広戸風
岡山県の津山盆地でみられる局地風
広戸風(ひろとかぜ、ひろどかぜ[1])とは、岡山県北東部の津山盆地、津山市(旧勝北町)から奈義町付近でみられる北よりの局地風。日本三大局地風の一つとされ[2]、おろし風の代表例に挙げられる[3]。この呼称は旧勝北町との合併前に存在した広戸村に由来する。
地形図。"那岐山"のすぐ下が広戸風が生じる地域。
日本海からの北よりの風が鳥取県・千代川流域のV字谷で収束され、那岐山山系を越えて南麓に吹き降ろすことで発生する。おおむね台風が近畿・中日本・関東地方を直撃するときに発生しやすく、大雨を伴うこともある。2004年の台風23号では奈義町で最大瞬間風速51.8m/sを記録し、山林の大規模な倒木や家屋に大きな被害が出た。台風や発達した低気圧が紀伊半島の遥か沖合いを通過する時に、遠く離れた好天の当地で発生することもある。また広戸風の発生時には那岐山に風枕と呼ばれる雲が観測されることが多く、古くから発生の目安とされている。
この地域の集落では、北側に「戸背(コセまたはコゼ)」と呼ばれる防風林を植えて広戸風に備えている家屋が多数見られる[4]。
脚注
編集参考文献
編集- 日下博幸・藤部文昭(編集代表) 編『日本気候百科』丸善出版、2018年。ISBN 978-4-621-30243-9。