福島交通1000系電車
福島交通1000系電車(ふくしまこうつう1000けいでんしゃ)は、福島交通が所有する飯坂線で運用されている電車。東急1000系電車の譲渡を受けた車両で、2017年4月1日から営業運転を開始した[2][3][4]。
福島交通1000系電車 | |
---|---|
福島交通1000系 | |
基本情報 | |
運用者 | 福島交通 |
改造所 | 東急テクノシステム[1] |
改造年 | 2016年 - 2018年 |
改造数 |
2両編成4本 3両編成2本 |
運用開始 | 2017年4月1日 |
主要諸元 | |
編成 | 2両編成、3両編成 |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
制御方式 | VVVFインバータ制御(GTOサイリスタ素子) |
概要
編集飯坂線の直流1,500V昇圧に伴い1991年から導入された7000系(元:東急7000系電車)の置き換え用として、25年ぶりの新形式として導入された車両。全車とも元東急1000系電車の東横線で活躍していた編成で中間電動車より改造したものであり、改造工事を手掛けた東急テクノシステムにより先頭車には非貫通の運転台が新設されている。それに伴い運転室は全室構造となっており、主幹制御器は両手操作式T形ワンハンドルである[2][3][5]。
塗装は宮城県多賀城市出身のデザイナー・小松大希が手掛けており、飯坂線のコンセプトである"いい電"に基づく7つのメッセージが込められたダークブラウン・ピーチフラワー・シャンパンゴールドの3色の帯がラッピングにより貼り付けられている。また先頭車にも「GOOD TRAIN いい電」のヘッドマークが取り付けられている[2][3][6]。
車内は種車同様のロングシートで、車端部には車椅子スペース、運転室側背面に液晶車内表示器が設置されており、バリアフリーへの対応がなされている。また飯坂温泉の暖簾、飯坂温泉街の地図など沿線の観光産業を活かした装飾が各部に施されており、窓にも秋の飯坂けんか祭りをはじめとする飯坂温泉の四季や福島市のマスコットキャラクター・ももりんのシールが貼り付けられている。ただし一部のももりんシールはライバルキャラクターである「ブラックももりん」となっている。車内放送はインバウンド輸送への対応も考慮し日本語・英語の二か国語に対応している。なお、2018年3月23日から営業運転を開始した1103編成(デハ1103+クハ1204)は内装が変更され、緑色の床面や木目の運転台背面、茶色のつり革など飯坂温泉のレトロなイメージを表現する仕様となっている[2][3][4][7][5]。
主回路として福島交通で初めてVVVFインバータ制御方式が採用され、東急時代に1C8M制御方式として使用されていたものを1C4M制御方式として使用する。これにより消費電力の削減や省エネ化を図っている。台車は東急時代のボルスタレス・ペデスタル式軸箱支持のものを使用しているが、制御車に改造された車両については東急1000系の付随車(サハ1050形)の廃車発生品を用いている。集電装置は福島交通で初の採用となったシングルアーム型パンタグラフで、電動制御車に2基、中間電動車に1基搭載する[2][3][4][5]。
運用
編集最初の編成(2両編成1本、3両編成1本)は2016年(平成28年)10月に搬入が行われ、整備や試運転が行われた後2017年(平成29年)4月1日から営業運転を開始した[3][8]。以降も2017年(平成29年)12月(2両編成1本、3両編成1本)[9]、2018年(平成30年)11月(2両編成2本)[10]に搬入を行い、当初の計画通り2018年(平成30年)までに計14両の導入が行われ、翌2019年(平成31年/令和元年)までに全編成とも営業運転に用いられている。なお全車とも未塗装の状態で搬入が行われ、ラッピング作業は桜水駅に併設された桜水車両基地内で実施された[2][4][11]。
これに伴い7000系の引退が進行し、2019年3月31日に行われたデハ7101+デハ7102のさよなら運転をもって7000系は全車営業運転から引退した[12]。
2024年(令和6年)4月13日に飯坂線が開業100周年を迎えることから、記念企画の一環として、1945年(昭和20年)から昇圧前まで同線の車両に採用されていた赤とクリーム色の塗装が1107 + 1208の車体に再現された[13] [14]。
-
甲種輸送される1000系電車(2017年撮影)
-
「みんなつながる、Good Train」(2024年撮影)
編成表
編集- 2両編成
← 福島 飯坂温泉 →
|
導入年度 | 運転開始年月 | ||
---|---|---|---|---|
車種 | デハ (Mc) |
クハ (Tc) | ||
搭載機器 | CONT | SIV,CP | ||
車両番号 | 1107 | 1208 | 2016年度[3] | 2017年4月1日[4] |
1103 | 1204 | 2017年度[9] | 2018年3月14日[4] | |
1105 | 1206 | 2018年度[10] | 2019年3月16日[4] | |
1101 | 1202 | 2018年度[10] | 2019年3月21日[4] |
- 3両編成
← 福島 飯坂温泉 →
|
導入年度 | 運転開始年月 | |||
---|---|---|---|---|---|
車種 | デハ (Mc) |
デハ (M) |
クハ (Tc) | ||
搭載機器 | CONT | CONT | SIV,CP | ||
車両番号 | 1109 | 1313 | 1210 | 2016年度[3] | 2017年4月1日[4] |
1111 | 1314 | 1212 | 2017年度[9] | 2018年3月12日[4] |
- 凡例
- CONT - 主制御器
- SIV - 補助電源装置
- CP - 空気圧縮機
関連項目
編集- 他社の東急1000系譲受車
- 伊賀鉄道200系電車 - 一部編成は中間電動車からの改造車。
- 上田電鉄1000系・6000系電車 - 6000系電車は中間電動車からの改造車。
- 一畑電車1000系電車 - 中間電動車からの改造車。
脚注
編集- ^ 福島交通(株) 1000系譲渡車両改造工事(東急テクノシステムHP・鉄道車両工事の事例・インターネットアーカイブ)。
- ^ a b c d e f 新車両情報 - 福島交通 飯坂電車作成 2019年4月23日閲覧
- ^ a b c d e f g h 「7000系置換え用として平成29年4月1日デビュー 福島交通1000系」『鉄道ファン』第57巻第6号、交友社、2017年6月、96-97頁、ASIN B06XBXFLWG。
- ^ a b c d e f g h i j 寺田祐一「他社へ転じた大手私鉄の車両たち 2018年度分, 10両を解析」『鉄道ファン』第59巻第8号、交友社、2019年8月、106頁、ASIN B07RVHF9P1。
- ^ a b c 『鉄道ファン2017年9月号付録 新車カタログ2017』交友社、2017年、14頁。
- ^ “福島交通飯坂線1000系車両導入のお知らせ” (PDF). 2019年4月23日閲覧。
- ^ “1000系第2次車両(1103編成)の営業運転開始について” (2018年3月23日). 2019年4月23日閲覧。
- ^ “福島交通、「新しい電車」導入へ…飯坂線に25年ぶり 2017年3月運転開始”. (2016年8月2日) 2019年4月23日閲覧。
- ^ a b c “福島交通1000系5両が甲種輸送される”. (2017年11月29日) 2019年4月23日閲覧。
- ^ a b c “【JR貨+福島交通】1000系甲種輸送”. (2018年11月19日) 2019年4月23日閲覧。
- ^ “新着情報 飯坂線1000系車両の搬入について”. 福島交通. 2019年4月23日閲覧。
- ^ “「7101号車+7202号車」ラストランのお知らせ” (2019年3月30日). 2019年4月23日閲覧。
- ^ “「いい電」開業100周年 レトロなデザインの記念列車を運行”. NHK福島放送局 (2024年4月13日). 2024年4月16日閲覧。
- ^ “懐かしのレトロデザインを再現...「いい電」100周年記念車両を運行”. 福島民友新聞 (2024年4月14日). 2024年4月16日閲覧。