馬を売る女

松本清張の小説

馬を売る女』(うまをうるおんな)は、松本清張小説。「黒の線刻画」第3話として『日本経済新聞』に連載され(1977年1月9日 - 4月6日付)、1977年9月に中短編集『馬を売る女』収録の表題作として、文藝春秋から刊行された。連載時のタイトルは「」。

馬を売る女
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 小説
シリーズ黒の線刻画」第3話
発表形態 新聞連載
初出情報
初出日本経済新聞1977年1月9日 - 4月6日
初出時の題名 『利』
出版元 日本経済新聞社
挿絵 濱野彰親
刊本情報
刊行 『馬を売る女』
出版元 文藝春秋
出版年月日 1977年9月30日
装幀 竹内宏一
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1978年1982年にテレビドラマ化されている。

あらすじ

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日東商会の社長・米村重一郎は5年前から競馬に凝っており、電話で馬主仲間と競走馬の情報を交換していた。が、その電話は、社長秘書の星野花江に盗聴されていた。花江はその情報を元に、会員制の競馬予想ビジネスを行い、将来に備えた資金を稼いでいた。不器量な彼女に結婚の見込みはなく、親しい友人もいなかった。電話の盗聴に感づいた米村は、日東商会の孫請け会社の八田英吉に調査を依頼する。八田の提案で、米村はニセの競走馬情報を流すよう手配した。

競馬予想が不振に陥った星野花江は、気落ちしているように見えた。英吉は江戸川区まで花江を尾行し、得意なパチンコの話を契機に花江に接近する。資金繰りの苦しい英吉は、花江の貯めた金に目をつけ、彼女と関係を結んだ後、花江の貯めた金を大量に借り始めた。花江は実際、英吉によって初めて女の歓びを知った。しかし、英吉への貸金が累積し、生活設計が狂ったことに気づき、花江は愕然とする。英吉は返済を先延ばしにしていたが、花江の請求が激しくなったため、彼女への殺意をかためる。

エピソード

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  • 本作に登場する競馬の馬主の情報を売る秘書には、実在のモデルがあり、著者が梓林太郎から聞いた話がもとになっている。梓の知り合いのT産業(不動産業)社長は、競走馬の馬主であり、競馬開催の前日、自分の客に、勝ち馬順位の情報を電話で流していた。T産業にはA子という32歳の社長秘書がいたが、ある時から社長はA子の盗聴を疑い、知人に調べさせた。その結果、A子は独自に会員を作り、競馬の情報を有料で提供、さらに、さいたま市南区内のうなぎ専門店Kで、自分の客を接待していたことが判明した。A子は独身、色白で無表情な女性であったが、貯めた資金によって、世田谷区内にマンションを購入していたという[1]

テレビドラマ

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1978年版

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松本清張おんなシリーズ
馬を売る女
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『馬を売る女』
脚本 服部佳
監督 宮武昭夫
出演者 倍賞千恵子ほか
製作
プロデューサー 石井ふく子
制作 TBS
放送
放送国・地域  日本
放送期間1978年4月9日
放送時間21:00 - 21:55
放送枠日曜劇場
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松本清張おんなシリーズ・馬を売る女」。1978年4月9日TBSの「東芝日曜劇場」枠(21:00-21:55)にて放映。視聴率20.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]

キャスト
スタッフ
TBS系列 東芝日曜劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張おんなシリーズ2
馬を売る女
(1978.4.9)
おんなの家
(脚本:橋田壽賀子
(1978.4.16)

1982年版

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松本清張の馬を売る女
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『馬を売る女』
企画 春日千春
樋口祐三
脚本 国弘威雄
監督 井上昭
出演者 風吹ジュン
泉谷しげるほか
製作
プロデューサー 小林重隆
金川克斗志
制作 TBS
放送
放送国・地域  日本
放送期間1982年10月23日
放送時間21:02 - 22:53
放送枠ザ・サスペンス
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松本清張の馬を売る女」。1982年10月23日TBSの「ザ・サスペンス」枠(21:02-22:53)にて放映。視聴率19.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]DVD化されている(DVDタイトルは「松本清張サスペンス・馬を売る女」)。

キャスト
スタッフ
TBS系列 ザ・サスペンス
前番組 番組名 次番組
松本清張の馬を売る女
(1982.10.23)

脚注・出典

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  1. ^ 梓林太郎『霧の中の巨人 - 回想・私の松本清張』(2003年、祥伝社)第2節参照。
  2. ^ a b 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)参照。

外部リンク

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