豊田通商株式会社(とよたつうしょう、: TOYOTA TSUSHO CORPORATION)は、愛知県名古屋市中村区東京都港区に本社を置くトヨタグループの大手総合商社である。登記上の本店は愛知県名古屋市中村区。社外略称は豊通(トヨツウ)、社内略称はTTC。日経平均株価の構成銘柄の一つ[3]。グループスローガンは「Be the Right ONE」。

豊田通商株式会社
TOYOTA TSUSHO CORPORATION
名古屋本社 (センチュリー豊田ビル)
名古屋本社
センチュリー豊田ビル
種類 株式会社
市場情報
東証プライム 8015
1977年1月4日上場
名証プレミア 8015
1961年10月2日上場
略称 豊通、TTC
本社所在地 日本の旗 日本
名古屋本社450-8575
名古屋市中村区名駅4丁目9-8
センチュリー豊田ビル
東京本社108-8208
東京都港区港南2丁目3-13
品川フロントビル
本店所在地 450-8575
名古屋市中村区名駅4丁目9-8
センチュリー豊田ビル
設立 1948年昭和23年)7月1日
業種 卸売業
法人番号 6180001031731 ウィキデータを編集
代表者 貸谷伊知郎(代表取締役社長
富永浩史(代表取締役、CSO兼極CEO)
岩本秀之(代表取締役兼CFO)
資本金 649億36百万円
(2024年3月31日現在)[1]
発行済株式総数 3億5405万6516株
(2024年3月31日現在)[1]
売上高 連結:10,188,980百万円
(2024年3月期)[1]
営業利益 連結:441,589百万円
(2024年3月期)[1]
経常利益 連結:469,639百万円
(2024年3月期)[1]
純利益 連結:331,444百万円
(2024年3月期)[1]
純資産 連結:2,620,110百万円
(2024年3月期)[1]
総資産 連結:7,059,994百万円
(2024年3月期)[1]
従業員数 連結:69,517名
単独:3,292名
(2024年3月31日現在)
決算期 3月31日
会計監査人 PwCあらた有限責任監査法人
主要株主 トヨタ自動車株式会社 21.69%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)13.95%
株式会社豊田自動織機 11.18%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 5.62%
株式会社三菱UFJ銀行 2.30%
株式会社三井住友銀行 1.21%
ステートストリートバンク 1.19%
日本生命保険相互会社 1.00%
高知信用金庫 0.93%
トヨタ不動産株式会社 0.91%
(2024年3月31日時点)[2]
主要子会社 エレマテック 58.6%
豊通ケミプラス 100%
豊通マテリアル 100%
豊通マシナリー 100%
ネクスティ エレクトロニクス 100%
関係する人物 豊田利三郎(元豊田産業社長)
柴田泰男(元社長)
豊原洋治(元副会長)
白井芳夫(元副会長)
服部孝(元専務、スーダン大使
外部リンク www.toyota-tsusho.com
テンプレートを表示

概略

編集

自動車金属機械に限らず、石油、プラントから食品保険まで取り扱っている。2006年にトーメンと合併するまでは、売り上げ規模こそ大きくとも「トヨタグループ」の商品調達部門というポジションを脱しきれなかったが、合併後はトーメンの保持していた多様な分野の権益が加わり、トヨタグループという後ろ盾も得て、名実ともに「大手総合商社」の地位を獲得した。

自動車分野では、トヨタ、日野SUBARU(旧・富士重工業)、ダイハツなどの車両・車両部品を150か国余りに輸出しているほか、自動車メーカー各社が海外で生産する車両の第三国への輸出および海外における小売販売を行っている。

化学品合成樹脂分野では、タイにはエタノール製造の、インドネシアタイフィリピンには物流拠点としてのタンク設備を保有しており、これらの生産・物流拠点を活用した各種製品の販売を行っている。

エネルギー・プラント分野では、特に中東、アジアに強いビジネス基盤を有している。また、風力発電分野においては、ユーラスエナジーホールディングスを持ち、ベスタス社の日本総代理店でもある。その他、太陽熱発電事業、太陽光発電事業、地熱発電事業をはじめとする再生エネルギー事業、北米での電力事業を展開している。穀物飼料分野では、全国4か所に穀物サイロを保有。

食料分野では、第一屋製パンを子会社に持っており、農業生産事業、ワイン事業、水産事業、チョコレートグランプラスレダラッハジャム紅茶チップトリー等も扱っている。

アパレル分野では、福助等の子会社を持つほか、Admiralブランドをはじめ小売事業を展開している。

都市開発分野では、霞が関コモンゲート、東京の赤坂麻布十番西浅草広尾等々力八王子等でアクシアマンションシリーズを、名古屋でプレシアスシティ等、マンションリゾート事業も手がけている。

損害保険および生命保険の代理店分野でも国内上位であり、国内外で保険ブローカー事業を展開しているほか、海外でも代理店を展開している。

なお、小説「炎の商社マン」(小林真一著)、「エネルギー」(黒木亮著)は、旧・トーメンを舞台にした小説である。

会社概要

編集
 
東京本社(品川フロントビル)

※支店、営業所、現地法人、駐在員事務所(会社HP上の数字は、単体の拠点のみであり、現地法人管轄下の支店等を含んでいない。)

  • 設立 1948年7月1日
  • 事業内容 各種物品の国内取引、輸出入取引、外国間取引、建設工事請負、各種保険代理業務等
  • 組織
    • メタル+(Plus)本部
      • メタル+(Plus)企画部、モビリティ素材国内事業部、モビリティ素材海外事業部、モビリティ素材事業統括部、条鋼鋼管事業部、鉄鋼サプライチェーン推進部、金属製品事業部、西日本条鋼鋼管事業部
    • サーキュラーエコノミー本部  
      • サーキュラーエコノミー企画部、金属資源部、無機資源部、非鉄事業部、バッテリーサプライチェーン事業部、リバースサプライチェーン事業部、アルミサプライチェーン事業部、高機能素材事業部、サステナブル合成樹脂部、コンシューマー製品事業部、エッセンシャルケミカルズ部
    • サプライチェーン本部
      • サプライチェーン企画部、営業開発部、サプライチェーンDX推進部、グローバル部品輸出部、グローバル部品輸入部、グローバル部品営業部、ビジネスアライアンス事業部、グローバル部品事業戦略部、サプライチェーン機能開発部、ロジスティクス事業部、モジュール事業部、サービス&アクセサリー事業部、モビリティパーツ事業部、機能品・環境ソリューション事業部
    • モビリティ本部
      • モビリティ企画部、米州・欧州モビリティ部、オセアニア・中近東モビリティ部、アジア・中国モビリティ部、KD事業部、物流ソリューション事業部、コマーシャルモビリティ事業部、マルチブランド事業部、カスタマーサービス部、モビリティ・バリューチェーン事業開発部
    • グリーンインフラ本部
      • グリーンインフラ企画部、パワートレイン機械部、EVコンポーネント機械部、ボデー機械部、インフラプロジェクト部、電力ソリューション統括部、カーボンニュートラルフューエル部
    • デジタルソリューション本部
      • デジタルソリューション企画部、デバイス関連事業室、SDV事業部(SDV: Software Defined Vehicle)、先端モビリティサービス事業部、エンタープライズIT事業部、デジタルインフラ事業部
    • ライフスタイル本部
      • ライフスタイル企画部、アグリビジネス部、西日本フード&アグリビジネス部、フードマテリアル部、フードソリューション部、サステナブルファッション部、ファシリティソリューション部、インシュアランスマネジメント部、ヘルスケア・メディカル部
    • アフリカ本部
      • アフリカ企画部、トヨタアフリカモビリティ部、アフリカモビリティバリューチェーン事業部、アフリカモビリティ事業部、アフリカ電力・インフラ部
    • コーポレート部門
      • コンプライアンス・危機管理部、オペレーション改善推進部、物流部、安全・環境推進部、顧客統括部、ネクストモビリティ推進部、ネクストテクノロジーファンド推進室、カーボンニュートラル推進部、経営企画部、渉外部、広報部、IT戦略部、デジタル変革推進部、経理部、営業経理部、財務部、投資・審査部、法務部、人事部、総務部、秘書部

沿革

編集
  • 1936年昭和11年)- 豊田自動織機製作所(現・豊田自動織機)が中心となり、トヨタ金融株式会社設立。社長は豊田利三郎[4]
  • 1941年(昭和16年)- 豊田自動織機製作所の筆頭株主となる[4]
  • 1942年(昭和17年)- 豐田産業株式会社(とよださんぎょう)に商号変更。
  • 1947年(昭和22年)- 豐田産業が第5次指定で持株会社として財閥解体の対象となる[4][5]
  • 1948年(昭和23年)- 豐田産業の商社部門を継承し、日新通商株式会社設立[5]
  • 1951年(昭和26年)- 豐田産業清算結了[5]
  • 1956年(昭和31年)- 豐田通商株式会社(とよだつうしょう)に商号変更。
  • 1961年(昭和36年)- 名古屋証券取引所2部上場。
  • 1977年(昭和52年)- 東京証券取引所1部上場。
  • 1985年(昭和60年)- 東京支店を東京本社に変更。名古屋と合わせ2本社制となる。
  • 1987年(昭和62年)- 豊田通商株式会社(とよたつうしょう)に商号変更。
  • 1999年平成11年)- 加商と業務提携。
  • 2000年(平成12年)- トーメンと資本・業務提携。加商株式会社と合併。
  • 2006年(平成18年)- トーメンと合併。
  • 2007年(平成19年)- 福助と資本・業務提携。
  • 2009年(平成21年)- 福助を連結子会社化。
  • 2010年(平成22年)- 名古屋本社内に在名古屋カザフスタン共和国名誉領事館を開設。
  • 2012年(平成24年)
  • 2013年(平成25年)
    • 名古屋本社内に在名古屋ケニア共和国名誉領事館を開設。
    • 福助を完全子会社化[6]
    • 大手食品卸の国分と業務提携。同時に子会社である中部食糧の株式譲渡契約を締結[7]し、同社の株式67%を国分に譲渡。これに併せて提携先であるトーカンにも株式の13%を譲渡[7]
  • 2014年(平成26年)
  • 2016年(平成28年)- セーファーオー(CFAO)の株式を追加取得し、完全子会社化[12]
  • 2017年(平成29年)
  • 2020年(令和2年)
  • 2022年令和4年)
    • 東京電力ホールディングスが保有するユーラスエナジーホールディングスの株式を取得し、完全子会社化[15]
    • 滋賀県日野町の飲料用リサイクルペットボトルの製造工場が稼働した[16]
    • 2022年11月8日から13日に開催されたアセアン関連首脳会議の一環として、カンボジア政府と「自動車産業の発展に向けた協業に関するMOU」を締結[17]。11月14日にはカンボジアに車両組立事業会社として豊田通商マニュファクチャリングを設立した[17]
  • 2023年(令和5年)
  • 2024年(令和6年) - テラスエナジーを完全子会社化[20]

歴代役員

編集

社長

編集

会長

編集

主なグループ会社

編集

国内

編集

国外

編集

ほか、国内外連結子会社731社、関連会社243社の計974社(2017年4月1日現在)

広報活動

編集
  • 2015年 豊田通商企業広告テレビCM 豊川悦司を起用。
  • 2018年 豊田通商企業広告テレビCM オダギリジョーを起用。
  • クロマグロ完全養殖篇[21]
  • ケニア地熱発電篇[21]
  • チリ ヨード事業篇[21]
  • 水素事業篇[21]

スポーツ・文化活動

編集

不祥事・事件・問題

編集
豊田商事事件による被害

1985年の金預り証書詐欺「豊田商事事件」では、加害企業の豊田商事が同社を豊田通商と意図的に混同させるような勧誘活動をしたことにより、豊田通商側は大きな損害を被った。同社は豊田通商と紛らわしい社名および社章の図柄[注 1] を用いたほか、名古屋支店の場所を当時豊田通商本社があった名古屋駅前の豊田ビルのすぐ近くに置く、豊田通商の拠点があるビルの前で入社勧誘をするなどしており、そのため豊田通商には豊田商事の被害者から苦情の電話が掛かってくることもあった。これにより株式欄の略称が「豊通商」から「豊田通商」に変更されるなどした[22]。また、この時は山口県岩国市の紙販売業者「豊田商事株式会社」(創業者の姓が由来で、当社も含めトヨタグループとは無関係)も豊田商事と完全に同名だったため、軽微ながら風評被害を受けている。

申告漏れ

名古屋国税局税務調査で、海外の子会社から受け取った債務保証料などを収入に計上しなかったとして、2018年3月期までの3月期に約1億円の申告漏れを指摘されていたことが、2020年5月に判明した[23]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 豊田通商の当時の社章は井桁に「T」、豊田商事は菱形に「TS」。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h 2024年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)”. 豊田通商株式会社 (2023年4月26日). 2024年4月26日閲覧。
  2. ^ 株式の概要
  3. ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
  4. ^ a b c 牧幸輝、「豊田利三郎と豊田業団」『経営史学』 2011-2012年 46巻 2号 p.2_49-2_73, doi:10.5029/bhsj.46.2_49, 経営史学会
  5. ^ a b c 「第3項 民需転換と戦後改革への対応」 トヨタ自動車
  6. ^ 株式交換による完全子会社化のお知らせ”. 福助株式会社 (2012年12月3日). 2013年12月28日閲覧。
  7. ^ a b 国分株式会社との業務提携に関するお知らせ”. 豊田通商株式会社 (2012年12月3日). 2013年12月28日閲覧。
  8. ^ a b “完全養殖マグロ 量産へ 近大と豊田通商 提携拡大”. 東京新聞 (中日新聞社). (2014年7月17日). オリジナルの2014年7月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140717154529/http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014071702000176.html 2017年7月20日閲覧。 
  9. ^ a b “「近大マグロ」量産化計画…長崎に稚魚養殖施設”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2014年7月17日). オリジナルの2014年7月20日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/CuiKH 2017年7月20日閲覧。 
  10. ^ a b “豊田通商、マグロ「完全養殖」に参入 近大と連携”. 日本経済新聞 電子版 (日本経済新聞社). (2014年7月16日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ1607K_W4A710C1TJ1000/ 2017年7月20日閲覧。 
  11. ^ 共同通信 (2022年10月31日). “ケニアの難民らに技術教育 トヨタ系商社施設、30人参加 | 共同通信”. 共同通信. 2022年10月31日閲覧。
  12. ^ CFAO社の残余株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ”. 豊田通商株式会社 (2016年12月30日). 2017年1月2日閲覧。
  13. ^ 豊田通商、自動車用サンバイザー大手の共和産業を子会社化”. レスポンス. 株式会社イード (2018年1月30日). 2018年2月3日閲覧。
  14. ^ NTTデータ・三菱商事・東京海上日動・三菱UFJ銀行など
  15. ^ 豊田通商、風力最大手ユーラスを完全子会社化 東電から株式取得完了”. 時事ドットコム. 株式会社時事通信社 (2022年8月1日). 2022年8月3日閲覧。
  16. ^ 豊田通商、ペットボトルリサイクル工場稼働 年4万トン再生(時事通信ニュース)”. LINE NEWS. 2022年10月24日閲覧。
  17. ^ a b カンボジアにハイラックスなどの車両組立工場建設…豊田通商”. レスポンス(Response.jp). 2022年11月15日閲覧。
  18. ^ 豊田通商、カーペイディーエムの株式を追加取得し、子会社化”. M&Aマガジン. 株式会社日本M&Aセンター (2023年3月9日). 2023年3月13日閲覧。
  19. ^ ソフトバンクG、豊田通商に太陽光発電の「SBエナジー」株85%を売却”. 読売新聞オンライン. 株式会社読売新聞東京本社 (2023年2月9日). 2023年3月13日閲覧。
  20. ^ 豊田通商、再エネのテラスエナジーを完全子会社化”. 日本経済新聞社 (2024年4月30日). 2024年5月1日閲覧。
  21. ^ a b c d 豊田通商広告ライブラリー”. 豊田通商株式会社. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月8日閲覧。
  22. ^ 『朝日新聞』東京夕刊 1985年6月18日 15面
  23. ^ 豊田通商1億円申告漏れ 子会社の保証料計上せず 産経新聞 2020年5月3日

関連項目

編集

外部リンク

編集