CASA C-212

ベネズエラ空軍のCASA C-212

ベネズエラ空軍のCASA C-212

CASA C-212 アヴィオカー(C-212 Aviocar)は、ターボプロップエンジン付きのSTOL(短距離離着陸)中型輸送機である。民間軍用に向けにスペインで設計、製造された。

概要

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C-212はインドネシアインドネシアン・エアロスペース社(以前はIPTNと呼ばれ、現在はIAeとして知られる)でもライセンス生産された。当初はアヴィオカーという名称で販売されていたが、EADS-CASA社ではこの名称を使用せずにC-212に変更した。

各モデル合わせて総計471機のC-212が2006年末までに納入されたが、EADS-CASA社(現在はエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社の傘下)では2007年から2017年の間に更に85機を納入すると言っている[2]。EADS-CASA社は1998年からスペインの耐空証明を取ったC-212-400型を生産している。C-212-200型は現在インドネシアで生産されており、IAeは2008年から-400型を生産する準備を進めている[要出典]

設計と開発

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1960年代末になるまでスペイン空軍は既に時代遅れとなっていたユンカース Ju52ダグラス C-47という非与圧キャビンでターボチャージャーも付かない3発と双発エンジンの2種類の輸送機をまだ運用していた。CASAはC-212を軽量で信頼性の高いターボプロップエンジンを装備した近代的な選択肢として開発し、最初の試作機はT.12Bの制式名で1971年3月26日に初飛行を行った。1974年にスペイン空軍はアヴィオカーを購入して輸送機材を一新することを決定した。

航空会社がC-212の軍用機としての成功に着目したことでCASAは民間型を開発し、最初の機体が1975年7月に引き渡された。2006年8月時点で総計30機(各型合わせて)のCASA C-212が世界中の航空会社で就航している。[3]

C-212は箱型の胴体に固定式の降着装置を持った高翼配置の航空機で、仕様によって21-28名の乗客を乗せることができる。与圧キャビンの胴体を持っていないため比較的低高度(10,000 ft MSL以下)を飛行する航空会社の使用に限られるが、これは地域航空など短距離をメインとする場合は理想的な機体であると言える。

派生型

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100型

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C-212A
C-212-5C-212-5 100M型としても知られる最初の軍用量産型。スペイン空軍ではT-12BD-3A (救命搬送 機用)と呼称。129機生産。
C-212AV
VIP 輸送モデル T-12C.
C-212B
写真偵察任務用に6機の前量産型のC-212Aを改装。TR-12A
C-212C
最初の民間モデル
C-212D
航法訓練用に2機の前量産型のC-212Aを改装。TE-12B.
NC-212-100
1976年からインドネシアのIPTNでライセンス生産されたC-212-100。NC-212-200にモデルチェンジされるまでに28機生産。

200型

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CASA CN 212-200

1979年に導入された胴体を延長しエンジンを定格900 shp (671 kW)のハネウェル TPE-331-10R-511C 又は -512Cにしたモデル。CASA C-212-200は、その大きな内容積、高い上昇率、飛び出し用ランプを備えた大きな尾部扉でスカイダイビング用の機体としても人気がある。

C-212 200M
スペインでT-12Dスウェーデン空軍Tp 89として知られる軍用モデル。このモデルから対潜哨戒機型と洋上哨戒機型が製造された。
NC-212-200
IPTNでライセンス生産されたC-212-200。
NC-212-200 MPA
MPA型[4]

300型

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1987年から生産されている標準生産モデル。エンジンを定格900 shp (緊急出力925 shp)のハネウェル TPE-331-10R-513Cに、プロペラハーツェル・プロペラ社製の複合材4枚ブレードからダウティ・ロートル社製の全金属製4枚ブレードに換装したもの。ウィングレットと大型化された垂直尾翼のお陰で性能は向上し、機首に追加された荷物室により200型よりも流線型の機首を持っていた。追加の統合型自動操縦装置を含む様々なシステムのアップグレードが組み込まれた。

C-212-M 300型 (300M型)
軍用モデル
C-212 300型 旅客機
26座席、近距離旅客モデル
C-212 300型 多用途機
23座席、民間多用途モデル
C-212 300P型
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-65 エンジンを装着した民間多用途モデル

400型

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C-212-400

1997年に初飛行したアップグレードしたモデル。最大出力925 shp (690 kW)のハネウェル TPE-331-12JR-701Cエンジンを装備し、機体のサイズと性能は基本的に300型と同じである。300型と比較すると多くの機器が洗練、改良されており、標準計器は4画面ロックウェル・コリンズ社製の電子飛行計器システム(Electronic Flight Instrument System (EFIS))、2画面の統合型エンジンデータシステム(Integrated Engine Data System (IEDS))と慣性照会装置(Inertial Reference Unit (IRU))を組み込んだ汎用UNS-1K飛行管理装置(FMS)を備えている。

現在、この型はスペインでのみ生産されているがアメリカ合衆国に於ける民間での使用の認証をとっていない。

運用

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スペイン空軍のC-212-100
 
アメリカ空軍のC-41A

事件と事故

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CASA C-212は合計499名の死者を含める71機の機体喪失事故を起こしている。[6] [7]これは事故発生率としては高い数値ではあるが、一般的にほとんどの墜落の原因はこの機種が危険性の高い低高度で使用されていることによるものであることに起因していると考えられる。

  • 2004年11月27日:プレジデンシャル航空(Presidential Airways)のCASA C-212-200(登録記号:N960BW/製造番号:231)がアメリカ国防省との契約によりアフガニスタンの遠隔地に展開しているアメリカ軍に補給物資を運んでいた。この機は箱状渓谷に入り込み標高16,739 フィートのバダ山(Baba Mountain)の14,650フィート地点に衝突した。この時の飛行はバグラム(Bagram)とファラ(Farah)間の通常の航空路より約25海里北に寄っていた。[8]
  • 2006年10月26日スウェーデン沿岸警備隊のCASA C-212-200(登録記号:SE-IVF/製造番号:KBV 585)が哨戒任務中にファルステルボ運河に墜落し4名の乗員全員が死亡した。[9] [10]目撃者の証言によると事故の原因は何らかの理由で片側の翼が機体から脱落したことによるものらしい。[11]スウェーデンの事故調査委員会の予備報告では、右主翼の脱落は主翼内の耐荷構造で発生した疲労亀裂が成長したことによるものだということを示唆している。[12]
  • 2008年6月26日:12名の軍人と6名の民間人が搭乗したインドネシア軍のCASA C-212がデジタルマッピング・カメラのテストのために首都からボゴール(Bogor)へ向けて飛行していたが、ジャカルタから90km(60 マイル)南のサラク(Salak)山岳地区で消失した。空軍の報道官は同機が墜落したらしいと述べた。[13]

要目 (300M型)

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出典: greg goebel (2011年5月1日). “CASA Cargolifters: C-212, CN-235, & C-295” (英語). 2011年12月25日閲覧。

諸元

性能

  • 最大速度: M0.30=370 km/h (200 kn)
  • 巡航速度: M0.22=275 km/h (148 kn)
  • 失速速度: M0.12=145 km/h (78 kn)
  • 航続距離:  
    • 最大積載時: 1,435 km (775 nmi)
    • 最大燃料時: 2,680 km (1,450 nmi)
  • 上昇率: 497 m/min (1,630 ft/min)
  • 離陸滑走距離: 610 m (2,000 ft)
  • 着陸滑走距離: 460 m (1,515 ft)
  • * 巡航高度:7,925 m (26,000 ft)

武装

  使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

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  1. ^ Orders, Deliveries, In Operation Military aircraft by Country - Worldwide”. Airbus. 1 June 2024閲覧。
  2. ^ Aviation Week & Space Technology, 29 October 2007 issue, p. 66
  3. ^ Flight International, 3-9 October 2006
  4. ^ Indonesian Navy in talks with PTDI for MPA variants of NC-212-200 aircraft
  5. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 476-478. ISBN 978-1-032-50895-5 
  6. ^ Accident statistics for CASA C-212 from the Aviation Safety Network (英語)
  7. ^ List of incidents in the Aviation Safety Network Database (英語)
  8. ^ a b SEMAR aircraft crashed in Mexican Gulf from the SEMAR (スペイン語)
  9. ^ Press release from the Swedish Coast Guard (スウェーデン語)
  10. ^ Accident description, October 26, 2006 in the Aviation Safety Network Database (英語)
  11. ^ Four dead after coastguard plane crash, The Local, October 26, 2006. (英語)
  12. ^ Statens Haverikommission, (Swedish Accident Investigation Board) (英語)
  13. ^ Plane goes missing over Indonesia from the BBC (英語)
  14. ^ http://www.cnn.co.jp/world/CNN200910100007.html
  15. ^ “墜落機と操縦士を捜索中の海上警察航空機が墜落、9人行方不明”. 乗り物ニュース. (2016年6月7日). http://www.viet-jo.com/news/social/160617054700.html 2017年9月1日閲覧。 

外部リンク

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