アイテム番号: SCP-001
オブジェクトクラス: Humanoid
脅威レベル: 緑|場合により赤
収容クラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-001の各人は標準人間型収容ユニットに収容されます。どんなことがあっても、SCP-001対象者は同じサイトに収容されません。何らかの交流を持ったり、他のメンバーに関する情報を認識することがあってはいけません。任意の一人のSCP-001を担当する職員は、SCP-001間のつながりや他のメンバーについて認識することはあってはなりません。
SCP-001は検査で認められたものを除いて、あらゆる特異な物品と直接接触させてはいけません。
20██/██/██改訂:O5 特別指令 A-1130-X
SCP-001-5の死によって起きた現象を考慮した結果、SCP-001を使用した特異な事物の無効化は禁止されています。SCP-001の生存と安全を保持することにすべての注意が払われなければなりません。SCP-001対象者の確保と収容が最優先事項だと考えられます。死亡した場合には可及的速やかにウロボロス・プロトコルが開始されることになっています。
説明: SCP-001は36人の人々で、SCP-001-1からSCP-001-36と名付けられています。SCP-001のそれぞれの間には、民族、性別、年齢、信仰においていかなる明確なパターンもありません。
SCP-001は、自身に関しては変わった特徴を見せません。しかし、SCP-001である者が接近したあらゆる特異な物体、実体、土地はその元々の性質から大きく変容します。もっとも多くの場合、特異な性質の減退、または完全な無効化という結果となります。無効化しなかった性質は、同様の性質を持つオブジェクトとの整合を取るために変化します。この効果はすべて即座に影響し、また対象者からのどのような操作もなしに発動します。複数のSCP-001が集合する場合、効果範囲は拡大し変化の度合いも大きくなります。複数のSCP-001対象者は、オブジェクトの存在を意識することなく、特異な性質を無効化することが可能です。
SCP-001である者全ては、他のSCP-001について直感的に気づいているように見え、通常彼らの総数と1~3人の詳細を述べます。知っていることは漠然としており、収容されていない対象者を探し出すことを困難にしています。
SCP-001である者の死は、その場所での複数の特異な実体と現象の兆候を引き起こします。これらの兆候は、従来の封じ込め手段は実行できず、深刻な災害と副次的被害をもたらす結果となります。収容されているSCP-001である人々は、それは死んだ者の不在が『通り過ぎる』ことの結果であり、時が進むにつれ、災害は更に過酷になると主張しています。さらに彼らは、死んだ者はふさわしい特徴を持つ新生児へと生まれ変わると述べています。そのような人間はまだ発見されていません。
SCP-001による事物の大きな性質変化についての表は文書001-EXを参照して下さい。無効化されたものの一覧表は文書001-Nで見つけられます。
補遺-01:
既知のSCP-001のメンバーは以下のとおり。
番号 |
国系 |
性別 |
年齢 |
現在の状態 |
注記 |
SCP-001-01 |
ユダヤ系ドイツ人 |
男 |
94 |
収容済み |
現在死を防ぐため血行停止誘発状態。左前腕に識別番号の刺青がある |
SCP-001-02 |
タミル族 |
女 |
88 |
収容済み |
収容開始時妊娠していた。健康な子供が産まれ、現在財団の監視下にある |
SCP-001-03 |
イギリス人 |
女 |
91 |
収容済み |
イギリス陸軍の看護婦。1943年に死亡と記録 |
SCP-001-04 |
漢民族系中国人 |
男 |
97 |
収容済み |
財団に他の001の情報を明らかにした最初の対象者。全真教学校の老師 |
SCP-001-05 |
パシュトゥーン人 |
男 |
101 |
死亡 |
収容されているときに死亡。詳細はインシデントレポート001-05-EXを参照 |
SCP-001-06 |
イタリア人 |
女 |
39 |
収容されていない |
初めはブタペストのホステルで確保。対象は収容から8日後サイト90を脱走した。現在の居場所は不明 |
SCP-001-07 |
ポーランド系アルゼンチン人 |
女 |
52 |
収容されていない |
GOI-16『境界線イニシアチブ』の保護下にある |
SCP-001-08 |
ロシア人 |
男 |
5 |
収容されていない |
未知の個人もしくは団体の保護下にある。家族は発見されていない |
SCP-001-09 |
アボリジニ系オーストラリア人 |
女 |
31 |
収容されていない |
GOI-16『境界線イニシアチブ』の保護下にある |
SCP-001-010 |
アフリカ系アメリカ人 |
男 |
28 |
収容されていない |
GOI-16『境界線イニシアチブ』の保護下にある |
SCP-001-011 |
ナイジェリア人 |
男 |
45 |
収容済み |
SCP-001-11の家族は収容時から同居していた。SCP-001-11の長男は、本人の抗議にもかかわらず、財団担当者に武力抵抗を行い、無力化された。残りの家族には、クラスAの記憶処置を施した |
SCP-001-012 |
アラブ人 |
女 |
14 |
死亡 |
対象は、GOI-3『カオス・インサージェンシー』のメンバーにより確保行動中に殺害された。詳細はインシデントレポート001-12-RC-EXを参照 |
SCP-001-013 |
韓国系アメリカ人 |
女 |
不明 |
収容されていない |
確保行動は難航している。 |
SCP-001-014 |
ナバホ族 |
男 |
23 |
収容済み |
対象とSCP-1295との接触が為された後、財団に確保された。詳細は文書001-EXを参照 |
補遺-02: SCP-001-01からSCP-001-05は██/██/1944にエルサレムにおいて、この地区で噂されていた奇跡とその他の異常現象について調査していたHMFSCPによって確保された。SCP-001-01からSCP-001-05は3人の人間に保護されていた。彼らはPOI-1458、POI-1459、POI-1460と分類された。彼らはGOI-16“境界線イニシアチブ”と繋がりを持っている可能性があり、設立に参加したと考えられている。
確保行動はHMFSCP内部での戦闘に妨げられた。結果起きた銃撃戦によってSCP-001-01は重傷を負ったが、他の対象は首尾よく無事に確保され、保護派閥の管轄に置かれた。SCP-001の保護責任者は戦闘中に逃亡し、拘束することはできなかった。
インタビューログ001-11-02
SCP-001-05への以下のインタビューが、19██/██/██に記録された。
████████博士:前回、あなたは明確な目的を持っていると話して下さいましたね。説明していただけますか。
SCP-001-05:わたしは、物事を正しく直すためにここにいる。
████████博士:続けて。
SCP-001-05:世界は壊れているんだ、先生。そしてわたしの兄弟たちとわたしはそれを癒すためにここにいる、ひとところに集まって、来るものへ対する方法を準備するために。プロセスは既に動き出している。残念なことに、いくらかの不都合があったがね。
████████博士:説明して下さい。
SCP-001-05:[SCP-001-01]、彼が残りの全てを集めるものだった。彼が今生死の狭間にいるために、務めは我々のもとに来た、しかし我々は数人をおぼろげに知ることしかできない。それがせいいっぱいだ。
████████博士:あなたは彼の生存について恐れていないのですね。
SCP-001-05:死は、為さねばならないことのもう一つの要素にすぎない。恐れることは何もないよ。
████████博士:感服すべき考え方ですね。あなたの目的をどうやって知ったのですか?
SCP-001-05:夢を見たんだ。前兆、予知、幻覚、なんとでも呼べばいい。それはわたしの頭に種を植えつけた。君たちが直感と言うであろうものを。[SCP-001-01]に会ったのはその次の日だった。
████████博士:夢の内容を説明出来ますか。
SCP-001-05:男がいた。豪華な服を着て、王か皇帝のようだった。彼は「仕立屋はどこだ? 仕立屋はどこだ?」と言い続けながら、行ったり来たりしていた。彼がそれを尋ねる度に、他の声が「彼は今近くにいます。彼はすぐ側にいます」と答えた。しかし彼は到着していなかった。男はだんだんと狼狽えだした。そして彼が歩く間に、蛾が現れて彼に止まり、服を食い荒らし始めた。彼のローブはぼろぼろになり、ますますたくさんの蛾が彼に止まった。だがその時扉が開き、仕立屋が、彼一人ではなく王国中の最も優れた仕立屋たちを大勢連れて現れた。王は彼を貪らんとする蛾から救われるであろうことを知り、狂喜した。そこで目が覚め、わたしは知ったのさ。彼がわたしを見出し、そしてわたしは彼についていくのだと。
████████博士:大袈裟な言葉を使わせてもらえるなら、あなたたち全員が集結した時に世界は終わる、それで合っていますか?
SCP-001-05:[くすくす笑う]先生、世界はもう終わっているんだよ。これが最後の戦いだったんだ。世界の時間は来てしまい、そして去った。蛾のほかは何もかもが無くなるまで、それは一日ずつ薄く引き伸ばされていくだろう。だが、まだいくらかの時間が残されている。我々は互いを見つけることができる。
████████博士:そして、それが起きた時には?
SCP-001-05:静かな日々さ、先生。静かな日々と、平和だ。
インシデントレポート001-05-EX
日付: 19██/██/██
場所: サイト128(座標 ██-██.█-██.█)
事象タイプ: LK(局地的脅威)
説明: 事象は現地時間22:12、SCP-001-05の死亡の際発生した。これに対応して、サイト41、サイト98、サイト203に機動部隊が配置された。22:15、サイト128内の全アイテムの破壊プロトコルが認められた。
異常現象
- UAP-████ - 粘土に類似した組成を持つ自己複製物質。脊椎動物と接触するとそれに張り付き、その性質を上書きする。対象がいない場合、地面について広がるか大きな塊に融合する。
- UAP-████ - 8枚の翼と、鳥類と頭足綱の特徴を持つ実体。翼長70m、高さ45m。外側に長さ約3mと測定されるカラスに似た実体の群れが現れた。
- UAP-████ - 109個の大立方立方八面体、幅およそ1m。物体の20km圏内の気温が250℃以上に上昇する。効果範囲を外れた後の地域は即座に涼しくなる。物体はおおよそ時速25kmで飛ぶことが可能だった。
- 最初の出来事が起こったサイトから110kmの範囲まで広がった異常気象パターン。降った雨はザイール・エボラウイルス、大腸菌、大疱瘡などの致死性病原体を大量に含んでいた。
回復活動: ウロボロスプロトコルが22:23に開始され、21:00に完了した。プロトコルは97%が遂行された。
財団の被害: 1350
喪失したアイテム: 27
推測される一般市民の被害: 10000
インシデント・レポート001-012-RC-EX
日付: 20██/██/██
場所: [編集済]、東サモトラケ・イスラム教共和国
イベントタイプ: LK(局地的脅威)
説明: 現地時間07:31、SCP-001-12の回収が行われた。対象は不本意ながら同意した。07:41にGOI-3“カオス・インサージェンシー”工作員が回収チームを攻撃した。この事態により、SCP-001-12はエージェント████と████████とともに重傷を負った。SCP-001-12はこの時混乱した状態にあり、異言の兆候を見せていた。その中で意味をなしている発言は以下のように記録されている。
あいつらは飢えている、見えるでしょう……齧って、噛み砕いて、引っ掻いて、ばりばり、ばりばり……古い食べ物でも、無いよりはまし、そう、あいつらはとても飢えている、ずっと飢えている。
8:15に回収チームは二度目の襲撃を受け、SCP-001-12の死亡という結果となった。
異常現象
- UAP-████ - 非晶質の5本脚の実体、高さ約50m、長さ約200m。通常兵器に耐性があった。
- 2%のチョコレートミルク、原油、チキンブロス、ウサギの糞便の混合物からなる洪水。
- SCP-1348の再出現。顕著な変化のため、文書001-EXを参照。
回復活動: 08:17、O5委員会により核配置が許可される。ウロボロスプロトコルが08:46に開始され、07:30に完了した。プロトコルは61%が遂行された。
注記: 東サモトラケ・イスラム教共和国は、ウロボロスプロトコル稼働の不備による現実不確定性のため、SCP-1173に分類された。
財団の被害: 8
推測されるカオスゲリラの被害: 25
推測される一般市民の被害: 175,000
文書001-EX
前書き: SCP-001がアブラハム宗教起源と考えられることと、類似した起源の宗教を基にした特異な事象への効果から、この効果がそこまで有効かを確かめる実験が認可された。SCP-361はリスクの低さと、簡単に観察できる効果を持つ非アブラハム宗教の物品としてこの試験に選ばれた。
<記録開始>
SCP-001-02はSCP-361に羊の肝臓を見せるように指示された。
SCP-361: HarusCoへようこそ!私たちは―ああ、あんたか。
SCP-001-02: そうね。
SCP-361: ううん、あんたが呼び出したってことは…ああ参ったね。もう時間か。
SCP-001-02: ええそうよ。
SCP-361: ええと…来るとは思ってたよ。近頃は取引もめっきり少なくなったしな。もう行く時だってことか。
SCP-001-02: あなたは私たちと行く。それで全てはまた元通りになるのよ。
SCP-361: あんたにそれができるならな。そうだな、小僧、これでさよならってことだ。俺たちとあんたの上司は会ったことはなかった、でもまあいい関係だったな。楽しかったぜ。
SCP-001-02: あなたはそこへ行くでしょう。約束するわ。
SCP-361: それに、俺たちはあんたの信じてることはこれっぽっちも疑ってないぜ。向こうで会おう、小僧。会えたらな。
SCP-001-02: ふふふ。私を小僧と呼んだ最初で最後のひとなんて忘れようがないわ。
<記録終了>
結果: テスト001/361の後、SCP-361は活動を終えた。従来の反応を引き出そうとするあらゆる行動を試したが、接続されていない電話と同じ音が鳴っただけだった。
前書き: SCP-738は同様のテーマに関連するものとして実験に選ばれた。事象(以後SCP-738-4と呼称)の物理的性質については、SCP-001-03には説明されなかった。
<記録開始>
SCP-738-4: おお、見給え! 一体全体どうやってここに来たのかな? 私は何をして差し上げよう?
SCP-001-03: ただの伝言係よ、ジャック。 次にあなたが戻ったら、みんなに準備するように言って。契約は終わり。
SCP-738-4: 馬鹿にしてるのか? ふざけた詐欺行為などやっていないのに?
SCP-001-03: おあいにくさま。
SCP-738-4: おしゃかにされる時間か、なあ? 血まみれの間抜けなクソッタレだ、ずいぶんと長い間、わかるか? 君のために、今日はただだ。今回は私の奢り。親切心を失って、萎びた黒い心を正そう。
SCP-001-03: あら、そんなに黒くはないと思うわよ。
SCP-738-4: [笑って、机を叩く]君は面白い! わかるかい、君を気に入ったってことだ。いつもジョークと笑顔を持っているからだ。
<記録終了>
結果: SCP-738-4が『お代はこちらが。 ―X』と書いた契約書が残された。SCP-001-03は、なぜSCP-738-4を“ジャック”と呼んだのか理由を述べなかった。SCP-738-4は使用時にどのような異常な兆候も見せず、SCP-738-Nとして再分類された。
前書き: ████年██月██日18時03分、SCP-1295の4実体は食堂を去ろうとしていたところ、後にSCP-001-014と分類される個人から話しかけられた。SCP-1295の取扱方として当該シナリオにおいての財団職員の直接干渉が許可されていなかったため、代わりに会話が記録された。
<記録開始>
SCP-001-014: おじさん達、ちょっと時間いいかな。
SCP-1295-4: おう、とうとうやってきたか! 小僧、お前わしらをどれだけ待たせたと思っとるんじゃ? 待ちくたびれたぞ?
SCP-001-014: ごめんごめん。僕はここのところ自分の仕事の説明を受けてただけさ。
SCP-1295-1: ああ、もう気にするな坊主。ドワイトはくだをまいとるだけじゃ。言いたいことはようやくお前さんに会えてべらぼうに良かったということじゃよ。
SCP-1295-2: おうよ。ここに座っとるのも悪くはなかったんじゃが、飽きる暇もないくらいフルーツコブラーばかりを食わされた奴がおってな。そろそろ仕事に戻るとするかの。
SCP-001-014: 実は僕が来たのもそのためなんだ。あなた方がまた馬に乗る日が近づいてる。僕はそれをあなた方に知らせて、準備を始めてもらうように言われていた。何をすればいいかはあなた方でわかってるって。
SCP-1295-3: ああそうとも、坊や。わかっとる。自慢じゃないがわしよりその仕事に詳しい奴はおらんわい。
SCP-001-014: ほかの時代で一緒に生きていた時のことも思い出してほしいな。この仕事に必要なのは手術用のメスであって幅広剣じゃない。今回はみんな優しくしてもらわないと困るよ。
SCP-1295-1: おいおい、そんなこと言うから不安になってきたぞい。
SCP-1295-4: 心配するな。わしらだって頼まれれば優しくすることくらいできる。コトが片付いたらまた会うこともあるかもな、小僧。気を付けろよ。[SCP-1295-1~3へ]行くぞお前たち!時間が惜しい、わしらにはやることが山ほどあるぞ!出発じゃ!
<記録終了>
結果: SCP-1295の4実体全てが食堂を後にした。その出発後、財団職員はSCP-001-014を引き留め、特に新たなインシデントを起こすこともなく収容下に入れた。SCP-1295実体はこの会話以降食堂へ戻ってこず、また確認もされなくなった。
前書き: SCP-001-05の死に伴い、サイト87の考古学収容ユニットはDKクラス次元シフトイベントに遭遇し消失したため、外部からの干渉や意思疎通が不可能となった。SCP-001-12の死の後、サイト87は以前の位置に復帰した。その際、探査チームがSCP-1348の収容状況を調査するため派遣され、その動作に以下の変化が生じていることが発見された:
- サイト消失時に現地にいた全ての財団職員は、その個人装備、技術装置、食料と共に消滅していた。
- 5体のSCP-1348-1がSCP-1348内部の部屋から発見された。以前発見されたSCP-1348-1-Eとは異なり、これら実体は完全な健康体で現れた。実体はSCP-1348-2を遂行中に発見されたと報告されている。
- おそらく前述のSCP-1348-1実体の現存のために、SCP-1348-2として認定された儀式が変化していた。SCP-1348-1実体によって変化されたSCP-1348-2儀式の遂行には、以前の実態にあったミーム的効果が欠損している。SCP-1348-3の隔壁は現在恒久的に開いているため、変化したSCP-1348-2の目的は現状不明。
- SCP-1348-3と認定された内部の部屋は顕著に変化していた。以前は原セム族様式だった室内の装飾が、メソアメリカ式、印欧祖語、南極式を含むより幅広い文化様式を含んでおり、加えてそこには明らかにSCP-1348の推定建造年月日より後の時代に作り出されたデザインも存在した。
- SCP-1348-3中央の隔壁は恒久的に開かれており、隔壁の内側にあった以下のようなアラム語のエッチング以外空であったことが判明した: 「彼は十分に苦しみ、折れた背骨に長らく世界を背負い続けてきた。そして彼の美徳にも世界にも、今終わりが来る。その終わりが何であれ、彼は自由となり、ついに忘却の抱擁に微睡むのだ。彼の鎮魂歌は解明の時まで歌われ続けるであろう。彼はそれだけに値する」
- 放射線の痕跡は観測されなかった。Euclidへの再分類は未定。
前書き: SCP-073の反作用に関する安全のため、SCP-001-11を利用した実験が承認された。またSCP-076の無効化の実現を期待された。
<記録開始>
SCP-073: こんにちは。前に会ったかな?
SCP-001-11: いいや、会ってないよ。
SCP-073: 君はドクターには見えないな……
SCP-001-11: 職業は学校の教師だ。でも、それはたいしたことじゃない。あなたはその呪縛から解き放たれた。
SCP-073: 本当に? 長い間ずっとあったんだよ。
SCP-001-11: 本当だ。
SCP-073: それなら、確かめる簡単な方法があるな。もし君がよければ……[SCP-073は頭を回し、頬を向ける。SCP-001-11は頷き、SCP-073を平手で打つ。行動は問題なく行われ、いかなる反作用も記録されなかった]
SCP-073: 本当だ。私の弟にはもう会った?
SCP-001-11: いいや、まだだ。
SCP-073: ああ…。彼に会ったら、済まない、と伝えてくれ。
<記録終了>
結果: SCP-073はすぐに特異な性質がないことを示してみせ、SCP-073-Nとして再分類された。観察は継続している。
前書き: SCP-073へのSCP-001-11の接触が成功したため、O5委員会はSCP-076について実験的な無効化を承認した。SCP-001-11は第一収容ユニットに入り、SCP-076-1からSCP-076-2が出てくるまで待機するよう指示された。
<記録開始>
[SCP-001-11はSCP-076の収容ユニットに入り、SCP-076の出現まで待つよう指示される。63分後、SCP-076-2がSCP-076-1から現れる。SCP-001-11を見て、SCP-076-2は抑えきれず狂ったように笑い出し、ついで約30分の間泣く]
SCP-076-2: 私は許されたのか?
SCP-001-11: そうだよ。
<記録終了>
結果: SCP-076-2はすぐに特異な性質や暴力的な傾向がないことを示してみせ、SCP-076-2-Nとして再分類された。彼は高セキュリティ人間型収容ユニットに移転した。
文書001-IC-34
以下の声明は、GOI-16“境界線イニシアチブ”の指導者が出したものです。このメッセージは20██/██/██にアイテムE-7455の側で発見されました。
世界が死にかけていて彼らだけがそれを守れるなんてことを、君たちはどうやって誰かに説明する?
我々はその疑問についてたびたび自問自答してきた、エルサレムにおけるあの信義の日から60年以上も。そして我々はそうするための最も効果的な方法で、異なる考えを受け容れた。50年前、我々はエリヤであり、傲慢と憤怒に満ち、“36人”を集めるために我々の数少ない兄弟たちに呼びかけ、目標を進めるために恐怖を利用した。30年前、我々はイザヤであり、我々の行動は正しいという確信を持って、数少ない勇敢な兄弟たちを強くしようとし、我々の試練の偉大さを喧伝し、我々の目的に賛同する結社を作るために、新しく見つかった彼らの秘密を利用した。10年前、我々はエレミヤであり、世界の列強の門の前で涙を流し、この試練は今や我々の力を超えているということを理解して、彼らに嘆願していた。
そして今は? 我々はヨナだ。そして何もいうことはない。何が危うくなっているのか、そのとき君たちが知ることができるのは、君たちの組織の全ては三人の老人の言ったことをただ行っていたということなのだと、どうやって君たちに理解してもらえるだろう? これは正しい人間の手には負えないだろう。そして我々は、君たちがそんなことをやるとは確信していない。我々が君たちに望めるのは、ただ聞いてもらうことだ。
君たちは“36人”ができることを知っているだろう。彼らの周りの世界が解かれていくのを見ただろう、だが何故なのかは理解していない。君たちは彼らを、君たちの偉大な災いの書に載っているもののひとつ、君が維持している全体―世界への脅威でしかないと認識している。そうではない。君が世界から隠し、維持している物や現象は災いではない。それらは兆しであり、君たちが病を無視してそれらを世界から覆い隠すことで、世界を維持しているのではない。問題は、この状態が長く続いているということだ。世界はただ単純に老いている、そして“36人”……彼らがそれをもう一度、若返らせることができるのだろう。
彼らがそうするために、君たちは究極の犠牲を払わなければならないだろう―君たちは、そのアイデンティティを放棄しなければならない。君たちは確保してきた、我々はそれが確かでないことを認めるように頼む。君たちは収容してきた、我々はそれを解放するように頼む。君たちは保護してきた、我々は脆い世界を放っておくように頼む。これは不可能な要求だろう、我々は知っている。しかしそれが我々のどんな希望にもなるのなら、これを全て満たすべきだ。“36人”を解き放て、彼らを集めろ。彼らの望むようにし、そして我々はついていくだろう。
三人の老人が世界を若返らせるのを助けるんだ。死なせるな。