珍地名
珍地名(ちんちめい)とは、何らかの事由によって通常とは異なる意味合いで考えられているような地名のことである。罵り言葉のように聞こえるものや、特にそうした意図はないのに面白おかしく聞こえたり、奇妙な意味を持つようになったりしているもの、特に長かったり短かったりするなど、通常の地名と異なる書き方や発音をするものがこれにあたる[1]。
日本語から見た珍地名
編集日本語から見た日本の珍地名は、一般に意味などが変わった地名のことであり、漢字やその読み方が難しい難読地名とは区別される。ただし、中には大阪市の放出(はなてん)のように、珍地名であってなおかつ難読地名でもある「難読珍地名(珍難読地名)」も存在する。マスコミなどでは、性的な意味を持つ普通名詞を含む地名が下ネタとして取り上げられることも多いが、地元では普通名詞としての意味が日常的に意識されているわけではない。
日本以外の世界各国にも、日本で珍地名と呼ばれる地域・山・河川などがある。ただし、それらは日本語で発音したときに異質なだけであり、その地域で使用されている言語においては何ら異質なものではない。他言語から見た珍地名については、それぞれの言語版のWikipediaも参照のこと。
珍地名の例
編集- 金玉落としの谷(きんたまおとしのたに)(静岡県菊川市東横地)-戦国時代の横地城跡にある谷。「木の玉」の転訛ではないかと言われる[2]。
- 音羽珍事町(おとわちんじちょう)(京都市山科区) - 地名に「珍」の漢字が使用されていること自体が珍しい[3]。
- 雨降り(あめふり)(東京都西多摩郡奥多摩町)[3]
- 海外町(かいとちょう)(神奈川県三浦市) - 国内なのに海外(かいがい)[3]。
- 駅部田(まえのへた)(三重県松阪市) - 三重電気鉄道松阪線にはかつて駅部田駅も存在した[3]。
- 昼飯(ひるい)(岐阜県大垣市) - 昼食(ちゅうしょく、ひるめし)に通じる[3]。
- 池田町サラダ(いけだちょうサラダ)(徳島県三好市) - 野菜料理のサラダを連想する[4]。
- ソビエト(和歌山県西牟婁郡すさみ町)
- 四つの「同音異字地名」(いずれも読みは「かぎあな」)[3]
- 珍小島(ちんこじま)(北海道虻田郡洞爺湖町)
- 漫湖(まんこ)(沖縄県那覇市、豊見城市)
- 乳頭温泉(にゅうとうおんせん)(秋田県仙北市)
- 我孫子 (あびこ)(千葉県、大阪府) - 中国語で「私の孫」という意味。また中国人にとって相手を侮辱する言葉にもなるという[5]。
- 浮気町(ふけちょう)(滋賀県守山市)[6]
- 途中(とちゅう)(滋賀県大津市) - バス路線の堅田葛川線では途中停留所が(名称が「途中」であるにもかかわらず)終点となる路線バス便があった。江若交通#エピソードも参照のこと[6]。
- 酢(す)(滋賀県長浜市、旧虎姫町)[6]
- 志布志市志布志町志布志(鹿児島県)
- 地名中に「志布志」が何度も繰り返され、「志」が多くあることから、しばしば珍地名としてネット上で話題になったり、テレビ番組などに取り上げられることがある[7]。
- こちらも難読地名として取り上げられたもの[8]。
- 日本語においては、まったく異なる意味に取れる地名[9]。
非常に長い地名、非常に短い地名
編集趣味としての珍地名
編集ウェブサイトにおいては、珍地名について扱ったウェブページが多く見られ、安居良基など世界の珍地名巡りをするマニアも存在する。
実際にその珍地名を看板などで見たいがために出かけて行く人もいるが、その場所は観光名所でも何でもないため、近辺に空港や駅がないどころか、道路すらないなど数多くの障害が存在することも多い。珍地名として知られる鹿児島県の志布志市志布志町志布志のように、SNS上で話題になったり、テレビ番組に取り上げられていることもあり、「こちらは、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所です。」(志布志市役所志布志支所前)と書かれた看板が設置されている場合もある[7]。
出典・脚注
編集- ^ Pike, Steven (6 August 2012). Destination Marketing. Routledge. p. 230. ISBN 978-1-136-00265-6
- ^ 小和田 2014, p. 13.
- ^ a b c d e f 『ふらり珍地名の旅』(今尾恵介 2015)
- ^ 取材班が選んだ珍地名(4)鼻毛&サラダ - ニッポン旅マガジン
- ^ “「我孫子」「丁寧」 中日ネットユーザーが驚く五輪選手の苗字”. 人民網日本語版. 人民日報社 (2012年8月29日). 2015年9月23日閲覧。
- ^ a b c “みんなのギモン「珍地名の宝庫!滋賀を調査」”. 関西テレビ放送 (2015年9月2日). 2015年9月25日閲覧。
- ^ a b “【珍地名】「志布志市 志布志町 志布志の志布志市役所 志布志支所」に行ってみた”. ロケットニュース24 (2013年7月29日). 2019年9月9日閲覧。
- ^ “「天使突抜」ってなんて読む? 「難しすぎる日本の珍地名」” (2012年7月12日). 2015年9月25日閲覧。
- ^ 安居良基 2009.
参考文献
編集- 竹内正浩『日本の珍地名』文藝春秋、2009年8月。ISBN 978-4166606979。 - 平成の大合併で誕生した新しい自治体名を採り上げ、決定までの顛末を説明すると共に問題点を指摘し「番付」している。
- 安居良基『世界でもっとも阿呆な旅』幻冬舎、2009年11月。ISBN 978-4344017481。
- 小和田哲男「男子は震え上がる恐怖の地名・金玉落とし」『じっぴコンパクト新書 静岡「地理・地名・地図」の謎 - 意外と知らない静岡県の歴史を読み解く! -』実業之日本社、2014年9月4日、13-15頁。ISBN 9784408455181。
- 今尾恵介『ふらり珍地名の旅』筑摩書房、2015年2月。ISBN 978-4480878823。
関連項目
編集- 難読地名
- スカンソープ問題 地名の綴りの中に、性的なスラングが偶然含まれていたことで生じる現象。
- 『世界でいちばん虚無な場所』
- バンコク#名称