鳥園斎栄深
江戸時代の浮世絵師。肉筆画に豊川姓を記したものがある。号は鳥園斎、疎天斎。作画期は寛政から享和の頃にかけて。
来歴
編集鳥文斎栄之の門人とされる。俗名は不明だが、肉筆画の作に「豊川」の姓を記したものがある。鳥園斎、疎天斎と号す。作画期は寛政から享和の頃にかけてで、版画10数点と肉筆浮世絵数十点を残す。大首絵や柱絵に優れた作品があり、その画風は栄之、栄水に加えて喜多川歌麿の影響が窺える。作には版本の挿絵類は確認されていない。豊川如山という絵師と同一人ともいわれている。
作品
編集錦絵
編集- 「鷹匠」 大判錦絵 城西大学水田美術館所蔵
- 「鷹匠と美人」 柱絵錦絵
- 「封じ文と二美人」 柱絵錦絵
肉筆画
編集作品名 | 技法 | 形状・員数 | 寸法(縦x横cm) | 所有者 | 年代 | 落款 | 印章 | 備考 |
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装い美人図 | 絹本着色 | 仙台市博物館 | 「鳥園斎栄深筆」 | |||||
太夫禿図 | 紙本着色 | 1幅 | 123.0x50.9 | 東京国立博物館[1] | 寛政年間後期 | 「鳥園斎栄深画」 | ||
遊女立姿図 | 紙本着色 | 1幅 | 120.1x28.3 | 東京国立博物館[2] | 1789-1804年(寛政-享和年間) | 「豊川栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | |
立美人図 | 紙本着色 | 1幅 | 100.7x27.0 | 東京国立博物館[3] | 1801-18年(享和-文化年間) | 「豊川栄深筆」 | ||
立ち美人 | 絹本着色 | 光ミュージアム | 「鳥園齋栄深筆」 | 「鳥」花押 | 那須ロイヤル美術館(小針コレクション)旧蔵 | |||
雪中美人 | 絹本着色 | 光ミュージアム | 「鳥園齋栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | 那須ロイヤル美術館(小針コレクション)旧蔵 | |||
円窓の三美人図 | 絹本着色 | 1幅 | 103.5x48.2 | 光ミュージアム | 「鳥園齋栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | 三美人(右から小野小町、楊貴妃、遊女の花扇)を栄深が、島君山(詳細不明)が上部に桜を描く[4]。 | |
若侍 | 紙本着色 | 光ミュージアム | 「豊川栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | 那須ロイヤル美術館(小針コレクション)旧蔵 | |||
立ち美人 | 紙本着色 | 光ミュージアム | 「疎天斎」白文長方印 | 那須ロイヤル美術館(小針コレクション)旧蔵 | ||||
雪中傘持美人図 | 紙本着色 | 1幅 | 105.3x26.3 | 鎌倉国宝館 | 「豊川栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | ||
円窓三美人図 | 紙本着色 | 奈良県立美術館 | 「豊川栄深筆」 | |||||
振袖新造図 | 紙本着色 | 福岡市博物館 | 「栄深画」 | |||||
見立女三の宮図 | 絹本着色 | 1幅 | 94.4x33.0 | 熊本県立美術館[5] | 「豊川栄深筆」 | 「榮深」長方印 | ||
立姿美人図 | 紙本着色 | 1幅 | 107.2x26.8 | 熊本県立美術館[6] | 「豊川栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | ||
見立三聖図 | 絹本着色 | 1幅 | 53.3x31.8 | ボストン美術館[7] | 「鳥園齋栄深筆」 | 「疎天斎」白文長方印 | ||
立美人図 | 絹本着色 | 1幅 | 94.1x16.0 | ハンブルク工芸美術館 | 「鳥園齋栄深筆」 | 無 | 非常に細長い柱絵のような作品[8]。 | |
緋の袴をはく美人立姿図 | 紙本着色 | 「栄深図」 |
脚注
編集- ^ C0042009 太夫禿図 - 東京国立博物館 画像検索
- ^ C0041961 遊女立姿図 - 東京国立博物館 画像検索
- ^ C0042010 立美人図 - 東京国立博物館 画像検索
- ^ 鈴木浩平 永田生慈監修 南由紀子編集 『光ミュージアム所蔵 美を競う 肉筆浮世絵の世界』 アートシステム、2019年、第45図解説。
- ^ 見立女三の宮図 _ 所蔵品データベース _ 熊本県立美術館
- ^ 立姿美人図 _ 所蔵品データベース _ 熊本県立美術館
- ^ Parody of the Three Sages _ Museum of Fine Arts, Boston
- ^ 平山郁夫 小林忠編集 『秘蔵日本美術大観 十二 ヨーロッパ蒐蔵日本美術選』 講談社、1994年11月25日、第12図、ISBN 4-06-250712-9。
参考文献
編集- 藤懸静也 『増訂浮世絵』 雄山閣、1946年 ※国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり。171頁、121コマ目。
- 鎌倉国宝館編 『氏家浮世絵コレクション』 鎌倉国宝館、1974年
- 『蔵品図録 第二集』(絵画篇1) 奈良県立美術館、1979年
- クラウス・J・ブラント 『HOSODA EISHI』 西ドイツ、1977年(ドイツ語)
- 「細田派版画作品目録」 『浮世絵聚花 フォッグ美術館・ネルソン美術館』 小学館、1980年
- 楢崎宗重 『肉筆浮世絵第六巻 歌麿』 集英社、1981年
- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
- 吉田漱 『浮世絵の見方事典』 北辰堂、1987年 ※104 ‐ 106頁
- 『小針コレクション 肉筆浮世絵』(第四巻) 那須ロイヤル美術館、1989年
- 熊本県立美術館 『今西コレクション名品展Ⅲ』 熊本県立美術館、1991年
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(2) 東京国立博物館Ⅱ』 講談社、1995年 ※200頁
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(9) 奈良県立美術館/京都府立総合資料館』 講談社、1996年
- アン・ニシムラ・モース、辻惟雄編 『ボストン美術館日本美術調査図録 第2次調査』(全2冊) 講談社、2003年