PZL-130 (航空機)
PZL-130 オルリク
開発
編集従来ポーランド空軍で運用されていたTS-11の後継機として、ポーランドの国営航空機メーカーであるPZL社が開発した機体である。初号機のエンジンはM-14Pm星型レシプロエンジン(325馬力)を使用したが、馬力不足もあり採用されなかった。1985年からはカナダの企業の協力を得て、ターボプロップエンジンを使用したターボ・オルリクの開発が開始された。ターボ・オルリクはエンジンをPT6A(550軸馬力)に換装したほか、ドーサルフィンなどの追加が行われている。ターボ・オルリクは1986年に初飛行している。
その後、東側のエンジンであるM601ターボプロップエンジン搭載機(PZL-130TMおよびPZL-130TB)の開発試験などが行われ、PZL-130TBを改良したPZL-130TC Iがポーランド空軍に採用された。
設計
編集機体は、プロペラ練習機として一般的なもので、機首に5翅プロペラがあり、低翼配置・直線翼の主翼である。練習機であるため、タンデム複座に大きなキャノピーを持ち、良好な視界が確保されている。ポーランド空軍が採用したPZL-130TC Iは射出座席を装備している。ジェット機の操作特性に近づけるために、翼幅も短いものとなっている。また、主翼下にはハードポイントも用意されている。
運用
編集50機がポーランド空軍に配備され、訓練飛行隊と曲技飛行隊「オルリク」で用いている。PZL社では、PZL-130TC Iのエンジンをピラタス PC-9など各国の練習機にも使用されているP&WC PT6Aに換装したPZL-130TC IIや、アビオニクスを更新したPZL-130TC IIIも開発した。機体はFAR23分類にも則っているが、現在までにTC Iがポーランド空軍に採用されたのみである。
ポーランド軍は2017年12月19日、PZL-130 TC-I 12機を1.86億ズウォティでPZL-130TC-II基準に近代化する契約を結んだ。すべての作業は2020年10月30日までに終了する予定[1]。
各型
編集- PZL-130 オルリク
- 原型機。M-14Pm星型ピストンエンジン搭載。1984年初飛行。
- PZL-130T ターボ・オルリク
- P&WC PT6Aターボプロップエンジン搭載。1986年初飛行。
- PZL-130TM オルリク
- M601Eターボプロップエンジン搭載。
- PZL-130TB オルリク
- M601Tターボプロップエンジン(750軸馬力)搭載。
- PZL-130TC I オルリク
- PZL-130TBの改良型。射出座席の追加、アビオニクスの更新。ポーランド空軍が採用。
- PZL-130TC II オルリク
- TC Iの主機をP&WC PT6Aターボプロップエンジンに換装し、翼端にウィングレットを追加。
- PZL-130TC III オルリク
- アビオニクスを更新した改良型。
要目 (PZL-130TC II オルリク)
編集- 全長:9.3m
- 全幅:10.0m
- 全高:3.53m
- 自重:1.8t
- エンジン:P&WC PT6Aターボプロップエンジン(750軸馬力)1基
- 最大速度:480km/h
- 航続距離:2,200km
- 乗員:2名