浅羽通明
浅(淺)羽 通明(あさば みちあき、1959年〈昭和34年〉3月4日[1] - )は日本の評論家。みえない大学本舗主宰。
浅羽 通明 (あさば みちあき) | |
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ペンネーム | 村上道紀、みげる阿娑縛、きねずみあん |
誕生 |
1959年3月4日(65歳) 神奈川県横須賀市 |
職業 | 評論家 |
教育 | 法学士(早稲田大学・1981年) |
最終学歴 | 早稲田大学法学部卒業 |
活動期間 | 1985年 - |
ジャンル | 評論 |
主題 | 政治学、教養、日本思想、おたく |
文学活動 | 「愛と憧憬の会」、「みえない大学本舗」 |
代表作 | 『ニセ学生マニュアル』3部作(1988年 - 1991年) |
デビュー作 | 『ニセ学生マニュアル』(1988年) |
公式サイト | https://twitter.com/asabam1 |
経歴
編集1959年(昭和34年)、神奈川県横須賀市生まれ。1974年(昭和49年)、神奈川県立横須賀高等学校入学。同学年に後の評論家、東雅夫がおり、相互に影響を受ける。当時の浅羽はSFファンで、SF同人誌を発行していた。1977年(昭和52年)、早稲田大学法学部入学。1979年(昭和54年)、やはり早稲田に進学していた東雅夫が入会していた「幻想文学会」に、正式メンバーではなかったが、しばしば顔を出すようになる。倉阪鬼一郎ともこのころに知り合う。また堀切直人の面識を得る。そのうち、「幻想文学会」の別部門、レクチャー兼アジテーションを主な活動とするオカルト・異端思想についての会、「愛と憧憬の会」を主催するようになる。
1981年(昭和56年)、早稲田大学法学部卒業。1982年(昭和57年)、旧司法試験に合格するが、司法修習生時代に「自分には合わない」との理由で[2]ドロップアウトする[注釈 1]。
学生時代から「乱調社(のちの『みえない大学本舗』)」をなのり、呉智英、荒俣宏、笠井潔などを招いての連続講演会「叛近代の贈り物」「大江戸ポストモダンの彼方に」等を企画するようになる。1987年(昭和62年)秋に実施された、講演会の内容は、『異界が覗く市街図』(小松和彦、山折哲雄、赤坂憲雄、宮田登、鎌田東二、芹沢俊介、佐々木宏幹)として、青弓社から単行本化された。一方、1988年(昭和63年)に出版した『ニセ学生マニュアル』で、学籍は無いが大学の講義を眺めてみたいという人(「ニセ学生」)向けに著名な教授・学者による講義の特色、実像などを観光ガイド風に紹介し話題となる。『ニセ学生マニュアル』は三部作となるが、初期のオカルト革命主義から、呉智英の影響を受けた「実社会へのフィードバックを考える思想」へと転向する。
1985年(昭和60年)、雑誌『幻想文学』11号(同年6月刊行)のインタビューに同行し、星新一宅を訪れた[4]。
当時は大月隆寛と親しく、ともに、『少女民俗学』などで擬似民俗学的な主張をしていた大塚英志を批判した。また、1989年(平成元年)には大月とともに、異端の民俗学者・赤松啓介を招いてシンポジウムを開催した。いわゆる「第一次オタク世代」であり、「おたく」についての論考も多い。浅羽自身、一時はオカルト的な思想にかぶれており、おたく的感性がオカルトに転化する過程を論じた論考は、後に起きた「オウム真理教事件」を予見していたのではないかと『天使の王国』文庫版あとがきで述べている。
1988年(昭和63年)から2006年(平成18年)まで、呉智英が論語を講義する、公開講座「以費塾」を主催した。全盛期のムック『別冊宝島』にも評論を多数発表。その発展形の雑誌『宝島30』ではメイン・ライターの一人となる。1990年代には呉智英と共に、漫画家小林よしのりのブレーンとなり、小林の著作『ゴーマニズム宣言』中に「思想家」として登場し注目される。1995年(平成7年)6月に小林との共著『知のハルマゲドン』を出版した。しかし、1998年(平成10年)に出した『戦争論』以後の小林とは一線を劃し、歴史教科書問題(歴史認識問題 他)でも中立的な立場を取っている。[要出典]
試験政治学
編集試験政治学の啓蒙家。『大学で何を学ぶか』においては、「『世間』の集合」である日本社会では、「ある大学に入るということは、その時点で『世間』に組み込まれることだ」と説いた。
教養論
編集『野望としての教養』・『教養論ノート』・『教養としてのロースクール小論文』と続く一連の「教養論」は、「教養」の意味づけが不透明になってしまった現代における教養の意味を、様々な観点から問い直す内容である。
流行神
編集「読者との直接取引」という持論から、20年以上に渡り、有料の個人ニューズレター「
舞台演劇を鑑賞している関係で舞台女優の裕木奈江と交流があり、「流行神」にも「姫」と称した彼女についての記載がみられる。また元々SFファンであるため、涼宮ハルヒシリーズの流行後は、「流行神」で同シリーズを題材にして論を展開することもある。
早稲田セミナー専任講師
編集長年に渡って、早稲田セミナー専任講師を務めてきたため、「流行神」での活動と、書き下ろしをメインとし、『宝島30』以外の雑誌への執筆は最小限に抑えてきた。しかし、2007年(平成19年)に早稲田セミナーが大日本印刷(DNP)へ事業委託することに伴い講師をリストラされたことから、「流行神」(’07.03/14号)にて「経済的事情と時間的余裕ゆえ、本年より浅羽通明は著述業者として量産体制に入ります。まずは、書き下ろし限定の著述姿勢を解除」と宣言した。
Twitterとはてなブログ
編集2016年(平成28年)2月の著書『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』の刊行を機会として、同年1月25日からTwitterを開始[5]、同年2月7日からはてなブログを開始[6]。
ふるほんどらねこ堂
編集2019年(令和元年)11月から、東京新宿区四谷にて、古書店「ふるほんどらねこ堂」を運営[7][8]。
星読ゼミナール
編集2021年(令和3年)10月の著書『星新一の思想』の後書きにて、4年前(2017年(平成29年))ごろから星新一の読書会「
みえない大学本舗
編集早稲田大学の学生時代に浅羽が設立した「乱調社」が前身。現在は、浅羽のニューズレター「
著書
編集- 『ニセ学生マニュアル いま、面白い〈知〉の最尖端講義300』徳間書店、1988年8月。ISBN 978-4-19-553743-5。
- 『試験のための政治学』早稲田経営出版、1988年9月。ISBN 4-89823-904-8。
- 『試験のための政治学』(増補版)早稲田経営出版、1990年10月。ISBN 978-4-89823-904-9。
- 『試験のための政治学』(改訂版)早稲田経営出版、1993年5月。ISBN 978-4-89823-913-1。
- 『試験のための政治学』(第4版)早稲田経営出版、2001年5月。ISBN 978-4-8471-0647-7。
- 『ニセ学生マニュアル 平成元年〈逆襲版〉 ミーハーのための〈知〉の流行案内』徳間書店、1989年9月。ISBN 978-4-19-554055-8。
- 『ニセ学生マニュアル 死闘篇 知的スノビズムを超えるための気になる講義総覧』徳間書店、1990年10月。ISBN 978-4-19-554364-1。
- 『天使の王国 「おたく」の倫理のために』JICC出版局、1991年11月。ISBN 978-4-7966-0205-1。
- 『天使の王国 平成の精神史的起源』幻冬舎〈幻冬舎文庫〉、1997年8月。ISBN 978-4-87728-486-2。
- 『澁澤龍彦の時代 幼年皇帝と昭和の精神史』青弓社、1993年8月。ISBN 978-4-7872-9083-0。
- 『思想家志願』幻冬舎、1995年8月。ISBN 978-4-87728-062-8。
- 『大学で何を学ぶか』幻冬舎、1996年4月。ISBN 978-4-87728-105-2。
- 『大学で何を学ぶか』幻冬舎〈幻冬舎文庫〉、1999年4月。ISBN 978-4-87728-705-4。
- 『野望としての教養 大学講義』時事通信社、2000年6月。ISBN 978-4-7887-0063-5。
- 『教養論ノート』幻冬舎、2000年11月。ISBN 978-4-344-00030-8。
- 『教養論ノート』リーダーズノート〈リーダーズノート新書 G302〉、2011年4月。ISBN 978-4-903722-25-2。
- 『ナショナリズム』筑摩書房〈ちくま新書 473 名著でたどる日本思想入門〉、2004年5月。ISBN 978-4-480-06173-7。
- 『ナショナリズム 名著でたどる日本思想入門』筑摩書房〈ちくま文庫 あ45-1〉、2013年5月。ISBN 978-4-480-43051-9。
- 『アナーキズム』筑摩書房〈ちくま新書 474 名著でたどる日本思想入門〉、2004年5月。ISBN 978-4-480-06174-4。
- 『教養としてのロースクール小論文 講義録』早稲田経営出版、2005年5月。ISBN 978-4-8471-1897-5。
- 『教養としてのロースクール小論文 講義録』 (上) 自己責任と資本制、早稲田経営出版、2009年7月。ISBN 978-4-8471-2774-8。
- 『教養としてのロースクール小論文 講義録』 (下) 正義と実力と「世間」、早稲田経営出版、2009年7月。ISBN 978-4-8471-2775-5。
- 『右翼と左翼』幻冬舎〈幻冬舎新書 あ-1-1〉、2006年11月。ISBN 978-4-344-98000-6。
- 『浅羽通明同時代論集 治国平天下篇 天皇・反戦・日本』幻冬舎、2007年6月。ISBN 978-4-344-01342-1。 - 注記:「流行神」からのセレクト集。
- 『昭和三十年代主義 もう成長しない日本』幻冬舎、2008年4月。ISBN 978-4-344-01491-6。
- 『新書で大学の教養科目をモノにする政治学』光文社〈光文社新書 526〉、2011年6月。ISBN 978-4-334-03629-4。
- 『時間ループ物語論 成長しない時代を生きる』洋泉社、2012年11月。ISBN 978-4-8003-0018-8。
- 『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』筑摩書房〈ちくま新書 1168〉、2016年2月。ISBN 978-4-480-06883-5。
- 『『君たちはどう生きるか』集中講義 こう読めば100倍おもしろい』幻冬舎〈幻冬舎新書 あ-1-2〉、2018年11月。ISBN 978-4-344-98521-6。
- 『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』筑摩書房〈筑摩選書 0220〉、2021年10月。ISBN 978-4-480-01738-3。
共著・編著・共編著
編集- 小林よしのり 共著『知のハルマゲドン ゴー宣・サリン・パープリン』徳間書店、1995年6月。ISBN 978-4-19-860314-4。
- 小林よしのり 共著『知のハルマゲドン』幻冬舎〈幻冬舎文庫〉、1998年2月。ISBN 978-4-87728-561-6。
- 浅羽通明 編著『「携帯電話(モバイル)的人間」とは何か “大デフレ時代”の向こうに待つ“ニッポン近未来図”』宝島社〈別冊宝島Real 014〉、2001年5月。ISBN 978-4-7966-2222-6。
- 浅羽通明 ほか『ライブドアに物申す!! 44人の意見』トランスワールドジャパン、2006年9月。ISBN 978-4-925112-89-5。
関連項目
編集- 阿部謹也 - 「日本社会は『世間』の集合だ」と説く浅羽は、阿部の晩年の「世間論」を高く評価していた。
- 関曠野 - 在野の思想史家。浅羽は高く評価している。
- 塚崎幹夫 - ロジェ・カイヨワの翻訳で知られる仏文学者。浅羽は彼の評論を高く評価しているが、出版先がみつからないこともあり、そのことを嘆いている。
- 橋本治 - 浅羽は橋本を「戦後日本における最大の知性」と評価している。
- 花田清輝 - 学生時代に全集を読破して、大きく影響を受けた。
- 星新一 - 元々SFファンということもあるが、膨大なショート・ショートでありとあらゆる「人間的な問題」を書いた星の作品から、現在の思想的な課題を引き出すことが多い。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 『現代日本人名録』日外アソシエーツ、2002年
- ^ “【さらば革命的世代】第4部キャンパスはいま(5)「大人」になれない大学生 評論家・浅羽通明さん (1/4ページ)”. 産経ニュース (産業経済新聞社). (2009年6月13日). オリジナルの2009年6月16日時点におけるアーカイブ。 2023年4月7日閲覧。
- ^ 高井守. “よくあると思われる質問(FAQ)”. 永久保存版. 2010年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月7日閲覧。
- ^ “星新一公式サイト-寄せ書き-”. www.hoshishinichi.com. 2019年5月9日閲覧。
- ^ 浅羽通明 (@asabam1) - X(旧Twitter)
- ^ はてなブログ
- ^ 内田優作 (2021年12月13日). “「本を売る」ことは思想の伝達 評論家、浅羽通明さん”. THE SANKEI NEWS (産業経済新聞社). オリジナルの2021年12月13日時点におけるアーカイブ。 2023年4月8日閲覧。
- ^ どらねこどう (@Doranekodo) - X(旧Twitter)
- ^ 星読ゼミ (@hoshiyomizemi) - X(旧Twitter)
- ^ [email protected]. “日本推理作家協会賞 受賞作候補作一覧 第75回 令和4年/2022年度”. 文学賞の世界. 2023年4月8日閲覧。
外部リンク
編集上記に記述したような考え方を浅羽が持っているため、以前は個人のウェブページ等はなかった。
- 浅羽通明のプロフィール - LIBERARY(リベラリー)
- 浅羽通明 (@asabam1) - X(旧Twitter)
- どらねこどう (@Doranekodo) - X(旧Twitter)
- 星読ゼミ (@hoshiyomizemi) - X(旧Twitter)
- はてなブログ
- 「永久保存版」 - ウェイバックマシン - かつて「流行神」を申し込むと、郵送時に一緒に送られてきたフリー・ペーパー「永久保存版」(著者は浅羽の友人の氾田礼(本名:高井守))の頁。「よくあると思われる質問(FAQ)」に浅羽の過去のことが一部記載されている。また「以費塾」の頁もある。