細谷雄一

日本の政治学者

細谷 雄一(ほそや ゆういち、1971年8月13日[1] - )は、日本国際政治学者。専門は、国際政治史・イギリス外交史。学位は、博士(法学)慶應義塾大学・2000年)。慶應義塾大学法学部教授。

細谷 雄一
(ほそや ゆういち)
生誕 (1971-08-13) 1971年8月13日(53歳)
日本の旗 千葉県市川市
研究分野 国際政治学
研究機関 北海道大学
敬愛大学
慶應義塾大学
出身校 立教大学法学部学士
バーミンガム大学大学院(修士)
慶應義塾大学大学院修士博士
博士課程
指導教員
田中俊郎
主な受賞歴 サントリー学芸賞(2002年)
読売・吉野作造賞(2010年)
櫻田會政治研究櫻田會奨励賞(2010年)
プロジェクト:人物伝
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来歴

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千葉県市川市生まれ[1]。1990年3月、立教高等学校卒業後[2]、同年4月、立教大学法学部に入学。学部時代は北岡伸一[3]、大学院では田中俊郎に師事[4]。在学中の1992年10月、オランダ国立リンブルグ大学ヨーロッパ研究センターに1993年1月迄留学。

1994年3月、同大卒業後、1994年4月、慶應義塾大学大学院法学研究科に進学。1995年9月、イギリス・バーミンガム大学大学院に留学し、1996年12月、同大にて国際関係学修士取得。帰国後、1997年3月、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程を修了、そのまま博士課程に進学し、2000年3月、慶應義塾大学から博士(法学)学位を取得[5]

2000年4月から2年間、北海道大学大学院法学研究科・法学部専任講師、2002年4月から2年間、敬愛大学国際学部専任講師を務めた後、2004年4月から慶應義塾大学法学部専任講師に就任。その後、2006年4月に同大の助教授に、2010年9月に教授に昇任。この間、2008年9月から1年間、プリンストン大学国際・地域研究センター客員研究員、2009年9月から1年間パリ政治学院客員教授を務める。2021年10月から1年間ケンブリッジ大学ダウニング・カレッジで在外研究[6]

また2010年より世界平和研究所(現在は中曽根世界平和研究所)上席研究員[7]、2017年から日本国際問題研究所上席客員研究員、2019年から外交専門誌『外交』の編集委員[8]。2020年4月から一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ上席研究員、8月からは同財団の常務理事 兼 研究主幹を務める[9]。同財団の『API 地経学ブリーフィング』や『API 国際情勢ブリーフィング』の編集長[10]

2002年、『戦後国際秩序とイギリス外交』でサントリー学芸賞を受賞。2010年、『外交による平和』で政治研究櫻田会奨励賞受賞、また『倫理的な戦争』で読売・吉野作造賞受賞。

外務省外交記録公開促進員会委員(2010年ー16年)。また、安倍晋三政権において、「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員(2013年)、および「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」委員(2013年-14年)。同懇談会は2014年5月に「我が国と密接な関係のある外国に対して武力攻撃が行われ、かつ、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき ⇒その国の明示の要請又は同意を得て、必要最小限の実力の行使が可能とすべき。閣議決定により意思決定する必要がある」という報告書を提出。7月に安倍内閣は報告書通りに集団的自衛権行使容認を閣議決定した。国家安全保障局顧問(2014年-16年)を歴任。自民党「歴史を学び、未来を考える本部」アドバイザー(2015年-18年)[11]。また、2020年から経済産業省産業構造審議会通商・貿易分科会委員(2021年-)。また、菅義偉政権で「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議メンバー(2021年)[12]

2017年から国際政治チャンネル池内恵篠田英朗田村あゆち鈴木一人と共にレギュラーとして出演。

2020年、ワシントンに拠点を置くシンクタンク戦略国際問題研究所 (CSIS) がまとめた報告書「日本における中国の影響力」[13]に、「中国は日本に影響を及ぼすため間接的な手法を採用している。例えば沖縄独立と米軍撤退を追求するため沖縄の新聞に資金提供し、影響を及ぼすことを通じて沖縄の運動にも影響を及ぼすような秘匿ルートがある」という細谷の発言が引用[13]された。沖縄タイムスの取材に対し、細谷は「誤解を招きかねない表現になった。中国が沖縄の新聞に資金提供しているという根拠や認識はない」、「中国が大きな予算を使って対日世論工作を展開していて、米軍基地がある沖縄が主戦場なのはよく知られた事実だが、手法はあくまで間接的だ」とし[14][15]CSISに対し修正を求めたと語った。沖縄タイムスも、本紙が中国政府から資金提供を受けた事実は無いとコメントした。後日、報告書の「沖縄の新聞」「資金提供」の文言が削除された[16]

現在、日本国際政治学会日本EU学会(理事)、日本政治学会国際安全保障学会(理事)に所属。グレートブリテン・ササカワ財団理事。

著書

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単著

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  • 『戦後国際秩序とイギリス外交 戦後ヨーロッパの形成 1945-51年』(創文社、2001年)
  • 『外交による平和 アンソニー・イーデンと20世紀の国際政治』(有斐閣、2005年)
  • 『大英帝国の外交官』(筑摩書房、2005年)
  • 『外交 多文明時代の対話と交渉』(有斐閣、2007年)
  • 『倫理的な戦争 トニー・ブレアの栄光と挫折』(慶應義塾大学出版会、2009年)
  • 『国際秩序 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』(中央公論新社中公新書〉、2012年
  • 『戦後史の解放』(新潮社新潮選書〉、2015年 - 2018年)
    • 『歴史認識とは何か 日露戦争からアジア太平洋戦争まで 【戦後史の解放1】』(新潮社新潮選書〉、2015年)
    • 『自主独立とは何か 前編 敗戦から日本国憲法制定まで 【戦後史の解放2】』(新潮社〈新潮選書〉、2018年)
    • 『自主独立とは何か 後編 冷戦開始から講和条約まで【戦後史の解放2】』(新潮社〈新潮選書〉、2018年)
  • 『安保論争』(筑摩書房〈ちくま新書〉、2016年)
  • 『迷走するイギリス EU離脱と欧州の危機』(慶應義塾大学出版会、2016年)
  • Security Politics in Japan: New Strategy in a New Security Environment (Tokyo: JPIC)

編著

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共編著

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訳書

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  • ジョン・アイケンベリー)『リベラルな秩序か帝国か アメリカと世界政治の行方』(上・下、監訳、勁草書房、2012年)
  • (モーリス・ヴァイス)『戦後国際関係史 二極世界から混迷の時代へ』(監訳、慶應義塾大学出版会、2018年)

脚注

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  1. ^ a b 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.342
  2. ^ 海を見よ細谷雄一の研究室から 2011年4月3日
  3. ^ 『グローバル・ガバナンスと日本』(中央公論新社, 2013年)
  4. ^ 桜の咲く季節細谷雄一の研究室から 2014年4月2日
  5. ^ 国立国会図書館. “博士論文『英国外交と国際秩序 : 戦後ヨーロッパ秩序の形成、一九四五年-一九五一年』”. 2023年4月6日閲覧。
  6. ^ ケンブリッジ大学での在外研究のご挨拶|細谷雄一|国際政治学者|note”. note(ノート). 2021年10月27日閲覧。
  7. ^ 研究幹部 | エキスパーツ | 公益財団法人 中曽根康弘世界平和研究所”. www.iips.org. 2020年11月5日閲覧。
  8. ^ 外交専門誌『外交』Vol.55の発行”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年5月23日閲覧。
  9. ^ 細谷雄一慶應義塾大学教授が常務理事・研究主幹に就任”. | AP Initiative 一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ. 2020年11月5日閲覧。
  10. ^ 国際政治論壇レビュー(2021年3月)”. | AP Initiative 一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ. 2021年3月19日閲覧。
  11. ^ 細谷 雄一 | 研究者”. 東京財団政策研究所. 2021年3月19日閲覧。
  12. ^ 共同通信「皇位継承の有識者会議を設置」『Reuters』2021年3月16日。2021年3月19日閲覧。
  13. ^ a b Stewart, Devin (23 July 2020). China’s Influence in Japan: Everywhere Yet Nowhere in Particular (Report) (英語). Center for Strategic & International Studies.
  14. ^ 「沖縄の新聞に中国政府資金」米有力シンクタンク報告書が誤記 引用された慶大教授「修正求めた」 | 沖縄タイムス+プラス ニュース”. 沖縄タイムス+プラス. 2020年8月16日閲覧。
  15. ^ 「沖縄の新聞に中国資金」米シンクタンクのCSIS報告書に誤り 細谷雄一慶応大教授の発言引用」『琉球新報』2020年8月23日。
  16. ^ 米シンクタンクCSIS、報告書の「中国が沖縄の新聞へ資金提供」記載を修正」『琉球新報』2020年8月26日。

外部リンク

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