鳥居清重
江戸時代の浮世絵師
来歴
編集鳥居清信晩年の門人とされており、清朝軒とも号したという。江戸小網町に住んだと伝わる。作画期は享保から宝暦13年(1763年)頃にかけてで、役者絵及び美人画、また黒本や青本の挿絵を描いた。清重の役者絵には四代目市川團十郎などを似顔として描いたものが見られる。清重が活動した時代、役者の顔は実際に似せて描かれず、似顔の役者絵が一般に描かれるようになるのは勝川春章の活躍以降のことであるが、清重の役者絵はその以前の作例として注目される。ただし似顔として描いているのは立役の役者に限られ、若女形の役者は似顔にはなっていない。その作風はややずんぐりとした硬質な人物描写ながら、様式的な鳥居派の中にあって役者の個性に迫ろうとする新鮮な意欲が感じられる。
作品
編集参考文献
編集- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻)、大修館書店、1982年
- 林京平 「鳥居清重の「草摺引図」絵馬」、東京国立文化財研究所 「芝居絵絵馬の保存修復処置の研究」『麻布美術館 研究紀要2 1986年・秋』 1986年11月15日、pp.44-46,48-53
- 武藤純子 『初期浮世絵と歌舞伎 役者絵に注目して』 笠間書院、2005年、ISBN 978-4-305-70287-6
- 『風俗画と肉筆浮世絵 たばこと塩の博物館所蔵肉筆絵画撰』 たばこと塩の博物館、2007年