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不毛地帯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

不毛地帯』(ふもうちたい)は、山崎豊子小説1973年から1978年まで『サンデー毎日』に連載された。

大本営の作戦立案参謀であった旧大日本帝国陸軍中佐が、シベリア抑留からの帰還後に総合商社に入社し、経済戦争を戦い抜いていく姿を描く。連載中に、ロッキード事件ダグラス・グラマン事件があり、偶然似た題材を扱った本作が話題になったが、実在するどの事件の概要とも異なるフィクション作品である[1]

登場人物の設定に特定のモデルは存在せず、複数のモデルからの取材をもとにした作者の想像の産物である。当時の週刊誌や経済誌によって、主人公の壱岐正元帝国陸軍中佐伊藤忠商事の元会長瀬島龍三がモデルと繰り返されたが、山崎は瀬島がモデルそのものではなく、複数人のイメージを重ね合わせたものと断っている[2]

1976年には前半部分が映画化(山本薩夫監督、仲代達矢主演)され、1979年には毎日放送TBS系列で完全版として連続ドラマ化(平幹二朗主演)、2009年10月よりフジテレビ系列で開局50周年記念ドラマとして連続ドラマ化(唐沢寿明主演)された[3]

あらすじ

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主人公の壹岐正(いきただし)は陸軍士官学校を首席で卒業したエリート中佐で、大本営の作戦立案参謀であった。終戦に対し、参謀総長の命令書が出されていない以上、武装解除に応じる必要がないと解する関東軍への説得のために満州に出張するが、日ソ中立条約を犯して侵攻してきたソ連軍に拘束され、軍事裁判により、刑法第58条第4項(資本主義幇助罪)、第9項(諜報罪)違反の罪で重労働25年の刑を宣告される。囚人(囚人番号 OH5-32037)としてシベリアに送られ、タイセット、ラゾ、ハバロフスクなどで11年の抑留生活を余儀なくされる。帰国後、近畿商事[注 1]大門一三社長に、参謀としての経歴を買われて採用される。航空自衛隊次期戦闘機選定争いの仕事で辣腕を振るうことになる。その後進言して「業務本部」を設立し、近畿商事を本格的な総合商社にするための努力を重ねる。旧来の役員からの反発などを受けながらも出世を重ね、日米の自動車会社の提携、中東での石油採掘プロジェクトにも携わっていく。

苦難の末、イラン・サルベスタン鉱区での石油採掘に成功した壱岐は、綿花相場で巨額損失を出していた社長の大門に勇退を進言し、みずからも近畿商事を退職する。そして第三の人生として、シベリア抑留者の親睦団体である朔風会(さくふうかい)の会長となり、現地で亡くなった日本兵への墓参りと遺骨の収集に向かう。

登場人物

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なお、山崎豊子の他の小説の舞台・登場人物がそのまま本小説にも登場している。例としては、永田大蔵大臣(『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』に登場)、大川一郎、阪神銀行、第三銀行など(『華麗なる一族』にも登場)や浪速大学(『白い巨塔』の舞台)、佐橋内閣総理大臣(『運命の人』『華麗なる一族』に登場)など。

出版

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  • 単行本
    • 『不毛地帯』全4巻(1976 - 78年、新潮社
    1976年に前半部(1・2巻)が、1978年に後半部(3・4巻)で出版
  • 文庫
    • 『不毛地帯』全4巻(1983年11月-12月、新潮文庫
    • 『不毛地帯』全5巻(改版・2009年3月、新潮文庫)、活字を大幅に拡大
  • 全集
    • 『山崎豊子全作品』第9巻(1986年、新潮社)
    • 『山崎豊子全集』第12~15巻(2004年、新潮社)

英訳

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中国訳 

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  • 劉小俊[LIU XIAOJUN] 2014
京都女子大学 教授[4]
https://www.ato-shoten.co.jp/index.php/product-24260.html

映画版

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不毛地帯
監督 山本薩夫
脚本 山田信夫
原作 山崎豊子
『不毛地帯』
製作 佐藤一郎
市川喜一
宮古とく子
ナレーター 鈴木瑞穂
出演者 仲代達矢
山形勲
北大路欣也
山本圭
神山繁
山口崇
八千草薫
藤村志保
秋吉久美子
内田朝雄
高橋悦史
辻萬長
仲谷昇
大滝秀治
嵯峨善兵
青木義朗
永井智雄
井川比佐志
加藤嘉
中谷一郎
小沢栄太郎
田宮二郎
丹波哲郎
音楽 佐藤勝
撮影 黒田清巳
編集 鍋島淳
製作会社 芸苑社
配給 東宝
公開 日本の旗 1976年8月14日(限定)[5]
日本の旗 1976年8月28日
上映時間 181分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 5億7700万円[6]
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1976年8月14日[5]東宝系にて封切。公開当時、原作が連載中であった事もあり、次期戦闘機選定までを映画化。また、シベリア抑留の部分もかなり省略されている。

5億7700万円の配給収入を記録、1976年昭和51年)の邦画配給収入ランキングの第9位となった[6]

出演

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近畿商事
防衛庁
東京商事
政府関係・与党
家族
毎朝新聞
警察関係
旧帝国陸軍関係
アメリカ航空機メーカー関係
  • ラッキード社・ブラウン社長 - アンドリュー・ヒューズ
  • - デヴィット・シャビロ
  • グラント社・コナーズ社長 - ジャック・ケリー
ソ連関係
  • - ダニエル・クラブスキー
  • - ブラドミア・ホゴルボフ
  • - ロック・メイヤー
  • - ダヴィット・トロケトスビリィー
  • - ジョセフ・グレース
  • - チャールズ・ブラックマン
  • - アレキサンダー・マツサカ
その他
  • 杉浦満州電々公社社員 - 河崎保
  • - 歌川千恵
  • - 五十嵐美恵子
  • - 桜川梅八
  • - アマボールデルバンド
  • ナレーター - 鈴木瑞穂

スタッフ

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製作経緯

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脚本

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監督の山本薩夫は原作で長々と描写されているシベリア抑留には偏見があるとして興味を持たず[8][9]、原作にある戦闘機買い付けを巡る構造汚職の描写に興味を持ち[8]、シベリアの場面を短くしてその部分を膨らませたいと提案し、山田信夫と脚本を練った[8]。汚職事件は60年安保のさなかに起きた事件のため、安保闘争を絡めて描きたいと原作にないシーンを組み入れた[8]

撮影

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アメリカでのロケは、ロッキードダグラスとも撮影を拒否され[8]、やむなく民間の航空機修理工場でロケした[8]。アメリカロケは『マタギ』などで知られる後藤俊夫[8]。本作は撮影中から話題を呼んだが、クランクインから3週間後の1976年2月にロッキード事件が発生[8]。映画はロッキード事件と伴走するように製作されたが[10]、山本は保守政党の腐敗の本質を映画に反映させようとロッキード事件に対する自身の考えを取り込もうとした[8]。山本は映画製作中にこの件を自身で調べ、児玉誉士夫が介在して飛行機の機種を決める会議に源田実田中角栄と一緒に出ていたと分かったと、原作にはない、そういうシーンを映画で出した[9]。これが後に問題となった[8][9]

クレーム

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完成試写後、原作者の山崎豊子が『サンデー毎日』1976年7月18日号誌上のグラビア特集で[11]、原作と映画の違いを発表[8][11][12]。映画版はシベリアにおけるラーゲリ部分が少なくエピソードが友好的過ぎる、天皇の戦争責任に関して原作ではああいう型では扱ってない、山本が付け足した防衛庁空幕長参院選に立候補する場面で、官房長官室の中で選挙資金が渡されるシーンに、白昼堂々と長官室で金のやりとりするなんて非常識なことするはずないなどのコメントを出し[8][11][12][13]、小説のイメージと同じくされては迷惑なので、原作者を原案にして欲しいと訴えた[11][12]。またこの『サンデー毎日』の記事に選挙資金が渡されるシーンの写真が掲載されたことから[11]、これを見た源田実参議院議員が、1976年7月15日、登場人物である原田空幕長(演者:加藤嘉)が自分であるかのような誤解を招くと抗議[11]ナレーションのカットを要求してきた[10][11][12][13]。現金受け渡しシーンで"ラッキードとグラマンの間にはさまって~"とナレーションが入るため、「防衛庁から参議院に出るってのは俺しかいない。原田はすなわち源田というのが明白だ」と怒り[8][11][13]、源田の秘書が1976年7月8日に東宝松岡功副社長に直接会って抗議[11]、また芸苑社佐藤一郎プロデューサー、原作者の山崎豊子にも抗議し[9][11]、「事実無根の中傷でありカットしないなら名誉棄損で訴える」[8][11][12]、「公開差止めの仮処分を申請する」[11][13]などと伝えた[11]。山崎は「私の小説では、そんな所で金渡しをしてないし、原田は大変ヒューマニストに書いてあります。映画は私は知りません」と解答[9]。山本が決定稿にかなり手を入れたため行き違いが起きた[12]。元々映画に登場人物のそっくりさんを起用したり、名前も一字違いにしたり、時節柄、心配されていたことがやはり起きた[11]。源田の後援会は会員が約10万人おり[11]、観客動員10万人といえば、映画界では"泣く子も黙る"民音労音に匹敵する[11]。東宝としても無視できない団体であった[11]。これに対し、東宝が山本に源田の要求を飲むよう指示したため[11]、山本が反撥し、1976年7月21日に『天保水滸伝』撮影中の調布大映撮影所でマスメディアの取材に応じ、「東宝サイドから私に対して注文が出ているが、基本的な線では源田氏の要求に応じる意思はない」と話し、名誉棄損問題では勝てると思うが、上映日がもう決まっているため、もし上映停止仮処分が成立した場合の扱いには苦慮している等と説明し、「独立プロと違い企業が事を丸く収めようとする苦労は分かるが、昔、本庄事件を扱った『暴力の街』でも同じような体験をした。今、私が折れる訳にはいかない」と強く訴えた[11]

日本共産党松本善明衆議院議員が「源田議員のカットを東宝が認めるなら国会で問題にする」と発言[13]。東宝はからもからも揺さぶりをかけられ、ニッチもサッチもゆかない状況に追い込まれた[13]。東宝と芸苑社とも「映画の始めに登場人物も全部フィクションであると謳ってあるから架空の人物」と、「削除する意思なし、真向対決する」と構え[11][14]、両者の対立は泥沼化する恐れがあったが[13]、結局上映問題などもあり源田が削除を求めた現金受け渡しシーンはカットされた[8][12][13]。東宝から完成試写を観て欲しいと源田側に要請があり[11]、1976年7月27日に東京有楽町東宝本社3階試写室で、源田の第一秘書・山崎工と弁護士が完成映画を観て[11]、要望していた箇所のカットを確認し[11]、源田側は「要求を受け入れ東宝側がカットしてくれた」と勝利宣言を出し[11][13]告訴を取り下げた[9][11][13]。山本が山崎の原作を映画化するのは『白い巨塔』(1966年)、『華麗なる一族』(1974年)に次いで3本目で、前二作は何のクレームもなかったが、山本は「原作の非常につまらないところを、こっちが一生懸命考えてよくしたら怒られる。今後は山崎さんとはやれない」などと不満を述べた[9]。本作の映画化権は東宝や芸苑社ではなく山本が持っていた[12]。しかしこれら一連の騒動は大きな宣伝になり[11]、映画興行にとってはプラスとなった[12][13]。日ごろ映画を観ない年輩者や中年のアベック、政財界関係者などが鑑賞に訪れ[11][13]、東宝は「『日本沈没』(1973年)に匹敵する入りになりそう」と当初は鼻息が荒かったが伸びなかった[13]

なお、山本と揉めた山崎は、後年のインタビューで、「寂しいのは使命感を持った友人が少なくなっていくことですね。『華麗なる一族』など私の作品を映画化してくださった山本薩夫監督が生きてらっしゃったら、『沈まぬ太陽』も映画にしてくださったのではないかと思いますね」と、この騒動後も山本を認めている発言をしている[15]

テレビドラマ

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毎日放送版(1979年)

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不毛地帯(1979)
ジャンル ドラマ
脚本 鈴木尚之
演出 河野宏
出演者 平幹二朗
山本陽子
池上季実子
中村敦夫
西村晃
中村玉緒
志村喬
若山富三郎
製作
プロデューサー 財前定生
制作 毎日放送
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1979年4月4日 - 10月31日
放送時間水曜22:00 - 22:55
放送分47分
回数31
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1979年4月4日 - 10月31日にかけて毎日放送の制作によりTBS系列で毎週水曜22時から全31回放映された。原作全編を映像化した最初の作品である。放送話数も多く、映像化作品の中では、もっとも原作に忠実な物となっている。また、田宮二郎の遺作となったテレビドラマ『白い巨塔』(フジテレビ)の放送終了直後に放送され、脚本も同じ鈴木尚之が担当した事もあり、『白い巨塔』に出演した役者の多くが本作に出演しているのも大きな特徴となっている。2010年2月から4月にかけてDVD全9巻が発売された。

キャスト

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近畿商事
東京商事
防衛庁
  • 貝塚官房長(→事務次官→参議院議員) - 金子信雄
  • 原田空幕長 - 土屋嘉男
  • 川又伊佐雄空将補(空幕・防衛部長) - 江原真二郎
  • 神森 剛二佐(戦史室) - 竜崎勝山本耕一(病気のため途中交代)
  • 芦田国雄二佐(空幕・防衛部計画班長) - 財津一郎
  • 木村一佐(空幕・防衛部運用課長) - 大原武樹
  • 小泉二佐(空幕・テストパイロット) - 川本勝久
  • 香川 守(香川大佐の息子) - 馬場広人
  • 尾崎省二・一尉(入間基地・警務分遣隊長)- 横森久
  • 楢橋二三雄(本庁防衛局計画室) - 林昭夫
秋津家
旧陸軍・シベリア抑留関係
ソ連軍・シベリア関係者
政界/官界
映画版・TV版「華麗なる一族」でも大川一郎を演じている。
  • 貝塚参議院議員 - 金子信雄
  • 田淵(保守党幹事長→内閣総理大臣) - 藤岡重慶
  • 吉良 一(日本石油開発公社総裁) - 仲谷昇
  • 山下好二郎(吉良の後任→日本石油開発公社総裁) - 垂水悟郎
  • 久松長官の秘書 - 大矢兼臣
  • 吉良総裁の秘書 - 石倉民雄
  • 田淵総理の秘書官 - 加藤正之
新聞関係
警視庁
家族
ラッキード社
グラント社
千代田自動車
フォーク自動車
オリオン石油
五菱商事
五井物産
  • 有田雄策(石油担当専務) - 船戸順
第三銀行
インドネシア華僑
国際ロビイストほか
クラブ
医療関係
  • 浅田博士(心臓血管研究所教授) - 松本朝夫
  • 市川好一郎(東京成人病センター部長) - 中山昭二
  • 仁村和夫(東京成人病センター循環器部長) - 松村彦次郎
イラン関係
リビア
韓国
  • 李 錫源(元韓国陸軍総参謀長) - 睦五郎
その他

スタッフ

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フジテレビ版(2009年)

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フジテレビ開局50周年記念ドラマ
不毛地帯
ジャンル テレビドラマ
原作 山崎豊子
脚本 橋部敦子
演出 澤田鎌作 ほか
出演者 唐沢寿明
小雪
和久井映見
遠藤憲一
柳葉敏郎
古田新太
竹野内豊
佐々木蔵之介
多部未華子
斎藤工
袴田吉彦
吉行和子
阿部サダヲ
榎木孝明
松重豊
段田安則
江波杏子
江守徹
橋爪功
天海祐希
中村敦夫
伊東四朗
神山繁
岸部一徳
原田芳雄
音楽 菅野祐悟
オープニング 坂本龍一「FUMOCHITAI」
エンディング トム・ウェイツトム・トラバーツ・ブルース
時代設定 終戦直後 - オイルショック
製作
プロデューサー 長部聡介
清水一幸
製作 フジテレビ
放送
音声形式ステレオ
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2009年10月15日 - 2010年3月11日
放送時間木曜日22:00 - 22:54
放送枠木曜劇場
放送分54分
回数19
不毛地帯 - フジテレビ

特記事項:
初回は21:00 - 23:18に放送。
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2009年10月15日から2010年3月11日まで毎週木曜日22:00 - 22:54に、フジテレビ系の「木曜劇場」枠で「フジテレビ開局50周年記念ドラマ」として放送された。ハイビジョン制作、2クール放送、全19回。初回は21:00 - 23:18の拡大版であり、第64回文化庁芸術祭参加作品。

キャッチコピーは「剥き出しの人間たち。

同じ山崎豊子原作であり、同じフジテレビで2003年に放送された『白い巨塔』(フジテレビ開局45周年記念ドラマ)と同じく主演は唐沢寿明、放送枠も同じ木曜劇場で2クールの放送となった。

原作全編を映像化した完全版であったが、視聴率が低迷したため当初の予定よりも放送回数が減らされた。そのため後半は駆け足の展開となっており、予告編で流されながら本放送ではまるまるカットされたエピソードなどもある。後に発売されたDVD版では、これらのカットされた部分が大幅に追加されている。

キャスト

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壹岐家
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  • 壹岐正(大本営参謀→近畿商事航空機部嘱託→鉄鋼部長→常務取締役業務本部長→アメリカ近畿商事社長→専務取締役→副社長) - 唐沢寿明
  • 壹岐佳子 - 和久井映見
  • 壹岐(→鮫島)直子 - 多部未華子
  • 壹岐誠 - 高橋平(少年期、第一話~四話)、斎藤工 (青年→成人期、第五話~)
防衛庁
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大本営参謀・シベリア時代
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秋津家
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政界
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日本石油公社
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毎朝新聞
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クラブ「ル・ボア」
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東京商事
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  • 鮫島辰三(航空機部長→取締役輸送機本部長→常務取締役) - 遠藤憲一
  • 錨田(船舶部長) - 信太昌之
近畿商事
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  • 大門一三(社長) - 原田芳雄
  • 里井達也(常務取締役東京支社長→専務取締役→副社長→タクボ工業社長) - 岸部一徳
  • 兵頭信一良(鉄鋼部→業務本部→石油部長→エネルギー部門担当常務取締役) - 竹野内豊
  • 塙 四郎(ロス支店駐在員→業務本部→アメリカ近畿商事→副社長秘書) - 袴田吉彦
  • 松本晴彦(航空機部長) - 斉木しげる
  • 不破秀作(業務本部 調査情報部長) - 阿南健治
  • 一丸松次郎(専務取締役→副社長)- 山田明郷
  • 正岡仁(常務取締役→専務取締役)- 森下哲夫
  • 麦野久三(専務取締役)- 藤田宗久
  • 堂本重人(鉄鋼担当専務取締役) - 浅沼晋平
  • 金子利夫(綿糸部長→綿糸担当専務)- 岐部公好
  • 角田保(業務本部長→業務担当常務) - 篠井英介
  • 武蔵稔(財務本部長) - 中原丈雄
  • 峯 (船舶部長)- 大高洋夫
  • 山本(食品部長→食品担当常務取締役)- 岸博之
  • 武田(運輸部長)- 中根徹
  • 伊原(綿花部長)- 上杉祥三
  • 秘書(壹岐担当)- 吉家章人
  • 社員A(繊維部員) - 辰巳智久
  • 社員A(業務本部員) - 岡安泰樹
  • 小出宏(空幕調査課→近畿商事航空機部員→逮捕→ブローカー) - 松重豊
アメリカ近畿商事
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近畿商事支店・事務所
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貿易商ほか
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千代田自動車
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第三銀行
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五菱商事
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五井物産
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関東電力
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総会屋
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アメリカ・フォーク社
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アメリカ・オリオン-オイル社
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韓国・政界
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韓国・光星物産
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イラン・国王側近
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家族
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警視庁
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とあるクラブ
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その他
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スタッフ

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放送日程

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各話 放送日 劇中の年代 サブタイトル 演出 視聴率 備考
第一話 2009年10月15日 昭和20年~
昭和35年
物語 澤田鎌作 14.4% 2時間18分
第二話 10月22日 黒い頭脳戦 11.1% -
第三話 10月29日 妻と娘の涙 平野眞 11.6%
第四話 11月05日 俺が殺した 09.9%
第五話 11月12日 昭和42年~ 戦争と三人の女… 水田成英 11.8%
第六話 11月19日 決戦 10.7%
第七話 11月26日 千代田
自動車編
妻との誓い 澤田鎌作 10.6%
第八話 12月03日 愛妻の死! 平野眞 11.4%
第九話 12月10日 アメリカ
近畿商事編
哀しい女 澤田鎌作 10.9%
第十話 12月17日 恋と野望 水田成英 10.8%
第十一話 2010年01月14日 嫉妬に殺される男 平野眞 12.1%
第十二話 01月21日 裏切りの極秘調査 澤田鎌作 11.8%
第十三話 01月28日 喰うか喰われるか 平野眞 12.2%
第十四話 02月04日 昭和45年~
石油開発編
百億の賭け 水田成英 10.2% 30分遅れ
第十五話 02月11日 邪魔者は消えろ! 澤田鎌作 11.6% 25分遅れ
第十六話 02月18日 地獄からの招待状 小原一隆 10.7% -
第十七話 02月25日 暗号と密約 水田成英 11.8%
第十八話 03月04日 汚れた英雄 平野眞 12.0%
最終話 03月11日 約束の地 澤田鎌作 15.0%
平均視聴率 11.6%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

備考

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  • 映像配信サイトGyaOでは、第1話の特別編集版が10月12日から14日までの間、抽選で300名に無料配信された。
  • 主演の唐沢寿明は第1話のシベリア抑留のシーンにあたり、7キロ減量した。「成功しても失敗しても自分の責任」などと意気込みを語っている。
  • 本作で秋津紀武役を務めた中村敦夫は、かつて毎日放送で放送された1979年版では鮫島辰三役を演じた経験がある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 伊藤忠商事がモデル。

出典

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  1. ^ 『不毛地帯』新潮文庫注意書き
  2. ^ 栗原裕一郎『盗作の文学史』新曜社
  3. ^ 主役級7人「不毛地帯」唐沢主演で豪華連ドラ化 スポーツニッポン 2009年5月15日
  4. ^ 不毛之地(不毛地帯) 上下冊 9787555209010”. 亜東書店. 2023年2月9日閲覧。
  5. ^ a b 東京・大阪地区(日比谷映画劇場梅田スカラ座等)で先行上映。東宝邦画系での全国拡大(一般)公開は8月28日から。
  6. ^ a b 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、214-215頁。ISBN 4-87376-595-1 
  7. ^ 作品の内容上航空自衛隊や航空機メーカーの協力が得られないため、ジェット戦闘機の登場するシーンは東宝の特撮部が担当し、セットと模型による特撮によって撮影された。
    しかし、特撮に関わったスタッフは特技監督の川北を始めクレジットはされていない。
    参考文献:川北紘一『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社)p.124~125
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 山本薩夫『私の映画人生』新日本出版社、1984年、266-271頁。 
  9. ^ a b c d e f g 「特集 権力の構造を暴く山本映画の世界 対談・山本薩夫×佐藤忠男」『月刊シナリオ』日本シナリオ作家協会、1976年10月、8-17頁。 
  10. ^ a b 佐藤忠男山根貞男責任編集 編『シネアルバム 日本映画1977 1976年公開日本映画全集』芳賀書店、1977年、195頁。 
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa “『政治生命断たれる…』と抗議 源田議員 "ロッキード事件"映画 東宝『不毛地帯』にも飛び火 『ナレーション削除を』 東宝側は拒否 告訴も?”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 15. (1976年7月15日) 
    “今月の報知特選映画 『不毛地帯』東宝 ズバリ"黒い空中戦"描く”. 報知新聞 (報知新聞社). (1976年7月16日) 
    “肝心な点は譲らぬ山本監督、語気強める”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 15. (1976年7月21日) “トピックス 映画 騒いでくれれば、もうけります”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 15. (1976年7月27日) 
    “名誉棄損問題収拾へ 源田氏側、再試写で軟化”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 15. (1976年7月29日) 
    “抗議取り下げる 源田氏側 東宝"修正"ナットク”. 報知新聞 (報知新聞社): p. 13. (1976年8月4日) 
  12. ^ a b c d e f g h i 「映画・トピック・ジャーナル クレーム続きの『不毛地帯』だが」『キネマ旬報 8月上旬号』キネマ旬報社、1976年、175頁。 
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m 「タウン 大ヒットした映画『不毛地帯』」『週刊新潮』1976年8月5日号、新潮社、13頁。 「タウン ロードショーを前に 映画『不毛地帯』の攻防」『週刊新潮』1976年8月26日号、新潮社、13頁。 
  14. ^ 「シナリオメモランダム」『月刊シナリオ』日本シナリオ作家協会、1976年9月、83頁。 
  15. ^ 山崎豊子さんインタビュー「沈まぬ太陽」を心に持って 520人の命を奪った日航機墜落事故から38年 editor 2015年8月12日

関連文献

[編集]

関連項目

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外部リンク

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TBS 水曜22時台(MBSの制作枠)
前番組 番組名 次番組
風をみた女
(1978.10.4 - 1979.3.28)
不毛地帯
(1979.4.4 - 1979.10.31)
旅立ちは愛か
(1979.11.7 - 1980.2.27)
フジテレビ 木曜劇場
任侠ヘルパー
(2009.7.9 - 2009.9.17)
フジテレビ開局50周年記念ドラマ
不毛地帯
(2009.10.15 - 2010.3.11)
素直になれなくて
(2010.4.15 - 2010.6.24)