広告電通賞
広告電通賞(こうこくでんつうしょう)は、優れた広告企画や広告表現技術を示した広告主を表彰する、日本の広告賞である。1947年に電通が創設した賞であるが、取り扱った広告代理店・制作会社を問わずすべての広告主が応募対象となる[1]。
歴史
編集電通では1930年より、同社創業30周年事業として新聞広告奨励賞を実施していたが、1942年より中断していた。これを、広告媒体を新聞・雑誌に広げるかたちで、1947年12月に広告電通賞を創設。翌年の、電通の創立記念日に当たる7月1日に第1回授賞式が行われた。第1回の電通賞は松下電器産業の「ナショナルパーソナルラジオ」、広告賞は「野村証券(『千円使っても千円残る』のキャッチコピー)」と、ハリキン興業の「ループ香水」であった。対象となる広告媒体は、1952年より屋外広告・ポスター・ラジオCM、1954年よりテレビCM、1955年よりPOP広告・ダイレクトメール、1965年より映画広告が加わった。その後もインターネットの普及などで随時改訂が行われている。1953年に、グランプリに相当する「総合広告電通賞」と、作家賞を新設。1956年11月からは、渋沢敬三を会長とする広告電通賞審議会を新設し、選考・審議・表彰の事業を引き継いだ[2]。
種目・部門
編集賞では、媒体ごとに新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・OOHメディア(交通広告・屋外広告)・デジタルメディア・アクティベーションプランニング(第68回まではプロモーション広告)・イノベーティブアプローチの8つの種目と、種目内に複数の部門を設けている。新聞広告の種目を例にとると、商品部門、サービス部門、教育・文化・娯楽部門、企業・公共部門Ⅰ、企業・公共部門II(段数により区分)、シリーズ部門、新聞企画部門の7部門それぞれに「最優秀賞」・「優秀賞」が選定され、部門の最優秀賞のうち1点が、種目ごとの1位に当たる「広告電通賞」に選抜される。各種目いずれかで広告電通賞を受賞し、かつその他の広告活動で顕著な実績を上げた広告主には「総合賞」が贈られる[3]。各受賞作品は、東京・汐留の電通本社ビルにあるアド・ミュージアム東京で、期間限定で展示される[4]。
受賞
編集第6回以降は総合賞の受賞企業を記載
- 第1回(1948年度) - 広告電通賞 松下電器産業「ナショナルパーソナルラジオ」[5]
- 第2回(1949年度) - 広告電通賞 丸見屋「ミツワクリーム」
- 第3回(1950年度) - 広告電通賞 松下電器産業「ナショナルアイロン」
- 第4回(1951年度) - 広告電通賞 銚子醤油「ヒゲタ醤油」
- 第5回(1952年度) - 新聞広告電通賞 森永製菓「森永ミルクキャラメル」
- 第6回(1953年度) - 森永製菓
- 第7回(1954年度) - 松下電器産業
- 第8回(1955年度) - ライオン歯磨
- 第9回(1956年度) - 三共
- 第10回(1957年度) - 松下電器産業
- 第11回(1958年度) - 日本ビクター
- 第12回(1959年度) - 壽屋
- 第13回(1960年度) - 松下電器産業
- 第14回(1961年度) - 東京芝浦電気・東芝商事
- 第15回(1962年度) - 壽屋
- 第16回(1963年度) - 松下電器産業
- 第17回(1964年度) - 松下電器産業
- 第18回(1965年度) - トヨタ自動車工業・トヨタ自動車販売
- 第19回(1966年度) - サントリー
- 第20回(1967年度) - サントリー
- 第21回(1968年度) - サントリー
- 第22回(1969年度) - サントリー
- 第23回(1970年度) - 資生堂
- 第24回(1971年度) - サントリー
- 第25回(1972年度) - 松下電器産業
- 第26回(1973年度) - サントリー
- 第27回(1974年度) - サントリー
- 第28回(1975年度) - 松下電器産業
- 第29回(1976年度) - 松下電器産業
- 第30回(1977年度) - 松下電器産業
- 第31回(1978年度) - 松下電器産業
- 第32回(1979年度) - サントリー
- 第33回(1980年度) - サントリー
- 第34回(1981年度) - サントリー
- 第35回(1982年度) - 松下電器産業
- 第36回(1983年度) - サントリー
- 第37回(1984年度) - 松下電器産業
- 第38回(1985年度) - 松下電器産業
- 第39回(1986年度) - 松下電器産業
- 第40回(1987年度) - 松下電器産業
- 第41回(1988年度) - 松下電器産業
- 第42回(1989年度) - 松下電器産業
- 第43回(1990年度) - 松下電器産業
- 第44回(1991年度) - 松下電器産業
- 第45回(1992年度) - 松下電器産業
- 第46回(1993年度) - 東芝
- 第47回(1994年度) - 松下電器産業
- 第48回(1995年度) - 松下電器産業
- 第49回(1996年度) - 松下電器産業
- 第50回(1997年度) - 松下電器産業
- 第51回(1998年度) - サントリー
- 第52回(1999年度) - サントリー
- 第53回(2000年度) - サントリー
- 第54回(2001年度) - 松下電器産業
- 第55回(2002年度) - 松下電器産業
- 第56回(2003年度) - 松下電器産業[6]
- 第57回(2004年度) - サントリー[7]
- 第58回(2005年度) - 松下電器産業[8]
- 第59回(2006年度) - パナソニック[9]
- 第60回(2007年度) - サントリー[10]
- 第61回(2008年度) - パナソニック[11]
- 第62回(2009年度) - サントリーホールディングス[12]
- 第63回(2010年度) - サントリーホールディングス
- 第64回(2011年度) - サントリーホールディングス
- 第65回(2012年度) - 東芝
- 第66回(2013年度) - サントリーホールディングス
- 第67回(2014年度) - 味の素
- 第68回(2015年度) - パナソニック
- 第69回(2016年度) - 大塚製薬
- 第70回(2017年度) - 大塚製薬
- 第71回(2018年度) - NTTドコモ[13]
- 第72回(2019年度) - パナソニック・福島民報社
- 第73回(2020年度) - サントリーホールディングス
- 第74回(2021年度) - サントリーホールディングス
- 第75回(2022年度) - サントリーホールディングス
- 第76回(2023年度) - 静岡市
脚注
編集- ^ 広告電通賞
- ^ 『電通66年』p212-213
- ^ 広告電通賞とは(2015年11月28日閲覧)
- ^ 『第68回 広告電通賞展』(pdf)(プレスリリース)アド・ミュージアム東京、2015年8月 。2015年11月28日閲覧。
- ^ 『電通66年』巻末資料p57-66(第1回~第21回)
- ^ 過去の企画展示 2003(アド・ミュージアム東京)
- ^ 過去の企画展示 2004(アド・ミュージアム東京)
- ^ 過去の企画展示 2005(アド・ミュージアム東京)
- ^ 過去の企画展示 2006(アド・ミュージアム東京)
- ^ 『第60回広告電通賞決まる』(pdf)(プレスリリース)電通、2007年5月28日 。2015年11月28日閲覧。
- ^ 『第61回広告電通賞決まる』(pdf)(プレスリリース)電通、2008年5月26日 。2015年11月28日閲覧。
- ^ 広告電通賞 入賞作品一覧(第62回~第68回)2015年11月28日閲覧
- ^ “広告電通賞”. adawards.dentsu.jp. 2019年1月16日閲覧。
参考文献
編集- 電通社史編纂委員会 編『電通66年』1968年12月25日。