沓掛良彦
沓掛 良彦(くつかけ よしひこ、1941年1月1日 - )は、日本の比較文学者・西洋古典学者、翻訳家。東京外国語大学名誉教授[1]。井伊 華言(いいかげん)名義の著書もある。
人物情報 | |
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生誕 |
1941年1月1日(83歳) 長野県上田市 |
出身校 | 早稲田大学 |
学問 | |
研究分野 |
文学(比較文学) 西洋古典学 |
研究機関 | 東北大学、東京外国語大学 |
学位 | 文学博士 |
影響を受けた人物 | 西脇順三郎 |
主な受賞歴 | 読売文学賞(翻訳部門) |
経歴
編集- 出生から修学期
1941年、長野県上田市で生まれた。1959年、長野県上田高等学校を卒業。早稲田大学第一文学部ロシア文学科に進学し、1965年に卒業。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻に進み、比較文学を専攻。西脇順三郎を読んで地中海世界に憧れ、寺田透と木村彰一に師事した。1971年に博士課程を中退。
- 教員時代
その後は大阪市立大学専任講師に就いた。東北大学助教授を経て、東京外国語大学外国語学部教授となった。1990年、学位論文『サッフォー:詩と生涯』を東北大学に提出して文学博士の学位を取得[2]。在職中には外国語学部長も務めた。2003年に東京外国語大学を定年退官し、名誉教授となった。その後は東京学芸大学教授として教鞭をとった。2005年に東京学芸大学を定年退職。2010年、中国・福州大学客員教授。
受賞・栄典
編集研究内容・業績
編集ロシア、フランスから、古典ギリシア、ローマ、漢詩、江戸文藝まで広い学殖がある。「枯骨閑人」を名乗る。
著作
編集著書
編集- 沓掛良彦名義
- 『サッフォー 詩と生涯』平凡社 1988
- 再版 水声社 2006
- 『讚酒詩話』岩波書店 1998
- 『詩林逍遥:枯骨閑人東西詩話』大修館書店 1999
- 『文酒閑話』平凡社 2000
- 増訂改題『耽酒妄言:枯骨閑人文酒閑話』平凡社(大和プレス) 2020
- 『詩女神の娘たち:女性詩人、十七の肖像』未知谷 2000
- 『壺中天酔歩:中国の飲酒詩を読む』大修館書店 2002
- 『エロスの祭司 評伝ピエール・ルイス』水声社 2003
- 『大田南畝 詩は詩仏書は米庵に狂歌おれ』ミネルヴァ書房(ミネルヴァ日本評伝選) 2007
- 『和泉式部幻想』岩波書店 2009
- 『陶淵明私記 詩酒の世界逍遥』大修館書店 2010
- 『式子内親王私抄 ほのかな美の歌』ミネルヴァ書房 2011
- 『西行弾奏』中央公論新社 2013
- 『エラスムス 人文主義の王者』岩波書店(岩波現代全書) 2014
- 『人間とは何ぞ 酔翁東西古典詩話』ミネルヴァ書房(叢書・知を究める) 2015
- 『古代西洋万華鏡 ギリシア・エピグラムにみる人々の生』法政大学出版局 2017
- 『ギリシアの抒情詩人たち 竪琴の音にあわせ』京都大学学術出版会) 2018
- 『オルフェウス変幻 ヨーロッパ文学にみる変容と変遷』京都大学学術出版会) 2021[4]
- 『表現者としての一休 「恋法師一休」の艶詩・愛の詩を読む』研文出版) 2023
- 『風狂と遊戯 閑に読む一休と良寛』目の眼、大和プレス) 2023
- 小湖津完爾名義
- 『塵芥集 夜の詠 茂原才欠(もばらさいかく)短歌大矢数』小湖津完爾名義、思潮社(大和プレス) 2021
- 井伊華言名義
翻訳
編集- 『牧神の葦笛 ギリシア詞華集抄』牧神社 1978
- 『ピエリアの薔薇 ギリシア詞華集選 沓掛良彦訳詩集』書肆風の薔薇 白馬書房 1987
- 再版 平凡社ライブラリー 1994
- 『焔の女 ルイーズ・ラベの詩と生涯』(風の薔薇) 1988
- 『古代芸術のコスモロジー』ロジャー・ヒンクス著、安村典子共訳、平凡社(ヴァールブルク・コレクション) 1989
- 『ホメーロスの諸神讃歌』平凡社 1990
- 文庫化 ちくま学芸文庫 2004
- 『フランス女流詩人詩抄』金子美都子共訳、木魂社 1991
- 『愛の女神 アプロディテの姿を追って』ジェフリー・グリグスン著、榎本武文共訳、風の薔薇(現:水声社)) 1991
- 『ローマの愛』ピエール・グリマル著、土屋良二共訳、白水社 1994
- 『トルバドゥール恋愛詩選』平凡社 1996
- 『地中海』プレドラグ・マトヴェイェーヴィチ著、土屋良二共訳、平凡社 1997
- 『アフロディテ 古代風俗』ピエール・ルイス著、平凡社ライブラリー 1998
- 『ボードレール伝』アンリ・トロワイヤ著、中島淑恵共訳、水声社 2003
- 『ビリティスの歌』ピエール・ルイス著、水声社 2003
- 『ヴェルレーヌ伝』アンリ・トロワイヤ著、中島淑恵共訳、水声社 2006
- 『オウィディウス 恋愛指南 アルス・アマトリア』オウィディウス著、岩波文庫 2008
- 『アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡』横山安由美共訳、岩波文庫 2009
- 『痴愚神礼讃 ラテン語原典訳』デジデリウス・エラスムス著、中公文庫 2014
- 『エラスムス = トマス・モア往復書簡』高田康成共訳、岩波文庫 2015
- 『ギリシア詞華集』(全4巻) 京都大学学術出版会(西洋古典叢書) 2015-2017[6]
- 『黄金の竪琴 沓掛良彦訳詩選』思潮社(大和プレス) 2015
- 『ギリシアの墓碑によせて』ネーモー・ウーティス著、思潮社(大和プレス) 2017
- 『詩人 クリスティーヌ・ド・ピザン』横山安由美共編訳、思潮社(大和プレス) 2018
- 『シルウァエ』アンジェロ・ポリツィアーノ著、月曜社 2023
共編著
編集- 『詩女神(ミューズ)の娘たち 女性詩人、十七の肖像』未知谷 2000
- 『名詩名訳ものがたり 異郷の調べ』亀井俊介共編、岩波書店 2005
- 『コルドバ遊記 記憶の中の都市』小柳裕・横溝静共著、大和プレス 2009
- 『バッカナリア 酒と文学との饗宴』阿部賢一共編、成文社 2012
論文
編集脚注
編集- ^ “名誉教授|組織とスタッフ”. 東京外国語大学. 2018年10月9日閲覧。
- ^ CiNii(学位論文)
- ^ “読売文学賞に古川日出男さんら”. 日本経済新聞 (2016年2月1日). 2016年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月9日閲覧。
- ^ 著者に会いたい・沓掛良彦さん『オルフェウス変幻』インタビュー「自分も末裔、根源を探る」
- ^ 同書に「『枯骨閑人』から『恍惚惨人』に改めねばなるまい」「私にとって最初に世に問うた本である『ピエリアの薔薇』」という記述があることから(どちらもp356)、井伊の正体は沓掛であることがわかる
- ^ 著者からのメッセージ・沓掛良彦:『ギリシア詞華集4』(日本西洋古典学会)