宮薗節
宮薗節(みやぞのぶし)は、「薗八節(そのはちぶし)」ともいい、江戸時代中期の宮古路薗八(みやこぢ そのはち。初代。生没年不詳)を祖とする浄瑠璃音楽の古曲[1]のひとつ。1993年(平成5年)4月15日に重要無形文化財に指定され、宮薗節保存会の会員が保持者として「総合認定」[2]された。永井荷風は小説『雨瀟瀟(あめしょうしょう)』の中で、薗八節は浄瑠璃の中でもっともしめやかであると評している[3]。
現存する浄瑠璃音楽
編集現在、浄瑠璃音楽として残っているものは、義太夫節[4]、常磐津節、清元節、河東節、一中節、宮薗節、新内節、富本節である。このほか半太夫節と外記節が河東節に、大薩摩節が長唄に、豊後節から分かれた繁太夫節が地歌に、それぞれ吸収されて特殊な一部分として残存している。
宮薗節の概略
編集宮薗節は、宮古路豊後掾の流れを汲む浄瑠璃音楽であり、豊後掾門弟の宮古路薗八(初代)が京都で創始したものである。二世宮古路薗八が「宮薗鸞鳳軒(みやぞのらんぽうけん)」と改名して以来「宮薗節」と呼称されるようになったとされる。代表曲は「鳥辺山」「桂川恋の柵」「夕霧由縁の月見」など。
重要無形文化財
編集宮薗節の指定要件は「宮薗節保存会会員が立語り、立三味線を演奏するものであること」である。
保持者
編集括弧内は芸名
- 三井千恵子(宮薗千恵)
- 山田喜代子(宮薗千加寿)
- 佐藤佐喜子(宮薗千碌)
- 菊池ふみ(宮薗千文)
- 斉木ツギ子(宮薗千祐三)
- 土屋秀子(宮薗千碌司)
- 早川志津(宮薗千愛)
- 藤井文子(宮薗千波)
- 風間杜美(宮薗千章)
- 上治玉子(宮薗千蔦)
- 吹井和子(宮薗千和恵)
宮薗節保存会
編集- 代表: 宮薗千章
- 団体住所: 東京都中央区銀座8―6―3 新橋会館内 財団法人古曲会
脚注
編集関連項目
編集参考文献
編集- 根岸正海「江戸の宮古路節 三世宮古路薗八と宮古路綱太夫 (付・宮古路節綜合年表補)」国立音楽大学音楽研究所年表