雪虫

カメムシ目アブラムシ上科の昆虫のうち白腺物質を分泌する腺が存在するものの通称

雪虫(ゆきむし)とは、アブラムシカメムシ目ヨコバイ亜目アブラムシ上科)のうち、白腺物質を分泌するが存在するものの通称。体長5mm前後の全身が、綿で包まれたようになる。

雪虫の一種(トドノネオオワタムシ)
防御反応中のBeech blight aphid英語版(踊っているように見えることから、通称ブギウギエィフィド)

概要

編集

この虫の呼び名としては、他に綿虫(わたむし)[1]、雪蛍[2]、東京地域のオオワタシーラッコシロコババ、京都地域のゆきんこおこまさん、伊勢地域のオナツコジョロ、水戸地域のオユキコジョロがある他[3]しろばんばといった俗称もある。小説『しろばんば』のタイトルは、この虫に由来する。

具体的な種としては、トドノネオオワタムシ、ヒイラギハマキワタムシなどが代表的な存在である。

アブラムシは普通、のない姿で単為生殖によって多数が集まったコロニーを作る。しかし、秋になって越冬する前などに、羽を持つ成虫が生まれ、交尾して越冬のために産卵する。この時の羽を持つ成虫が物質を身にまとって飛ぶため、その姿が雪を思わせる。また、アブラムシの飛ぶ力は弱く、風になびいて流れるので、なおさらに雪のように見える。

北海道東北地方では、初雪の降る少し前に出現すると感じられることが多いため、冬の訪れを告げる風物詩ともなっている。

雄には口が無く、寿命は1週間ほど。雌も卵を産むと死んでしまう。熱に弱く、人間の体温でも弱る。

俳句では、季語。同じ「雪虫」と呼ばれるセッケイカワゲラは黒い昆虫で、の季語。

脚注

編集

出典

編集
  1. ^ 綿虫」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E7%B6%BF%E8%99%AB#E7.B2.BE.E9.81.B8.E7.89.88.20.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E8.AA.9E.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E5.85.B8コトバンクより2024年12月15日閲覧 
  2. ^ 雪蛍」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E9%9B%AA%E8%9B%8Dコトバンクより2024年12月15日閲覧 
  3. ^ シーラッコ」『世界大百科事典(旧版)内』https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B3コトバンクより2024年12月15日閲覧 

関連項目

編集

外部リンク

編集