鳥高斎栄昌
江戸時代の浮世絵師
来歴
編集鳥文斎栄之の門人。俗名不明、昌栄堂とも号す。作画期は寛政5年(1793年)から寛政11年(1799年)にかけてで、錦絵、黄表紙の挿絵、肉筆浮世絵を描き、栄之の門人の中では一番の作画量を誇る。錦絵の作では喜多川歌麿風の美人大首絵があり、代表作として寛政6年から寛政11年にかけて版行の大判揃物「郭中美人競」が知られる。寛政10年には黄表紙の挿絵を4点描いている。
作品
編集- 『帒湊宝乗合』三巻 黄表紙 ※壁前九年坊作、寛政10年刊行
- 『奇遇雌雄器』三巻 黄表紙 ※九年坊作、寛政10年刊行
- 『摹書筆回気』三巻 黄表紙 ※九年坊作、寛政10年刊行
- 『産品図面/難病一変 即席御療治』 黄表紙 ※九年坊作、寛政10年刊行
- 「郭中美人競 兵庫屋三ツ濱」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「郭中美人競 扇屋内花扇」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「郭中美人競 角玉屋内若紫」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「郭中美人競 大文字屋内本津枝」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「郭中美人競 越前屋内浅妻」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「当世美人合 扇屋花扇」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「当世美人合 越前屋内唐土」 大判錦絵 ボストン美術館所蔵
- 「若那屋内 白露」 大判錦絵 東京国立博物館所蔵 ※「昌栄堂栄昌画」の落款あり
- 「青楼俄万歳」 大判錦絵 ベルリン国立東洋美術館所蔵
- 「角玉屋玉菊」 間判錦絵 たばこと塩の博物館所蔵
- 「四季童遊 水仙 梅」 間判錦絵 ブリュッセル王立美術歴史博物館所蔵
- 「出世三美人 富本豊雛」 間判錦絵
- 「出世三美人 高島おひさ」 間判錦絵
- 「青楼美人揃 丁子屋雛鶴」 中判錦絵 ピッツバーグ美術館所蔵
- 「隅田川図巻」 紙本着色、一巻 浮世絵太田記念美術館所蔵 ※「栄之翁筆 応需栄昌摹」の落款あり。栄之の描いた「隅田川図巻」を人の求めに応じて模写したもの。
- 「蚊帳美人図」 絹本着色 光記念館所蔵 ※「鳥高斎栄昌画」の落款、「榮昌」の朱文方印あり。那須ロイヤル美術館(小針コレクション)旧蔵
参考文献
編集- クラウス・J・ブラント 『HOSODA EISHI』 西ドイツ、1977年(ドイツ語)
- 「細田派版画作品目録」 『浮世絵聚花 フォッグ美術館・ネルソン美術館』 小学館、1980年
- 楢崎宗重編 『肉筆浮世絵第六巻 歌麿』 集英社、1981年 ※91 - 92頁
- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
- 吉田漱 『浮世絵の見方事典』 北辰堂、1987年
- 『小針コレクション 肉筆浮世絵』(第四巻) 那須ロイヤル美術館、1989年
- 棚橋正博 『黄表紙総覧 中篇』〈『日本書誌学大系』48 - 2〉 青裳堂書店、1989年
- 稲垣進一編 『図説浮世絵入門』〈『ふくろうの本』〉 河出書房新社、1990年
- 小林忠監修 『浮世絵師列伝』<別冊太陽> 平凡社、2006年1月 ISBN 978-4-5829-4493-8