門倉有希

日本の女性歌手 (1973-2024)

門倉 有希(かどくら ゆき)、本名・金田 充恵(かねだ みつえ、1973年昭和48年〉12月1日[1] - 2024年令和6年〉6月6日[2])は、日本歌手。女性。門倉有希音楽事務所に所属[3]、所属レーベルはビクターエンタテイメント[4]。既婚[2]

来歴

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福島県須賀川市出身[1]。実家は酒屋で、歌が好きな祖父の影響もあり幼少期は地下の倉庫で歌って過ごし、初めて歌ったのは3歳の時で西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」だったという[2]。14歳のときに「第2の都はるみ」を探す新人オーディションに応募し全国大会までいったが、そこで規定の15歳以上に達していないことがバレて、都はるみから「学業と歌に専念しなさい」と忠告をうける[5]

学校法人石川高等学校では野球部のマネージャーをつとめ、1年生のときに甲子園に出場した[5][注 1]

17歳のときにレコード会社のオーディションをうけたことをきっかけにプロ歌手の道へ入る[7]日本コロムビア美空ひばりのプロデューサーをつとめた境弘邦が門倉の歌声に惚れてスカウトした[8][9][10]。1992年に境は日本コロムビアを退社して新会社を設立し、門倉のプロデュースにあたった。デモテープをたまたま聴いた作曲家の浜圭介が曲を書きたいと言いレッスンを受ける[11]

1994年2月23日、ビクターから『鴎…カモメ』でデビューする[12]。新人賞レースを順調に走ってきたが、同年10月19日、所属事務所とレコード会社が休養を発表し、年内のスケジュールも白紙となった[13][注 2]

その後、芸能活動を再開し、1996年、第六回NHK新人歌謡コンテストで『女の漁歌』を歌いグランプリを受賞し、その年の第47回NHK紅白歌合戦に初出場する[4]。甲子園と紅白の両方に「出場」した初めての女性歌手として話題になった[注 3]。卓越した歌唱力と迫力十分の声量が魅力で、デビュー当初はコブシを利かせた正統派演歌を中心に歌っていたが、その後は路線転向して「歌謡曲」寄りの曲を歌うようになる。

1998年木下結子の「ノラ」をカバーした8枚目のシングル『ノラ』をリリース、累計で80万枚を超えるロングヒットとなった[15][16]

2012年、NHKによる東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」に参加する[17][18]2015年には須賀川市の観光牡丹大使に就任した[7]2016年、作曲家三木たかしの未発表曲「恋猫」を、元NHKで現フリーアナウンサー宮本隆治とデュエットし、「ユキ&リュウジ」名義で発売した[19]

2019年9月18日、ブログで乳がんの治療を行っていたことを報告した[20]。同年、長年交際していた男性と結婚した[2]

2022年12月の「金沢明子&門倉有希xmas ジョイントランチショー」をもって音楽活動を休止し、その後は入退院を繰り返していたが、2024年6月6日、乳がんのため死去した[2]。50歳没[21]

人物

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  • 母親の影響で子供の頃から矢沢永吉の大ファンで、ライブ観戦は勿論、ライブビデオやインタビュー記事も全部収集し、落ち込むとそれを見て"頑張らないと!"と励まされているという[22]
  • 小動物介護士、小動物看護士、ドッグシッターの資格を取得しており、愛猫と長く幸せに暮らすコツを紹介したエッセイ本も出版している[4]

ディスコグラフィ

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シングル

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# 発売日 曲順 タイトル 作詞 作曲 編曲 規格品番
1 1994年
2月23日
01 鴎…カモメ 荒木とよひさ 浜圭介 今泉敏郎 VIDL-10477
02 硝子の海峡
2 1995年
6月21日
01 どうせ東京の片隅に 川村栄二 VIDL-10659
02 波止場 今泉敏郎
3 1996年
2月21日
01 どん底 川村栄二 VIDL-11013
02 ひまわり
4 1996年
7月24日
01 女の漁歌 今泉敏郎 VIDL-11026
02 いつか母の子守唄
5 1997年
3月21日
01 北の駅 若草恵 VIDL-11039
02 捨て猫 川村栄二
6 1997年
8月21日
01 おんなの望郷歌 里村龍一 徳久広司 南郷達也 VIDL-30057
02 花かんざし
7 1998年
2月21日
01 ナザレの舟唄 阿久悠 浜圭介 今泉敏郎 VIDL-30189
02 嘆き節はやめにして
8 1998年
8月21日
01 ノラ ちあき哲也 徳久広司 VIDL-30248
02 ひまわり 荒木とよひさ 浜圭介 川村栄二
9 2000年
3月23日
01 眠っちまった恋人は ちあき哲也 徳久広司 今泉敏郎 VIDL-30483
02 横着者
10 2000年
12月16日
01 愛に疲れて 小田めぐみ J.Ian 宮崎慎二 VIDL-30516
02 哀しみWALTZ 伊藤薫 若草恵
11 2001年
7月25日
01 哀愁エリア ちあき哲也 山川三郎 伊戸のりお VIDL-30529
02 愛に壊れて 小田めぐみ 樋口スバル
12 2002年
4月24日
01 こぼれ花 森田由美 浜圭介 若草恵 VIDL-30539
02 ひき潮 門谷憲二 川村栄二
13 2002年
11月1日
01 幕間-まくあい- 小田めぐみ 若草恵 VIDL-30546
02 姫女苑 山崎ハコ 川村栄二
14 2003年
2月21日
01 J 佐藤純子 李世建 今泉敏郎 VICL-35471
02 めぐり逢い紡いで るい 大塚博堂
15 2004年
9月22日
01 グッバイ 浜崎奈津子 岩本正樹 VICL-35702
02 桜のそら 佐藤純子 金範修 今泉敏郎
16 2005年
5月18日
01 少年 荒木とよひさ 浜圭介 川村栄二 VICL-35819
02 海の恋唄 山崎ハコ
17 2005年
9月22日
01 Jun 山本茉莉 浜圭介 今泉敏郎 VICL-35885
02 傷心者
18 2006年
7月26日
01 恋人たち 阿久悠 宇崎竜童 岩本正樹 VICL-36150
02 2001年猫まつり ヒロ☆ヒロユキ
19 2007年
2月21日
01 泣かせてよ ちあき哲也 多々納好夫 岩本正樹 VICL-36220
02 ちえこ
20 2007年
10月17日
01 穢れなき瞳 友利歩未 西つよし 笛吹利明 VICL-36348
02 漂流船 田久保真見 多々納好夫
21 2008年
5月21日
01 カトレア ちあき哲也 杉本眞人 船山基紀 VICL-36432
02 哀愁の扉
22 2009年
3月25日
01 鬼百合 田久保真見 笛吹利明 VICL-36495
02 合鍵
23 2009年
9月23日
01 友情 荒木とよひさ 松本俊明 新川博 VICL-36533
02 懺悔 羽場仁志 白井良明
24 2010年
6月23日
01 放されて 吉田旺 徳久広司 岩本正樹 VICL-36594
02 情熱 浜崎奈津子 佐々木博史
25 2011年
4月20日
01 情熱 VICL-36638
02 満月 荒木とよひさ 鈴木キサブロー 白井良明
26 2012年
4月25日
01 流川さつき 岩本正樹 VICL-36697
02 花は咲く 岩井俊二 菅野よう子 佐々木博史
27 2013年
5月22日
01 私は今、生きている 流川さつき VICL-36782
02 逢いたい 浜崎奈津子
28 2014年
6月25日
01 いいから抱いて… 朝倉翔 大谷明裕 竜崎孝路 VICL-36926
02 そやけど 田村文重 渡辺雄一 佐々木博史
29 2015年
6月24日
01 気まぐれ女の恋心 小泉義隆 塚田剛 VICL-37074
02 さよならのひらがなは
お洒落に消しましょう
鷹梁恵一 小泉義隆 工藤恭彦
03 わかれうた 中島みゆき 多田三洋
30 2017年
7月19日
01 ひまわり 荒木とよひさ 浜圭介 川村栄二 VICL-37278
02 景子 伊藤敏博 今泉敏郎
31 2019年
5月22日
01 あなたがすべて~Only Love~ 荒木とよひさ 杉本眞人 周防泰臣 VICL-37476
02 心も身体も 高田 透
32 2020年
11月18日
01 メトロ 荒木とよひさ 浜圭介 周防泰臣 VICL-37568
02 ど真中のブルース
33 2022年
10月26日
01 幸せの分かれ道 朝比奈京仔 桧原さとし 不知火丞 VICL-37658
02 ラナンキュラス shungo. shungo.
大谷靖夫
中村結花
大谷靖夫
不知火丞

デュエット・シングル

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発売日 デュエット 曲順 タイトル 作詞 作曲 編曲 規格品番
2016年
3月16日
宮本隆治[注 4] 01 恋猫 友利歩未 三木たかし 周防泰臣 VICL-37153
02 東京ムーンライト 冬弓ちひろ 塚田剛

アルバム

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  • 鴎…カモメ(1994.7.6)
  • どうせ東京の片隅に(1995.8.23)
  • BEST ONE 門倉有希ベスト(1997.10.22)
  • 哀歌(1997.11.21)
  • 門倉有希ベストアルバム(1998.10.21)
  • プリズム(1999.02.24)
  • 門倉有希全曲集(1999.11.20)
  • TAKE OFF(2000.3.23)
  • 門倉有希全曲集 〜愛に疲れて〜(2000.11.22)
  • プリズムII(2001.2.21)
  • 門倉有希全曲集(2001.10.24)
  • ノラ/門倉有希全曲集(2002.12.1)
  • J/プリズムIII(2003.6.25)
  • J/門倉有希全曲集(2003.11.26)
  • プリズムIV 〜J-リバイバル〜(2004.5.26)
  • 門倉有希ベスト 〜J ラブソング〜(2005.3.24)
  • 門倉有希ベスト 〜J-Collection〜(2005.11.23)
  • 門倉有希セレクション 〜演歌side〜(2006.10.18)
  • 門倉有希セレクション 〜歌謡曲side〜(2006.11.22)
  • 門倉有希ベスト 〜泣かせてよ〜(2007.9.21)
  • 門倉有希ベスト 〜カトレア〜 Yuki Kadokura 15th Anniversary(2008.10.22)
  • “歌とカラオケ”ベストテン!(2009.1.21)
  • 短編小説(2009.10.21)
  • 門倉有希全曲集 〜Next Story〜(2009.12.16)
  • 門倉有希ベスト 〜My Selection〜(2010.9.22)
  • 門倉有希スペシャルベスト 〜愛は眠らない〜(2011.9.7)
  • 門倉有希ベスト [明日へ!](2012.10.17)
  • 門倉有希ベストアルバム -20th Anniversary-(2014.2.19)
  • 門倉有希プレミアムベスト 〜気まぐれ女の恋心〜(2015.2.18)
  • 100分の1(1/100)の歌 ~あんただけのベストアルバム~(2017.7.19)
  • カバーズベスト(2019.11.27)
  • ザ・ベスト&カラオケ(2022.10.26)
  • 歌手生活30周年記念 ベストアルバム(2024.5.22)

写真集

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  • 『ブルー・ファイヤー : 門倉有希写真集』 谷口征 撮影、竹書房、1997年9月、ISBN 4-8124-0314-6

著書

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主なテレビ出演

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NHK紅白歌合戦出場歴

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年度/放送回 曲目 出演順[注 5] 対戦相手
1996年(平成8年)/第47回 女の漁歌 03/25 TOKIO

脚注

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注釈

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  1. ^ ただし、記録員のベンチ入りが認められた1996年の第78回全国高校野球選手権大会以前は女子マネージャーのベンチ入りは認められておらず、門倉もベンチ入りはしていない[6]
  2. ^ 当時所属事務所は精神的疲弊を理由とし、また各マスメディアからは男性と失踪したなどの報道がなされた。2016年4月15日放映の『爆報! THE フライデー』にて、デビュー前に同じ15歳で共に出場したオーディションで知り合った男に監禁されていたと発表。男とは高校卒業と同時に上京して同棲をしていたが、その間監禁同様でDVを受け「逃げたら殺す」などと脅されたと主張、脱出後に拒食症を患ったとも。療養中に拾ったネコと出会うことで「ノラ」をカバーするきっかけになったという[14]
  3. ^ 男性歌手では実際に試合にも出場した山本譲二などがいる。
  4. ^ ユキ&リュウジ名義。
  5. ^ 出演順は「出演順/出場者数」で表す。

出典

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  1. ^ a b Profile”. 門倉有希オフィシャルサイト. 2025年1月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e 2月にデビュー30周年、5月にはベストアルバムリリースも…歌手・門倉有希さん5年4か月の闘病の末死去”. スポーツ報知. 報知新聞社. 2025年1月16日閲覧。
  3. ^ 特定商取引に関する表示”. 門倉有希オフィシャルサイト. 2025年1月2日閲覧。
  4. ^ a b c 門倉 有希 | プロフィール”. ビクターエンタテイメント. 2025年1月2日閲覧。
  5. ^ a b 【門倉有希】唯一無二のハスキーなオンナ歌に定評”. ZAKZAK by 夕刊フジ (2014年7月17日). 2025年1月16日閲覧。
  6. ^ 【カラー写真で甦る】勝利の女神!!女子マネジャーベンチ入り第1号は東筑・三井さん/甲子園100年カウントダウン~蔦の記憶(77)”. サンスポ. 産経デジタル (2024年7月8日). 2025年1月3日閲覧。
  7. ^ a b 須賀川市出身 歌手の門倉有希さん 亡くなる | 福島 NEWS WEB”. NHK (2024年6月7日). 2025年1月16日閲覧。
  8. ^ 境弘邦 (2019年6月3日). “「門倉有希への未練」  流浪のサラリーマン時代 本社編⑬【第59回】”. うたびと. 2025年1月17日閲覧。
  9. ^ 元尾哲也 (2024年6月8日). “ラジカセ1台で一緒にレコード店回り 最高傑作だった「ノラ」 門倉有希さん死去”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. 2025年1月17日閲覧。
  10. ^ 門倉有希さん葬儀・告別式 200人が参列、最後の別れ 「ノラ」流れ涙する参列者も”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2024年6月13日). 2025年1月17日閲覧。
  11. ^ BS日テレ (2024年6月21日). “【BS日テレ】 「歌謡プレミアム」 2024年6月に逝去された門倉有希さんを偲び、アンコール放送が決定。”. PR TIMES. 2025年1月16日閲覧。
  12. ^ 門倉有希 (2023年2月23日). “デビュー29周年”. 門倉有希オフィシャルブログ. 2025年1月17日閲覧。
  13. ^ 門倉有希 突然の休養は「監禁」だった”. デイリー. デイリースポーツ (2016年4月15日). 2025年1月17日閲覧。
  14. ^ 門倉有希 元アイドル演歌歌手時代の“失踪”告白、愛猫に救われた”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2016年4月15日). 2016年4月18日閲覧。
  15. ^ 門倉有希さん、乳がんで死去 ハスキーボイスの演歌歌手、98年「ノラ」80万枚ヒット&96年には「女の漁歌」で紅白出場 夫の金田大さん「今週頭に体調が悪化し入院」”. サンスポ. 産経デジタル (2024年6月8日). 2025年1月17日閲覧。
  16. ^ 歌手・門倉有希さん、50歳で死去 『ノラ』80万枚のヒット、2019年から乳がん闘病 「力強いお声が魅力的でした」ファン涙”. 中日新聞 (2024年6月7日). 2025年1月16日閲覧。
  17. ^ 「花は咲く」オリジナルバージョン”. NHKアーカイブス. 2025年1月16日閲覧。
  18. ^ 復興支援ソング「花は咲く」”. NHK. 2025年1月16日閲覧。
  19. ^ 門倉有希&宮本氏「紅白返り咲く」三木たかしさん未発表曲デュエット”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2016年2月19日). 2025年1月16日閲覧。
  20. ^ 門倉有希からご報告 - 門倉有希オフィシャルブログ(Amebaブログ). 2019年9月18日. 2025年1月2日閲覧。
  21. ^ 門倉有希さんが死去 19年に乳がん闘病を公表 当初は市販薬で対処「自己判断が発見を遅らせたと」”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2024年6月7日). 2024年6月7日閲覧。
  22. ^ 日刊ゲンダイ、2008年4月4日、18面

関連項目

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外部リンク

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