TechRepublicが最近、IT部門の将来について12人の最高情報責任者(CIO)に判断を仰いでみたところ、IT部門の縮小傾向が今後も続いていくと考えている人が半数を占める一方、先進的企業におけるテクノロジのさらなる浸透とともにIT部門が再び脚光を浴びるようになると考えている人が残りの半数を占めた。
筆者はどちらかと言えば前者の人々と同意見である。ただ、IT業界におけるイノベーションの波に乗り遅れていたものの、現在急速にキャッチアップしつつあるヘルスケア産業(CIOの判断を仰いだ前述の記事におけるコメント中でも挙げられている)といったいくつかの業界は例外だと考えている。しかし、そういった状況も永遠に続くわけではない。
なぜ縮小傾向が今後も続いていくのだろうか?その理由は、コンピュータ製品の低価格化が進んだことで、修理するよりも買い換えた方が手軽だという状況が多くなっているためだ。またITサービスは、必要であるもののどこにでもあるという、空気のような存在となっている。さらに、(IT要員が不足していた10年前とは異なり)テクニシャンやアドミニストレーターは必要になった時点ですぐに確保でき、必要に応じて不足人員を補充できるコンサルタントも数多くいる状況となっている。もっとも、本当に優秀なIT要員を調達しようとすればそれなりのコストはかかるだろうが、企業の効率や革新性を向上させるという観点から見た場合、そのコストは十分安いと言えるだろう。
その一方で、期待という要素も絡んでくる。従業員は10年以上にもわたってITを使用してきているため、正しく機能して当たり前だという期待を持っている。このため、ユーザーの業務が停止するといった事態や、バグの多いシステムに対して今まで以上に厳しい目が向けられるようになっている。こういったことは特に、一流の専門家が1年365日24時間いつでも問題に対処すると謳っているサービスプロバイダーにアウトソーシングしている企業で顕著となっている。とは言うものの、ありとあらゆるものごとを期待通りに稼働させるために高いコストをかけて社内にIT部門を設置している企業であっても、業務に支障が出るような状況はやはり許されないはずだ。
詰まるところ、ITは今やユーティリティになっていると言えるだろう。しかもユーザーから見た場合、これはアプリケーションを動作させるためだけのユーティリティでしかなくなってきているというわけだ。
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