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ネット使えない選挙運動「困らない」--堀江貴文氏に聞く公選法の問題

西田隆一(編集部)2005年08月26日 23時56分

 マスメディアによる衆議院議員選挙の報道合戦が連日のように繰り広げられる中、インターネットでも選挙に関するさまざまな動きを目にするようになった。

 たとえば、ブログ。昨年の米大統領選では、民主党のハワード・ディーンがブログを勢力的に使い、多額の選挙資金を献金として集めることに成功するなど、選挙とブログの関係が注目されたのは記憶に新しいが(関連記事)、日本でもブロガーたちによる争点となった郵政民営化問題や衆議院議員選挙に関する書き込みが増えている。ブログ検索のテクノラティは「選挙特集コーナー」を開設し、ブロガーたちの選挙に対する関心度をピックアップしている(関連記事)。

 一方、新党もウェブサイトを開設し、各政党もウェブサイト上でマニフェストを公開するなど、政治活動としてのインターネットの利用をフルに生かそうとしている。

 ところが、“政治活動”であれば問題ないインターネットの利用も、選挙に結びつく“選挙運動”となると話が変わる。インターネットによる選挙運動はウェブサイトでもメールでも公職選挙法で規制されている「文書図画」にあたるとしてその利用を認められていなからだ。したがって、選挙公示日以降のインターネットの利用は当然ながら、それ以前でも投票勧誘につながる選挙運動だとみなされれば、公選法違反になるかもしれないという。

 だがインターネットの利用がこれだけ普及し、ブログや掲示板やソーシャルネットワーキング(SNS)といったツールを使った政治議論の機運が高まる中、候補者であれば自身の選挙運動としてインターネットを利用したいと思うのは当然だろう。

 そこで、ライブドアというインターネット企業の代表取締役であり、今回の選挙への出馬を表明している堀江貴文氏に、インターネットと選挙活動についての考えを聞いた。

--公職選挙法によって政治活動や選挙運動がインターネットでほとんどできないという問題があると思います。現在、困ったと感じていることはありますか。

 困ったと感じたことはないですよ。

--ただ、インターネットが利用できない公職選挙法を改革したいという思いはないですか。

 改革するのは当選してからでしょう。(いますぐには)改革できないですから、残念ながら。だってリスクがあるでしょう、改革することには。そのリスクも半端じゃないリスクがあるので、それはできないですよね。

 公職選挙法で明確に否定はされてはないのですが、(インターネットの利用は)グレーゾーンなんですね。つまり、取り締まる側の胸先三寸で、いくらでも法解釈をできてしまうので、少なくとも身柄を拘束することぐらいはできちゃうんですよね。公職選挙法違反で逮捕ってことはできるんです。そんなことで逮捕ってことになったら大変なわけです。

 それだけの風評リスクだけでも僕は困るわけです。なので、絶対(インターネットを利用することは)できないですよ。

--では、現時点ではウェブサイトを作ったりメールを使ったりはしないのでしょうか。

 いや、ウェブは作る予定ですが、8月30日の公示日以降はいっさい更新をしません(※)。

--たった1週間程度のためのサイトを作るということですよね(このインタビューは8月24日に行った)。

 そうです。

--『livedoor社長日記』の更新を止めたのは、ライブドアという会社の枠組みではなくて、選挙用に新しいサイトを作るからでしょうか?

 ウェブサイトは更新しないです。そのまんまですよ。日記とかもやらないです。社長日記もダメなんですよ。(選挙用のウェブサイトは)ただのウェブサイトです。だから、何もできないんです。すごい制約があって厳しいです。

翌日には選挙事務所を開いた堀江貴文氏。名刺には「改革」の文字が大きく書かれていた。

--ただ、法律ではウェブサイトを更新してはならないとはなっていません。

 それも解釈上非常に難しいんです。テキストだったらダメかもしれないけれど、音声だったらいいのかとか、いろいろあるんです。ものすごいフリーハンドな法律なんですよ、あの法律は。

--つまり、あれこれと実施して後で問題となるよりは、何もしないほうがましだということでしょうか。

 実施して後で逮捕されてしまったらどうするんですか。僕がただの素浪人だったらいいのですけど、会社の社長であるという責務があるので、それはできないですよね。

--また、社長日記で「ライブドアニュースチームは、総選挙特集でがんばります。」と書いていましたが、結局はライブドアニュースでは選挙に関する報道はすべて止まりました。

 それも公職選挙法の理由です。自分が影響力を及ぼしている会社の従業員を選挙活動に使ってはいけませんよという法律になっているわけです。

--それだけ法律が厳しいということですね。

 要するに、若い者や新参者を(国会議員の道に)入れにくくしている法律なんです、公職選挙法は。議員である自分たちの保身のための法律なんですよ。議員が立法しているわけですからそうなりがちです。だからよくならないんです。

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