと呼ばれる新種に属すると提案している。指輪物語の熱狂的なファンは、現実に「ホビット」がいた可能性に熱狂中だ。しかし、疑り深い人たちは、この骨格は小頭症のホモ・サピエンスのものではないかと主張している。
最近、フロリダ州立大学の人類学教授、Dean Falk氏は研究者のチームを率いて、ホビットの脳をコンピュータを使って分析し、小頭症の現代人と比較した。彼女はその結果をProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)に発表した。彼女の判断は、「ホビット」は実際に新種だというものだ。
CNET News.comは、Falk氏にインタビューを行い、進化論上の争点、そしてフロド・バギンズと頻繁に結びつけられることが邪魔になっているかなどを聞いた。
「あなたは正しかった」ですね。
これは本当に思いがけない幸運でした。私が自宅の書斎に座っていると電話が鳴り、男性の声で、「もしもし、私は米国地理学協会(National Geographic Society)のDavid Hamlinと申します」と言いました。私は勧誘電話拒否リストに載っており、勧誘電話なら切ろうとするところを、それよりも前に、彼は「雑誌のセールスではありません」と言ったのです。彼はNational Geographicのテレビ番組を制作しており、彼が私と話したがっていたのは、それまで情報が解禁されていなかったNatureの記事についてでした。当時、その情報がちょうど解禁されたのです。彼は私に、この新種の身長は3フィートであり、道具を持ち、小さな象に似た生き物を狩っていることなどを話し始めました。私は途中で遮り、「でっち上げをしているんですか?」と言いました。
彼は笑って、でっち上げなどしていないと請け合いました。彼はインドネシアから帰ってきたところでした。私はコンピュータの前にいたので、Google Newsを調べ、この話が世界中で盛り上がっているのを知りました。彼が電話してきた理由は、彼が番組を作っており、誰かに頭蓋腔(頭蓋の内側のモデル)を作ってもらって、この生物の脳についてどういうことが分かるかを知ろうとしており、私が推薦されたからでした。彼は私がこの仕事をやる意思があるかどうか尋ねました。私は、もちろんやると答えました。これは、今までで私に起こった中でも一番の幸運の1つです。
そうですね、当時ホビットのバーチャル頭蓋腔についての私たちの説明が議論を呼んでいました。一部の人は、その中には科学者も含まれていましたが、ホビットの標本は新種の代表ではなく、小頭症と呼ばれる症状のある人間だと考えました。このため、私たちはこの問題に取り組み、ホビットが小頭症であると主張している人たちに答えなくてはなりませんでした。そしてこれがこの論文の目的になっています。説得力を持たせるために、小頭症の人々の頭蓋を見て、それを一般の人の頭蓋と比べ、さらにホビットの頭蓋と比較する必要がありました。
本当に重要なことは現場で起こります。Mike Morwood氏が率いるインドネシアのチームは、標本を持っています。その標本にはとてもよい頭蓋骨があったので、Mikeは骨格のCATスキャンを行うよう手配し、そのデータを私のチームにくれました。これはセントルイスにあるワシントン大学医学部のMallinckrodt放射線医学研究所で行われました。そこで働くエンジニアは、医学的なことをやって命を救う仕事をしていますが、そこに2人の人類学者がいます。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力