山尾 幸久(やまお ゆきひさ、1935年12月10日[3][2] - 2021年11月4日[2])は、日本歴史学者。専門は日本古代史。立命館大学名誉教授[4]

山尾 幸久やまお ゆきひさ
人物情報
生誕 (1935-12-10) 1935年12月10日
満洲国の旗 満洲国 奉天省撫順市
死没 (2021-11-04) 2021年11月4日(85歳没)
誤嚥性肺炎
出身校 立命館大学
学問
研究分野 日本古代史
研究機関 立命館大学
指導教員 北山茂夫
称号 立命館大学名誉教授[1]
主要な作品 『日本古代王権形成史論』
『日本古代国家と土地所有』
『「大化改新」の史料批判』[2]
学会 日本史研究会史学研究会歴史学研究会、立命館人文学会、立命館史学会
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経歴

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旧満洲撫順出身[2]。後に、満洲での中国人との関わりや引き揚げ体験の記憶が、自らの歴史観に大きく影響していたと回顧している[2]

1962年立命館大学二部(夜間文学部日本文学専攻に入学[2]。中国文学専攻の白川静の授業を受講して学問に目覚めた[2]北山茂夫と出会ったことにより日本古代史を志し、一部(昼間)文学部日本史学専攻に転籍した[2]。卒業論文は「魏志倭人伝の史料批判」で、『立命館文学』267号(1967年)に掲載された[2]

大学院修士課程に進学し、1969年に立命館大学文学部助手となった[2]。そこから立命館大学に27年間勤務した[2]。北山の後任であったことから職責への意識が強く、講義準備を熱心に行っていた[2]。1996年、教育産業化した大学への批判意識から、定年の5年前で退職した[2]

晩年は、滋賀県大津市比良にある自宅で過ごした。

2019年4月に妻を亡くしてからは体調を崩して入院しており、2021年11月4日に誤嚥性肺炎で死去[2]

学説

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卑弥呼の時代(3世紀後半)の王権の誕生と、律令制形成期(7世紀後半)の天皇の出現と日本民族の形成、東アジア世界の国家権力の相互動態が主要な研究テーマであった[2]

著書『日本古代国家と土地所有』(吉川弘文館 2003年)で石母田正の古代国家論を全面的に批判した[5]。他に『古代最大の内戦 磐井の乱』(大和書房 1985年)などで、「磐井の乱」を継体天皇に対する反乱(通説)ではなく、近畿(つまり全国統一を果たしていない)と九州の国家同士の戦争と主張するなど、独自の視点を提示した。

略歴

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  • 1935年12月10日 満洲国撫順市で生まれる
  • 1962年 立命館大学二部文学部日本文学専攻に入学
  • 1966年 立命館大学文学部史学科卒業、大学院修士課程に進学
  • 1968年 同大学院文学研究科修士課程修了
  • 1969年 立命館大学文学部助手
  • 1996年 立命館大学文学部退職
  • 2021年11月4日 誤嚥性肺炎で死去

著書

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単著

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  • 『魏志倭人伝』(講談社現代新書講談社 初版1972年(新版1986年 ISBN 9784061488359
  • 『日本国家の形成』(岩波新書黄13) 岩波書店 1982年 ISBN 9784004200130
  • 『日本古代王権形成史論』 岩波書店 1983年 ISBN 9784000016377
  • 『日本古代の国家形成』(古代文化叢書) 大和書房 1986年 ISBN 9784479830092
  • 『古代の日朝関係』(塙選書93) 塙書房 1989年 ISBN 9784827330939
  • 『カバネの成立と天皇』(古代史研究選書) 吉川弘文館 1998年 ISBN 9784642021715
  • 『筑紫君磐井の戦争 : 東アジアのなかの古代国家』 新日本出版社 1999年 ISBN 9784406026932
  • 『日本古代国家と土地所有』(日本史学研究叢書) 吉川弘文館 2003年 ISBN 9784642023887
  • 『古代王権の原像 : 東アジア史上の古墳時代』 学生社 2003年 ISBN 9784311202704
  • 『「大化改新」の史料批判』 塙書房 2006年 ISBN 9784827312058
  • 『古代の近江 : 史的探究』サンライズ出版、2016年。ISBN 9784883255924NCID BB21154896 

共著

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  • 鈴木靖民 編『律令国家』有精堂出版〈論集日本歴史 2〉、1973年。 NCID BN02050184 
  • 上田正昭 編『津田左右吉』三一書房〈人と思想〉、1974年。 NCID BN03142255 
  • 日本史論叢会 編「県の史料について」『論究日本古代史』学生社、1979年。 NCID BN00398285 
  • 田村円澄、小田富士雄、山尾幸久『古代最大の内戦 磐井の乱』大和書房、1985年。ISBN 9784479840015NCID BN05377577 
  • 朝鮮史研究会 編「7世紀の東アジアと日本の国家形成」『古代の韓国と日本』学生社〈古代の日本と韓国1〉、1988年。ISBN 9784311420016NCID BN02761411 
  • 門脇禎二、水野正好 編「河内飛鳥と渡来氏族」『河内飛鳥』吉川弘文館〈古代を考える〉、1989年。ISBN 9784642021487NCID BN0396897X 
  • 後藤靖・山尾幸久編『洛西探訪 : 京都文化の再発見』 淡交社 1990年 ISBN 9784473011596
  • 水野正好 編「大津宮の興亡」『近江』吉川弘文館〈古代を考える〉、1992年。ISBN 9784642021821NCID BN07629422 
  • 上田正昭、坂元義種、直木孝次郎、本位田菊士、山尾幸久『古代天皇の謎』学生社〈エコール・ド・ロイヤル古代日本を考える18〉、1993年。ISBN 9784311410185NCID BN09722393 
  • 「筑紫王朝 : 国家形成の歴史的契機」『古代王朝をめぐる謎』学生社〈エコール・ド・ロイヤル古代日本を考える20〉、1995年。ISBN 9784311410208NCID BN13589989 
  • 「教科書に真実と自由を」連絡会 編「東アジアのなかで古代の日本をとらえる」『徹底批判『国民の歴史』』大月書店、2000年。ISBN 9784272520619NCID BA46814014 
  • オオヤマト古墳群シンポジウム実行委員会 編「古代日本の初期王権とオオヤマト古墳群」『オオヤマト古墳群と古代王権』青木書店、2005年。 NCID BA68388725 
  • 「ヤマト王権の胎動」『古墳のはじまりを考える』学生社、2005年。ISBN 9784311202803NCID BA72111419 
  • 山尾幸久 編「古代日本の国家と民族」『古代日本の民族・国家・思想』塙書房、2021年。ISBN 9784827313222NCID BC07730156 

出典

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  1. ^ 歴代教員”. www.ritsumei.ac.jp. 立命館大学日本史学専攻. 2022年3月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 榎英一「山尾幸久氏の訃」『日本歴史』第886号、2021年、122頁。 
  3. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.350
  4. ^ 『「大化改新」の史料批判』著者紹介
  5. ^ 『日本古代国家と土地所有』序章 論究の視点より