とは言え、Flashにとってのゲームオーバーにはほど遠い。
Open Webの作業は、混乱しており、流動的で、まとまりがない。さまざまな要素に対するブラウザのサポートは、たとえ存在していても、一貫性がない。異なるコンピュータ間での一貫性を提供する唯一のブラウザプラグインがFlashだ。そして、ブラウザでは最近になってやっと2001年時代のMicrosoft「IE 6」が最も利用されているブラウザから退位したのに対し、Flashでは、ほとんどの人が比較的速やかに新しいバージョンにアップグレードしている。
公式な標準化の進展は緩慢だ。HTML 5のエディターでGoogleの従業員であるIan Hickson氏は、2009年10月、Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)に対して、HTML 5についてのコメントの最後の募集を行った。WHATWGは数年にわたってHTML 5に取り組んでいる。しかし、標準を提案するために同団体と共同作業しているのは、より堅苦しいWorld Wide Web Consortium(W3C)だ。
そのため、現在、The New York Timesに米連邦政府の予算案についてのグラフィカルな案内を掲載しようとするなら、Flashが選ばれるのは言うまでもない。
HTML 5ビデオに関する困難を考えると、Flashに対抗することの難しさがよく分かる。Flashビデオでは、サーバから視聴者に送られるビデオのエンコードとデコードに、さまざまな「コーデック」を使用できる。視聴者は、ビデオの「再生」ボタンをクリックする方法以外に、何も知っている必要はない。初期のインターネットビデオが非互換性に満ちていたのと対照的だ。
しかしHTML 5では、現在普及しているコーデックが2つある。1つはH.264で、これはAppleの「Safari」とGoogleの「Google Chrome」でサポートされている。もう1つはOgg Theoraで、FirefoxとChromeがサポートしており、計画によると「Opera」でもサポートされるという。支配的なブラウザであるIEは、現時点でいずれのHTML 5ビデオもサポートしていない。
では、ビデオをストリーミングするには、どうすべきだろうか。YouTubeが最近実験を始めたように、仮にもウェブサイトでHTML 5ビデオをサポートするなら、現時点でまだHTML 5を利用できないブラウザを使っている多くの人のために、Flashを代替として含めるのが最も安全だ。
もう1つ、Open Web連合はFlashの現在の機能を再現するのに近づいているかもしれないが、必ずしもFlashの明日の姿に近づいているわけではない。AdobeのLynch氏は2009年、Flashを前進させて「ウェブの可能性の探求における先導者」であり続けるようにすると誓った。
最後に、Open Webの雑多なツールに対して、プログラミングツールがそれほど発達していない。
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