情況
『情況』(じょうきょう)は、日本の季刊総合雑誌。情況出版株式会社が発行。
情況 変革のための総合誌 | |
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愛称・略称 | 情況 |
ジャンル | 総合雑誌 |
刊行頻度 | 季刊 |
発売国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
定価 | 1500円(本体1364円) |
出版社 | 情況出版 |
発行人 | 塩野谷恭輔 |
雑誌名コード | 05367 |
刊行期間 | 1968年 - |
ウェブサイト | 情況出版 “変革のための総合誌” |
概要
編集創刊は1968年と古く、当時は新左翼系論壇誌として刊行されていた。現在は、「オピニオンのステージをひらく 変革のための総合誌」とサブタイトルを付け、人文・社会科学系の総合誌として、政治思想などをテーマに独自の地位を築いている。
歴史
編集母体は、第二次ブント分裂後の「情況派」(共産主義者同盟再建委員会、のちに「遠方から派」と「游撃派」に分裂)と言われるが、創設者で東京大学新聞の編集などを経験していた古賀暹によれば、党派とは独立した、ジャーナリズム、「理論誌」として設立されたとのことである。1968年創刊の『情況』は、廣松渉が当時の金で100万円援助して、創刊されたものだという。古賀によれば、一旦断ったが、廣松が、喫茶店で上半身の服を脱ぎ、さらしから100万円を出し、「男が一度出した金を引っ込めることはできない」と言われたことから、創刊を決意したという[1]。知識人と運動家との混成による多様な執筆陣を抱え、全共闘運動や砂川闘争、三里塚闘争、公害問題など国内社会運動が特集された。さらに、中国やソビエトなど世界史的視野も含めて、当時の社会運動の多面的広がりを反映させていた。また、それらの運動を土台に、天皇制、ナショナリズム、マルクス主義、旧優生保護法、女性解放運動、アイヌ、沖縄、朝鮮などを取り上げ、「近代」自体を問い直すメディアとして、運動・闘争の中心的役割を果たしていた。現在は、創刊当時の学生運動・社会運動を振り返りつつ、キャンセルカルチャーやメンタルヘルス、宗教問題、ウクライナ侵攻、大麻、ポピュリズム、コロナ禍、現代右翼研究など、時代に合わせた社会問題を扱い、更には、漫画や文学、映画、音楽、Twitter、VTuberなど、流行・カルチャーとも連動させた誌面を構成している。2022年、第5期休刊を皮切りに、20代を中心とした若手編集委員へ世代交代が行われ、第6期へと移行した。
年表
編集- 1968年 - 8月1日、月刊『情況』創刊、1976年に休刊。
- 1990年 -『情況 第2期』刊行開始、2000年終刊。
- 2000年 -『情況 第3期』刊行開始、2011年終刊。この間、2007年に隔月刊となるが、2008年春より月刊に戻る。2010年頃より再び隔月刊となる。
- 2011年 -『情況 第4期』刊行開始、2018年終刊。この間15年5月号より再度月刊となる。2015年12月発売の2016年1月号より隔月刊に戻る。2017年春号より、季刊(1・4・7・10月各15日発行)となる。
- 2018年 -『情況 第5期』7月より刊行開始、2022年休刊。
- 2021年 - 創刊号から101号までが「復刻版『情況』」として不二出版より発売されることが発表された。
- 2023年 -『情況 第6期』2月より刊行開始。
主な寄稿者
編集創刊から現在に至るまでの主な寄稿者、インタビュー登場者などを列記する。
- 廣松渉
- 吉本隆明
- 清水多吉
- 秋山清
- 対馬忠行
- 戸村一作
- 宮岡政雄
- 田村正敏
- 内村剛介
- 新島淳良
- 藤本進治
- 三浦つとむ
- 岩田弘
- 秋田明大
- 大内秀明
- 大久保そりや
- 福田善之
- 塩川喜信
- 折原浩
- 清水正徳
- 菅谷規矩雄
- 竹本信弘
- 石牟礼道子
- 金達寿
- 武田泰淳
- 柄谷行人
- 海老坂武
- 小阪修平
- 最首悟
- 太田竜
- 重信房子
- 山本義隆
- 塩見孝也
- 長崎浩
- 絓秀実
- 菅孝行
- 表三郎
- 板垣雄三
- 鵜飼哲
- 高橋順一
- 内海信彦
- 丸川哲史
- 中村勝己
- 千坂恭二
- 立花隆
- 上野千鶴子
- 佐藤優
- 二木啓孝
- 鳩山由紀夫
- 木村三浩
- 宮台真司
- 高樹沙耶
- 山本太郎
- 東浩紀
- 田母神俊雄
- 守屋武昌
- 孫崎享
- 荒谷卓
- 葛城奈海
- 松島泰勝
- 加藤朗
- 篠原常一郎
- 中田考
- 笠井潔
- 外山恒一
- 白井聡
- 三上治
- 前田和男
- 中川文人
- 山本夜羽音
- 保坂展人
- 松本哉
- 藤田直哉
- ゆたぼん
- 小林哲夫
- 島薗進
- 杉田俊介
- 仲正昌樹
- 長井秀和
- 友常勉
- 黒川敦彦
- 新藤加菜
- 河村義人
- 田上孝一
- 檜垣立哉
- 森由民
- 立川平林
- 山本直樹
- 内山昭一
- Moment Joon
- 曽我部恵一
- 森元斎
- 牛嶋徳太朗
- 近藤康太郎
- 足立正生
- 森元斎
- 吉岡忍
- 王寺賢太
- 野村泰紀
- 斎藤英喜
- 福嶋亮大
- 廣瀬純
- 浴田由紀子
- 中山美里
- 川元祥一
- 笙野頼子
- 依田花蓮
- 千田有紀
- 安冨歩
- 三橋順子
- 小谷野敦
- 森田成也
- 岩波明
- 斎藤貴男
- 尾辻かな子
- 佐藤悟志
- 佐藤卓己
- 外山麻貴
- 蔵研也
- 橘玲
- 藤森かよこ
- 栗原裕一郎
- 井上智洋
- 松尾匡
- 牟田和恵
バックナンバー
編集第1期
編集- <特集>世界革命の思想 ゲリラと都市暴動(1968年8月創刊号)
- <特集>初期マルクスの評価をめぐって <第2特集>ヨーロッパ急進主義(1968年9月号)
- <特集>農民叛乱 成田・砂川の闘い(1968年10月号)
- <特集>大学叛乱 批判大学論(1968年11月号)
- (1968年12月-1969年1月号)
- <特集>ドル・ポンド・フラン危機と現代帝国主義(1969年2月号)
- <特集>大学闘争論(1969年3月号)
- <特集>叛乱は拡大する(1969年3月臨時増刊号)
- (1969年4月号)
- (1969年5月号)
- <特集>都市暴動 大学占拠と反戦(1969年6月号)
- <特集>大学を告発する(1969年7月号)
- <特集>世界諸帝国主義の現段階(1969年8月号)
- <特集>ファシズム論(1969年9月・10月号)
- <特集>60年安保と70年決戦(1969年11月号)
- <特集>10・11月決戦から70年へ(1969年12月号)
- <特集>70年代闘争への展望(1970年1月号)
- (1970年2月・3月号)
- (1970年4月号)
- (1970年5月号)
- <特集>ノンセクト・ラディカルの軌跡(1970年6月号)
- (1970年7月号)
- (1970年8月号)
- <特集>70年代と先進国叛乱の思想(1970年9月号)
- (1970年10月号)
- <特集>市民社会と階級形成(1970年11月号)
- <特集>〈革命〉の神話 ファシズム(1970年12月号)
第2期
編集第3期
編集第4期
編集- <特集>安倍政権批判(沖縄・福島・秘密保護法)<特集>国家論 <特集>書評『スターリン「回想録」』山田宏明著(2014年1.2月合併号)
- <特集>白井聡「永続敗戦論」(2014年3.4月合併号)
- <巻頭特集>台湾(東アジア)<特集>労働 <特集>書評 大谷恭子著『共生社会へのリーガルベース』(2014年5.6月合併号)
- <巻頭特集>ウクライナ問題 <特集>資本とは <特集>書評1 室伏志畔著『誰が古代史を殺したか』(世界書院)(2014年7.8月合併号)
- <巻頭特集>東アジア <特集>天安門事件25周年(2014年9.10月合併号)
- <特集>「イスラム国」運動の背景――世界大戦の現段階(2014年11.12月合併号)
- <特集>日本の官僚制批判(2015年1.2月合併号)
- <特集>学生(2015年3.4月合併号)
- <特集>イスラムIS事件(2015年5月号)
- <特集>全人代とは何か <書評特集>前田朗『ヘイトスピーチ研究序説』(三一書房)(2015年6月号)
- <特集>4・28シンポジウム全記録 <特集>ピケティー『21世紀の資本』(2015年7月号)
- <特集>安保法制――安倍政権といかに闘うか <特集>現象学(2015年8月号)
- <特集>ウクライナ危機(第1回)(2015年9月号)
- <特集>戦後70年安倍談話――日韓条約50年 <特集>書評:菅孝行『天皇制論集』第一巻『天皇制問題と日本精神史』(御茶の水書房)(2015年10月号)
- <巻頭特集>新日米同盟と沖縄・女性の自己決定権 <特集>書評:市田良彦著『存在論的政治』(2015年11月号)
- <特集>科学技術政策と大学改革(2015年12.2016年新年合併号)
- <特集>柄谷行人<特集>白井聡『戦後の墓碑銘』書評(2016年2.3月号)
- <特集>チェルノブイリ事故30周年 <特集>学生運動特集、20~40代からの提案(2016年4.5月号)
- <特集>張一兵『レーニンへ帰れ』(書評特集:第1弾)<特集>ヘーゲル大論理学(概念論刊行200年)(2016年6.7月号)
- <特集>沖縄シンポ報告 <特集>世界経済−−ドル体制の破局(2016年8.9月号)
- <特集>トランプ・ショック <特集>16年テーゼ(2016年12月号)
- <特集>ゼロベースで見なおす 日米安保と日本人(2017年春号)
- <特集>唯物史観からエコロジーへ 彼ら彼女らは、こぞって赤から緑に思想展開をとげた!(2017年夏号)
- <特集>ロシア革命100年(2017年秋号)
- <特集>激動の東アジア 朝鮮核ミサイル戦争前夜(2018年冬号)
第5期
編集- <特集>ひん死の論壇を再生する 民主主義の危機は、論壇の衰退に顕われている(2018年夏号)
- <特集>ポスト68の思想的課題(2018年秋号)
- <特集>壊れゆく大学 入試直前 志望校見直し対策号 <特集>デヴィッド・グレーバーの『負債論』を論じる(2019年冬号)
- 政治の季節がやってきた!書を持って街に出よう(2019年春号)
- <特集>政治とは経済なのである MMT(現代貨幣理論)をめぐって(2019年夏号)
- <特集>Legalize it! さあ、そろそろ大麻の話をしよう(2019年秋号)
- <特集>ポピュリズムの時代(2020年冬号)
- <白井聡 責任編集>(2020年春号)
- <特集>CORONA COLONIAL コロナに侵犯された世界の現在と未来を生きるために(2020年夏号)
- <特集>現代右翼の研究(2020年秋号)
- <特集>アジール──自由/癒し/逃避の空間(2021年冬号)
- <特集>国防論のタブーをやぶる(2021年春号)
- <特集>DON’T TRUST OVER 40 青年たちは糾弾する(2021年夏号)
- <特集>内外の友人たち ガイコクジン・ハーフの話を聴け!(2021年秋号)
- <特集>連合赤軍半世紀後の総括(2022年冬号)
- <特集>キャンセルカルチャー 取り消す権利に指標はあるか?<第2特集>プーチンの戦争を止めろ!(2022年春号)
- <特集>激論! ロシア・ウクライナ戦争 <第2特集>帰ってきた「魔女」 重信房子(2022年夏号)
第6期
編集その他の媒体
編集紙媒体での発行を続けているが、2021年より、YouTubeチャンネルでの発信を開始した。
- 「情況放送」 - 公式YouTubeチャンネル。2021年投稿開始。
歴代編集長
編集脚注
編集外部リンク
編集- 情況出版 “変革のための総合誌”
- 『情況』編集委員会@情況出版 (@jokyo_from1968) - X(旧Twitter)
- 公式YouTubeチャンネル「情況放送」