3ページ読んだ時点で、「それを言ってしまっては身もふたもない」と思わず苦笑いしてしまう。なぜなら、思い当たる節がごまんとあるからだ。大上段に構えた仕事論を一刀両断にする威力がここにはある。
ちまたには、いかに「仕事がデキる」人間になるか、そのノウハウを説く本があふれかえっている。そして、そういった本を読むと、妙に焦燥感を感じ、自分も「仕事に対して前向きに取り組み、素晴らしい成果を出さなければ!」と思う。
しかし、本書を読んでみると、実際のところは、なるほど「人に怒られないようにするため」に仕事をしているのが、現実かもしれない。その現実を、これでもかと突きつけてくるエピソードが次から次へと表れる。「エレベーターの乗り降りの順序が重要」だの、「ムダに先回りしてエライ人に配慮する」だの、いちいち首が取れそうなほど、うなずいてしまう。
こんな調子なので、早々に現実から目を背けたくなるかもしれないが、最後のページを読まずに、この本を本棚に埋もれさせてはいけない。そんな仕事の現実はあるけれど、「仕事ってなかなかいいもんじゃない?」と締めてくれるからだ。実のところ、著者も仕事に希望を持っているのだ。
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