恵民署
恵民署(ヘミンソ)は、朝鮮王朝時代に設置された官庁・医療施設(病院)。一般庶民の病気治療や、薬剤の調合・販売を目的とした。従六品衙門。
恵民署 | |
---|---|
各種表記 | |
ハングル: | 혜민서 |
漢字: | 惠民署 |
発音: | ヘミンソ |
日本語読み: | けいみんしょ |
制度
編集1392年(太祖元年)、高麗の制度を継承して恵民庫局が設置された。1414年(太宗14年)に恵民局と名を改めたのち、1466年(世祖12年)に恵民署に改称された。1882年(高宗19年)に廃止された。
官員は、他官が兼任する提調1名、主簿・医学教授・直長・奉事・医学訓導各1名と、賛奉4名が置かれた。そのうち採用試験の最高得点者と、直長以上の官員の中の1名が久任員であり、そのほかは遞兒職であった。
恵民署は活人署 (ko:활인서) と同様、王の恵沢を庶民に施すという趣旨の機関であったが、「恵沢」が及ぶのは漢陽付近の民衆のみという限界があった。恵民署と活人署を併せて「両医司 (ko:양의사) 」とも称した。
恵民署の他にも、内医院 (ko:내의원) (宮中の医療施設)・典医監 (ko:전의감) (医者の選抜・教育や薬剤の管理など)という官署が設置されている。これら三つの医療官署を合わせて「三医司」 (ko:삼의사) という。
構成
編集官位 | 官職 | 定数 | 備考 |
---|---|---|---|
従一品 正二品 従二品 |
提調 | 2人 | このうちの一人は他の官職を兼任 |
従六品 | 主簿 | 2人 | |
従六品 | 医学教授 | 1人 | 経国大典では、さらに一人増員 |
従七品 | 直長 | 1人 | |
従八品 | 奉事 | 1人 | |
正九品 | 医学訓導 | 1人 | |
従九品 | 参奉 | 4人 |
- 吏曹の書史(서리)2人付属。続六典で恵民署の書史を書院(서원)に降格させ1人になった。
- 医女が31人いた。医女は八道(地方)の邑婢(읍비)から秀麗なものを選んだ。
関連項目
編集- 宮廷女官チャングムの誓い - 恵民署が舞台のひとつとなっているテレビドラマ
- 小石川養生所 - 江戸時代の日本の官立医療施設