黒人文学
黒人文学(こくじんぶんがく)とは、黒人による文学のことである[1][2]。
概要
[編集]黒人文学は、以下の3種類に大きく分かれる。アフリカや南北アメリカ、西インド諸島やヨーロッパなど広範囲にわたるため、使用言語も多様である[3]。
これらのうち、最も優勢なものは、アフリカ系アメリカ人による「アメリカ黒人文学」である。そのため日本でも、アメリカ黒人文学を指して「黒人文学」と呼ぶことが多かった。アメリカにおける黒人文学の立役者は、作家・編集者のトニ・モリスンである。
アフリカの黒人とディアスポラ(アフリカ以外の地域の)黒人の社会的・政治的な連帯の基礎となったのは、ヨーロッパ列強による人種主義、奴隷貿易、アフリカの植民地化などが挙げられるが、実際に彼らの間に現実的な交流が始まったのは第二次世界大戦後に始まる冷戦下のことであった[4]。1960年代以降、アフリカ諸国では独立後も続く経済的植民地主義に対抗するポストコロニアル理論が、アメリカ合衆国においては公民権運動が共時的に進展していく。20世紀を通じ、世界各地の黒人が行ったこれらの運動のなかで、黒人文学は核心的な役割を果たした。
アフリカ大陸では、人種的差別がアパルトヘイトとして明文化された形で残っていた南アフリカを除き、植民地主義、ついで新植民地主義が主要なテーマであった。
カリブ諸国では、戦前からの在地の文芸雑誌の活動とBBC放送の『カリブの声』による後押しで活気づいていき、イギリスへと渡った「離郷作家」たちやマール・ホッジら女性作家たちの活躍によって文化的・経済的アイデンティティーが模索されていく[5]。
アメリカ合衆国においては公民権運動以後、人種主義、階級、ジェンダー、セクシャリティの問題に取り組みながら、女性の視点に依拠しつつ展開している。