風雲 (気象衛星)
風雲 (Fēngyún 略:FY) は、中国気象局(CMA)と中国国家リモートセンシングセンター(NRSCC)が運用する中華人民共和国の気象衛星。極軌道衛星であるFY-1/3シリーズと、静止衛星のFY-2/4シリーズの二種類の衛星で構成されている。 1988年より現在[1]まで極軌道衛星9機、静止衛星10機が打ち上げられており、今後は2033年までにFY-3を7機、FY-2の後継となるFY-4を5機を打ち上げる計画となっている。
風雲1号(FY-1)
編集風雲1号(FY-1)シリーズは、中国の極軌道気象衛星である。1988年から2002年にかけて4機の衛星が打ち上げられ、2012年まで運用された。極軌道気象衛星シリーズは後継の風雲3号へ移行した。衛星の開発は中国国家航天局が担当し、ミッション要件定義、地上システムの開発、衛星運用は中国気象局が行った。衛星は3軸安定方式で設計寿命は2年である。
観測機器
編集- マルチチャンネル可視赤外放射計(MVISR, Multichannel Visible Infrared Scanning Radiometer)
- 宇宙環境モニタ(SEM, Space Environment Monitor)
打ち上げ年月日 | 略称 | 軌道 | 運用状態 |
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1988年9月6日 | FY-1A | SSO | 運用終了(1988-10-16) |
1990年9月3日 | FY-1B | SSO | 運用終了(1991-08-05) |
1999年5月10日 | FY-1C | SSO | 運用終了(2004-04-26)、2007年1月11日、人工衛星破壊実験の標的として破壊 |
2002年5月15日 | FY-1D | SSO | 運用終了(2012-04-01) |
人工衛星破壊実験による風雲1号Cの破壊
編集風雲1号C (FY-1C) は風雲1号シリーズの3号機で、1999年5月10日、長征4B型により極軌道の高度870kmに投入された。分解能1.1kmの多波長イメージャーを搭載した気象衛星で、打ち上げ時の重量は約960kg、設計寿命は2年とされている(公表値)。
2007年1月11日の弾道ミサイルによる人工衛星破壊実験の標的となり、観測可能なものだけで2,841個以上という、大量のスペースデブリを発生させた。これによって生じたデブリは軌道高度約800kmと高いため、大気圏への突入に時間がかかることからISSや他の衛星への接近など大きな脅威になっている。2013年1月22日に破片がロシアの小型衛星BLITSに衝突し、使用不能になっていると見られる事が同年3月8日に発表されたが、後にこれは風雲1号Cとは無関係の破片であることが分かった。
風雲2号(FY-2)
編集風雲2号 FY-2 | |
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所属 | 中国気象局 |
国 | 中国 |
設計寿命 | 3年 |
打上げ機 |
長征3号 長征3号A |
同型機 | |
製造数 | 9機 |
打ち上げ数 | 8機 |
運用中 | 2機 |
退役済み数 | 6機 |
初打ち上げ | 1997年6月10日 |
最終打ち上げ | 2018年6月5日 |
物理的特長 | |
発生電力 |
280 W 300 W |
姿勢制御方式 | スピン安定方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 静止軌道 |
搭載機器 | |
DCS | データ収集サービス |
S-VISSR | 可視赤外回転走査放射計 |
SEM | 宇宙環境モニタ |
SXM | 太陽X線モニタ |
風雲2号(FY-2)シリーズは、中国の静止気象衛星である。2024年6月現在、FY-2G/Hの2機が軌道上で運用されている。 衛星はGMSやGOES(初期型)などと同じスピン安定方式であり、直径は2.10m、高さ1.60mの円筒形である。重量は1380kg(打ち上げ時、3号機以降)、スピンレートは100±1rpmで、撮影はスピン・スキャン方式が採用されている。 1994年に1号機(FY-2)が打ち上げ試験中に発射台で破壊され、2号機であるFY-2Aが1997年に打ち上げられた。これまでに8機が打ち上げられた。
観測機器
編集- データ収集サービス(DCS, Data Collection Service)
- 可視赤外回転走査放射計(S-VISSR, Stretched Visible and Infrared Spin Scan Radiometer)
- 宇宙環境モニタ(SEM, Space Environment Monitor)
- 太陽X線モニタ(SXM, Solar X-ray monitor) - FY-2F以降に搭載
打ち上げ年月日 | 略称 | 軌道 | 運用状態 |
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N/A | FY-2 | ー | 1994年4月2日、射点で燃料充填中に爆発して破壊 |
1997年6月1日 | FY-2A | GEO 105°E | 運用終了(1998-04-08) |
2000年6月25日 | FY-2B | GEO 105°E | 運用終了(2004-09-01) |
2004年10月19日 | FY-2C | GEO 105°E | 運用終了(2009-11-23) |
2006年12月8日 | FY-2D | GEO 80.6°E | 運用終了(2015-06-30) |
2008年12月23日 | FY-2E | GEO 105°E | 運用終了(2018-12-31) |
2012年1月13日 | FY-2F | GEO 112°E | 運用終了(2022-04-01) |
2014年12月31日 | FY-2G | GEO 86.5°E | 運用中[3] |
2018年6月5日 | FY-2H | GEO 86.5°E | 運用中 |
風雲3号(FY-3)
編集風雲3号(FY-3)シリーズは、風雲1号の後継となる極軌道気象衛星である。2021年7月現在、3機(FY-3B/C/D)が運用中で、2025年までに更に4機が打ち上げられる予定である。衛星は3軸安定方式で設計寿命は5年(FY-3A/Bのみ2年)である。
打ち上げ年月日 | 略称 | 軌道 | 運用状態 |
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2008年5月27日 | FY-3A | SSO | 運用終了 |
2010年11月4日 | FY-3B | SSO | 運用中 |
2013年9月22日 | FY-3C | SSO | 運用中 |
2017年11月14日 | FY-3D | SSO | 運用中 |
2021年7月4日 | FY-3E | SSO | 試験運用中 |
2023年(予定) | FY-3F | SSO | 計画中 |
2023年(予定) | FY-3G | 未定 | 計画中 |
2024年(予定) | FY-3H | SSO | 計画中 |
2025年(予定) | FY-3I | SSO | 計画中 |
2025年(予定) | FY-3J | 未定 | 計画中 |
風雲3号 降雨観測衛星(FY-3G/J)
編集風雲3号 降雨観測衛星(FY-3G/J)は、計画中の極軌道気象衛星である。旧名はFY-3RM-1/2。全球降水観測計画主衛星と同様のKu/Kaバンド降水レーダーを搭載し、低緯度熱帯地域の多頻度観測を行う。2023年および2025年の打ち上げが計画されている。衛星は3軸安定方式で設計寿命は3年である。
打ち上げ年月日 | 略称 | 軌道 | 運用状態 |
---|---|---|---|
2023年(予定) | FY-3G | 未定 | 計画中 |
2025年(予定) | FY-3J | 未定 | 計画中 |
風雲4号(FY-4)
編集風雲4号(FY-4)シリーズは、風雲2号の後継となる静止気象衛星である。2025年から2033年にかけて5機の打ち上げが計画されている。衛星は3軸安定方式で設計寿命は7年(FY-4Aは5年)。
打ち上げ年月日 | 略称 | 軌道 | 運用状態 |
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2016年12月10日 | FY-4A | GEO | 運用中 |
2021年6月2日 | FY-4B | GEO | 試験運用中 |
2025年(予定) | FY-4C | GEO | 計画中 |
2026年(予定) | FY-4D | GEO | 計画中 |
2027年(予定) | FY-4E | GEO | 計画中 |
2030年(予定) | FY-4F | GEO | 計画中 |
2033年(予定) | FY-4G | GEO | 計画中 |
脚注
編集- ^ 2021年7月現在。
- ^ “WMO OSCAR | Details for Satellite Programme: FY-2”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。
- ^ “長征三号甲ロケット、気象衛星「風雲二号08星」の打ち上げに成功”. Sorae.jp. (2014年12月31日) 2015年1月4日閲覧。
- ^ “WMO OSCAR | Details for Satellite Programme: FY-3”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。
- ^ “WMO OSCAR | Details for Satellite Programme: FY-4”. space.oscar.wmo.int. 2021年7月20日閲覧。