2016年はVR元年と叫ばれており「PlayStation VR」「Oculus Rift」「HTC Vive」など、VR市場を牽引するVRゴーグルがたくさん登場した。
360度カメラは、不足気味のVRコンテンツを補うツールとして注目が集まりつつある。360度カメラを中心に考えると、VRゴーグルにより、無理やり平面で見ていた360度の写真や動画を、本来の形で見られるようになったことであり、ようやく時代が追いついたとも言える。そこで、現在発売している360度カメラから6機種を厳選し、その実力を比較してみた。第1回は、スペックを中心に基本性能を比較する。
360度カメラは、大きく2つのカテゴリに分けられる。1つはレンズを2つ搭載し、周囲、上下すべて360度で撮影できる全天球撮影ができるタイプ。もう1つは、レンズが1つしかなく、周囲360度の撮影はできるものの、上下は約半分しか撮影できない半球タイプがある。ただし、半球タイプは2台使用することで、全天球として使用できる。
全天球の利点はなんと言っても、死角がなく、すべての情報を写せること。上下左右の感覚なく、どの角度から撮影しても同じような形で撮影できる点だ。
半球の利点は画像の繋ぎ目がない点。2つのレンズを使っている全天球はレンズの繋ぎ目が存在し、ズレてしまうこともある。また、死角が存在するため、撮影者は死角に隠れ写り込むことがないので、VRゴーグルで再生時に、自分視点で見ているような印象が得られる。
さらに別の角度からカテゴリ分けをすると、デジカメとアクションカメラに分けられる。デジカメタイプは動画撮影に関しては解像度、フレームレートともに高機能は期待できない。手軽さと使いやすさはデジカメタイプの方が上だ。
アクションカメラタイプは、動画撮影力が高く、タイムラプスやハイスピードなど、特殊な動画撮影も楽しめる。また、アクションカムらしく、耐衝撃性、防水・防塵、耐低温能力が高く、スポーツやアウトドアなどで活躍ができる。アクセサリの多さも魅力だ。
ほかにも細かい差異はあるが、それは個別で確認していきたい。まずは360度カメラの先駆者であるリコーの「THETA」から。
「THETA S」は、THETAシリーズのハイエンドモデルだ。360×360の全天球が撮影ができ、静止画の解像度も5376×2688ピクセルと高い。動画の撮影時間は最大約25分で解像度はフルHDまでなので、どちらかと言うと静止画撮影向き。
形状がスティックタイプなので、自撮り棒や一脚などを使わなくても、そのままの状態で撮影できる。シャッターボタンも押しやすい位置にある。ストレージ容量が8Gバイトなので、基本的に撮影した写真や動画は、都度スマホへ移動するイメージで使うのが良いだろう。
次は「THETA SC」。THETAシリーズのエントリーモデル。静止画、動画ともに上位モデルのTHETA Sと同じ解像度で撮影できる。違いは動画記録時間が5分と短い点。基本的に動画は撮影しないというのであれば、リーズナブルな分、THETA Sよりもお買い得だ。
次はコダックの「SP360 4K」。THETAに続く360度カメラとしてリリースしている。レンズは1つで画角は360×235の半球モデルだ。4Kモデルなので動画も静止画も2880×2880ピクセルで撮影ができる。
ちなみに4Kテレビは、主に3840×2160ピクセルの解像度を指し、長辺の3840が約4000とカテゴライズされている。2880×2880ピクセルのSP360 4Kは、4000には遠くおよばないが、画素数を掛け合わせると、3840×2160で約829万画素となり、2880×2880も同じく約829万画素となる。そのため、便宜上4K相当として4Kを名乗っている。
SP360 4Kは、動画撮影時間に制限がなく、バッテリやmicroSDカードの容量が許す限り撮影ができる。ハイスピード動画やタイムラプス動画の撮影も可能だ。
「Keymission 360」は、ニコンが満を持してリリースした360度カメラ。アクションカメラタイプで唯一のダブルレンズモデルで、全天球の撮影ができる。その分価格も高めだが、全天球で動画をしっかりと撮りたい人にはオススメだ。4K動画撮影ができるが、解像度は3840×2160になる。今回紹介する360度カメラの中では最も重さのある約198g。
「360fly」は、2016年12月に発売したばかりの360度カメラ。米国360fly製で、海外では以前より発売はしていた。ゴルフボールのような形状でレンズが1つの半球タイプだ。半球タイプの中ではもっとも画角が広く360×240で撮影できる。ストレージは内蔵のみだが、64Gメモリと大容量なので、4K動画を撮影してもそこそこの時間は撮影できる。録画のフレームレートも最大50Mbpsと高く、高画質撮影が可能だ。
最後はカシオ計算機の「FR-200」。カメラとコントローラがセパレートになるアウトドアカメラとして人気が高い「FR-100」に、360度レンズを搭載したモデルになる。画角は360×185と半球タイプの中でも最も狭い。FR-200を2台使うことで全天球撮影ができるほか、FR100と組み合わせて「マルチカメラモード」という全天球とは違う同時撮影動画を楽しめる。
360度カメラから6機種の共通スペックを比較してみるとこのような結果になった。次回は静止画の画角の違いや画質の比較をする。
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