広深港高速鉄道
広深港高速鉄道 (こうしんこうこうそくてつどう)は、中国広東省の広州市から深圳市を経由して香港の西九龍駅に至る高速鉄道。
広深港高速鉄道 | |||
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CR400AF(深圳北駅) | |||
基本情報 | |||
起点 | 広州南駅 | ||
終点 | 香港西九龍駅 | ||
駅数 | 7 | ||
開業 |
2011年12月26日(広州〜深圳) 2018年9月23日(深圳〜香港) | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 142 km | ||
軌間 | 1,435 mm | ||
線路数 | 複線 | ||
電化方式 | 交流25,000V 50Hz | ||
最高速度 |
350 km/h(本土側) 200 km/h(香港側) | ||
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経路図 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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広深港高速鉄道 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 廣深港高速鐵路 |
簡体字: | 广深港高速铁路 |
拼音: | Guǎngshēn'gǎnggāosùtiělù |
発音: | クヮンシャンカン カウスーティェールー |
広東語拼音: | gwong2 sam1 gong2 gou1 cuk1 tit3 lou6 |
広東語発音: | クォンサムコン コウツォクティッロウ |
日本語漢音読み: | こうしんこうこうそくてつどう |
英文: | Guangzhou-Shenzhen-Hong Kong Express Rail Link |
概要
編集珠江デルタ・インターシティ(区域快線)東線、広深港旅客専用線とも呼ばれる。全長は142km。広州〜香港の所要時間は最速47分[1][2](在来線の広深線では100分)。深圳〜香港は最速14分[1]。
列車の運行本数は香港側は平日(月曜日~木曜日)は70往復で休日・夏期・旧正月は更に増える[1]。広州まで行かない、香港〜深圳の本数が多い。
香港から乗る場合、乗車手続きは発車2時間前から開始され、入出国審査があるため駅には発車45分以上前に着いている必要がある[3]。外国人(パスポート所持者)は更に余裕をもって駅に着くことが求められる。 荷物は大人は20kg以内、3辺の合計130cm以内に制限されていて[4]、多くの航空機の国際線の預け入れ荷物の制限(23kg、158cmなど)よりも厳しい。
席種は、二等・一等・特等・商务の4種類。
また、内地では認められている乗り越し精算(補票)はなく、香港までの正規乗車券を持たずに到着した場合、理由の如何を問わず、不足賃の5割増しの額に、1,500香港ドルまたは3,000香港ドルの罰金を払わなければならない。
京港旅客専用線
編集京港旅客専用線を構成する路線で、北京西駅から京石・石武・武広旅客専用線を経由し広州南駅へ至った後、当線を通り香港の香港西九龍駅まで直通運行が行われる。従来2時間程度かかっていた香港~広州の移動が最速47分となり[5]、北京〜香港は8時間56分。
北京西駅 - 広州南駅間は2012年12月26日に全線開通し、北京西駅発着の高速動車も運行が開始された[6][7]。残りの香港側は2018年9月23日に開通した[1]。
本土側(広州 - 深圳間)
編集本土側は広州 - 深圳(福田)間の106kmである[8]。国務院鉄道部と広東省政府の合資により建設された。工費は167億元を予定し、2005年起工した。
駅は、広州南駅、慶盛駅、虎門駅、光明城駅、深圳北駅(新深圳駅)、福田駅が設けられた。
いずれも既存路線との交差や接続、更には地元政府との調整が難航し、工事が遅れ気味であった。
2011年当初は、深圳市で夏に開催されるユニバーシアードに間に合わせる予定であったが、 同年7月に浙江省温州市で発生した高速鉄道事故で鉄道部への批判が高まる中で開業が延期されたという説も報じられている[8]。
ようやく2011年12月26日に広州 - 深圳北間が開通し、2015年12月30日に福田駅まで延伸した[9][10][8][11]。香港側は2018年9月23日に開通した[1][12]。本土側は時速350km、香港側は時速200kmで運行している[13]。
広九直通列車
編集なお、広州 - 香港間を結ぶ列車としては、在来線の広深線に広九直通車(広州 - 香港九龍)として中国国鉄と香港MTRが相互に運行する機関車牽引の客車列車がある。
国際列車に準じる扱いになるので入境および出境の手続きは出発駅及び到着駅で行われる。CRH1も当路線で運行されるが深圳駅発着となっており香港へは乗り入れない。
口岸(イミグレーション)を挟んで深圳駅と香港MTR東鉄線の羅湖駅は近接しており乗り換えが可能である。
広九直通車はビジネス目的や外国人の利用が多いのに対して、広深CRH - MTR東鉄線乗り継ぎルートは料金が安く済むため一般市民の利用が多いことが特徴である。
香港側(落馬洲 - 香港西九龍間)
編集香港側は九広鉄路(現・香港鉄路)が建設を担当し、2018年9月23日に開通した。落馬洲で本土側とつながり、香港西九龍駅が終着駅。
当初、2つの案が構想されていた。
- 第一案
- 九広東鉄(現・香港MTR東鉄線)落馬洲支線の北環線を経て九広西鉄(現・香港MTR屯馬線)に乗り入れるというものである。この場合、費用と時間の節約になるという利点がある。しかし、香港MTR屯馬線は高速走行用に設計されておらず、本土側の高速走行列車が来てもフルスピードは出せない。そのため、香港と広州の所要時間は約60分となる予定である。
- 第二案
- 直線に近い高速鉄道専用線を新たに建設するというものである。建設コストは47%(100億香港ドル)ほど高くなるが、高速走行が可能となるという利点がある。そのため、香港・広州間の所要時間を49分に短縮できる。
2006年2月6日に、香港行政会議は九広鉄路に第一案で計画を実施するよう指示を出した。この時点での香港側の完成予定は2013年としていた。一方で、将来的に香港には本土の10都市から長距離列車が乗り入れるため、第一案では輸送力不足だとの意見も立法会議員から出された。そのため、香港政府は九広鉄路の調査結果次第では第二案の再考もありうるとの見解を示している。また、第二案では2014年もしくは2015年に完成時期が延びるともされた[14]。
2009年、香港内での建設が年内にもスタートすると同地域の新聞で報じられ、2018年9月23日に開通した[1][15]。
広九直通列車は香港と大陸側のそれぞれの駅で出入境審査が行われているが、広深港高速鉄道は香港西九龍駅で香港・中国の出入境審査が同時に行われる(シンガポールのウッドランズ・トレイン・チェックポイントと同様)。駅構内の一部や車内では中国の法律が適用される[16][17]。香港側で中国政府職員による審査が行われることについては、一国二制度と矛盾するとの批判もある[5]。(ただし陸路においては、一箇所で中港双方の出入境審査を行う「一地両検」は深圳湾口岸等先例がある)
駅一覧
編集駅名 | 駅間 距離 (km) |
累計距離 (km) |
接続路線 | 所在地 | ||||||
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日本語 | 繁体字中国語 | 簡体字中国語 | 英語 | 広州南 起点 |
北京西 起点 | |||||
広州南駅 | 廣州南站 | 广州南站 | Guangzhou South | 0.0 | 0.0 | 2218.0 | ■武広旅客専用線 ■貴広旅客専用線 ■南広線 ■広珠都市間鉄道 ■広州地下鉄2号線 ■広州地下鉄7号線 ■広州地下鉄22号線 ■仏山地下鉄2号線 |
広東省 | 広州市 | 番禺区 |
慶盛駅 | 慶盛站 | 庆盛站 | Qingsheng | 31.0 | 31.0 | 2249.0 | ■広州地下鉄4号線 | 南沙区 | ||
虎門駅 | 虎門站 | 虎门站 | Humen | 19.0 | 50.0 | 2268.0 | ■東莞軌道交通2号線 ■穂莞深都市間鉄道 |
東莞市 | ||
光明城駅 | 光明城站 | 光明城站 | Guangmingcheng | 36.0 | 86.0 | 2304.0 | 深圳市 | 宝安区 | ||
深圳北駅 | 深圳北站 | 深圳北站 | Shenzhen North | 16.0 | 102.0 | 2320.0 | ■廈深線 ■深茂線 ■深圳地下鉄4号線 ■深圳地下鉄5号線 ■深圳地下鉄6号線 | |||
福田駅 | 福田站 | 福田站 | Futian | 8.0 | 110.0 | 2328.0 | ■穂莞深都市間鉄道 ■深圳地下鉄2号線 ■深圳地下鉄3号線 ■深圳地下鉄11号線 |
福田区 | ||
香港西九龍駅 | 香港西九龍站 | 香港西九龙站 | Hong Kong West Kowloon Station | 36.0 | 142.0 | 2360.0 | MTR■機場快線、■東涌線 (九龍駅) ■屯馬線(柯士甸駅) |
香港 | 油尖旺区 |
車両
編集歴史
編集中国本土側
編集- 2005年12月18日 - 着工。
- 2007年11月9日 - 獅子洋トンネル着工。獅子洋トンネルは珠江の底を通る全長5,550m(長い方)のシールドトンネルであり、設計最高速度は350km/hでこれは水底トンネルとしては世界一である[19]。
- 2011年
- 3月12日 - 獅子洋トンネル全通[19]。
- 12月26日 - 広州南 - 深圳北間で営業開始。
- 2012年12月26日 - 京石・石武旅客専用線が全線開通、北京方面の直通列車運行開始、当区間最長となる北京西 - 深圳北間(2240km)を10時間25分で結ぶ列車が設定。
- 2015年12月30日 - 深圳北 - 福田間が開業。
香港側
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g “広深港高速鉄道、9月23日に全線開通”. ジェトロ. (2018年8月24日)
- ^ “中国の高速鉄道が香港まで開通、広州へ47分 : 国際”. 読売新聞 (YOMIURI ONLINE)
- ^ High Speed Rail > Process
- ^ High Speed Rail > Baggage Regulations
- ^ a b 木原雄士 (2018年9月24日). “広州と香港結ぶ高速鉄道開通”. 日本経済新聞: p. 4
- ^ “中国、高速鉄道網を建設へ 北京・広州間を9時間”. 人民網日文版. (2008年7月31日)
- ^ “北京―広州の高速鉄道が年内開通へ、全線で8時間以内”. エクスプロア上海. (2012年2月20日)
- ^ a b c “広州からの高速鉄道、26日開業 是非議論も”. 産経新聞
- ^ “中国の高速鉄道新路線、26日に開通 事故後初”. 日経新聞. (2011年12月23日)
- ^ “広州―深圳の高速鉄道ようやく26日に開通”. エクスプロア上海
- ^ “中国:事故後初の高速鉄道開業”. 毎日新聞
- ^ “広州-香港間を48分で結ぶ高速鉄道にまだ問題山積”. 香港ポスト (サーチナ). (2009年11月6日). オリジナルの2012年7月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ (中国語) 高速铁路简介, 高速铁路
- ^ “香港段最快2014年通車”. 明報. (2006年1月12日)
- ^ “高鐵超支148億 延誤兩年” (中国語). 蘋果日報. (2014年4月16日)
- ^ “香港への高速鉄道、中国の法律適用 香港の民主派反発”. 朝日新聞. (2017年12月28日)
- ^ a b “香港高速鉄道が開通 車内で中国の法律を適用で反発も”. 朝日新聞デジタル. (2018年9月22日)
- ^ “CE views XRL train delivered to Hong Kong”. 2017年10月29日閲覧。
- ^ a b “世界时速等级最高水下铁路隧道全线贯通” (中国語). 新华网. (2011年3月12日). オリジナルの2012年7月16日時点におけるアーカイブ。
- ^ “政府宣布西九高鐵站及紅磡站口岸周四凌晨起暫時關閉” (中国語). 香港電台