グーグルCEOのEric Schmidtが先週末に「携帯電話はタダになってしかるべき」と発言したとReutersが報じている。
日本でも番号ポータビリティ(MNP)がはじまり、いちだんとキャリア間の競争が激化している携帯電話業界。各社ともこの争いに勝利しようと、この秋には多数の新機種を取り揃えてきたことはすでに皆さんがご承知の通りである。
携帯電話の加入・維持に関わるコストのなかでは、いまだにサービスに対する金額(料金)が大半を占めるはずだが、それでも事業環境の変化や端末の高機能化などの要因により、ハードウェア購入に関するユーザーの実費負担も増えている(少なくとも、昔のように最新モデルさえただ同然で配られる、という状況ではなくなった)。
このハードウェアへの支出の一部を広告料で肩代わりできる、というのがSchmidtの考えで、「(携帯電話向け)広告が増加するのにともない、補助金を増やすことには意味がある」("It just makes sense that subsidies should increase" as advertising rises on mobile phones.)と述べたという。ただし、まったくタダになることはSchmidt自身も想定していないらしく、新聞の例を引きながら「広告を取り入れればユーザーに対して安価にサービスを提供できるのは確か」とコメントしたとある。
また、Googleには自社で携帯端末を直接無料配布する計画はなく、Nokia、Motorolaといった端末メーカーや、Vodafoneのような通信事業者がそのような取り組みを進めているという話は聞いていないというGoogle幹部のコメントも引用されている。
これとは別に--こちらのほうが気になる方も多いかもしれないが--、Googleでは現在、ユーザーデータの「ポータビリティ」実現も検討しているという。これができると、同社のサーバーに蓄積されている(あなたや私の)検索記録やGmailのメッセージなどを他のサイトに移すことが可能になるそうだ。
「データを人質にとるべきではない("Data should never be held hostage.")」というSchmidtは、法律によって義務づけられる前に、先回りして「(データに関して)番号ポータビリティに相当する選択権を各ユーザーに与えたいと考えている」と述べたという。
携帯電話についていえば、各ユーザーにとって一番貴重な「資産」は、電話番号でも(今回のMNP実施で明らかになった)メールアドレスでもなく、アドレス帳に保存された連絡先だという見方もある。この点はウェブメールなどでも同じだろう。そのことを考え合わせると、Googleが自ら先行してこのような「オープン化」の動きに出た場合、他のさまざまなサービスのどのような波及効果が及ぶのか・・・具体的な可能性について、これから考えてみたいと思う。
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