妹島和世
日本の建築家 (1956-)
妹島 和世(せじま かずよ、1956年10月29日[1] - )は、茨城県出身の日本の建築家(一級建築士)。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府Y-GSA教授、ウィーン応用芸術大学教授、ミラノ工科大学教授、大阪芸術大学客員教授、日本女子大学客員教授[2] を務める。プリツカー賞、日本建築学会賞、日本建築大賞他多数受賞。SANAAを西沢立衛と共同で運営する[2]。
妹島和世 | |
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生誕 |
せじま かずよ 妹島 和世 1956年10月29日(68歳) 日本・茨城県日立市 |
国籍 | 日本 |
出身校 | 日本女子大学大学院 家政学研究科住居学専攻修士課程修了 |
職業 | 建築家 |
受賞 |
吉岡賞(1999年) 日本建築学会賞(1998年、2006年) ベネツィア・ビエンナーレ金獅子賞(2004年) ショック賞(2005年) 日本建築大賞(2006年) プリツカー賞(2010年) 村野藤吾賞(2015年) |
所属 |
SANAA 妹島和世建築設計事務所 |
略歴
編集- 1956年 - 茨城県日立市[3]に生まれ育つ。父は日立製作所の技術者で、幼少期をその社宅で過ごした[4]。
- 1972年 - 日立市立助川中学校卒業[5]。
- 1975年 - 茨城県立水戸第一高等学校卒業[6]。
- 1979年 - 日本女子大学家政学部住居学科卒業[2]。
- 1981年 - 日本女子大学大学院家政学研究科住居学専攻修士課程修了[2]。同年、伊東豊雄建築設計事務所に入所する。在籍時には東京遊牧少女の包、神田Mビルなどを担当する。
- 1987年 - 妹島和世建築設計事務所を設立し、独立する[7]。
- 1988年 - 鹿島賞(SD Review 1988)受賞[8]。
- 1988年 - 東京建築士会住宅建築賞特別賞受賞[9]。
- 1989年 - 第6回吉岡賞受賞[10]。
- 1992年 - JIA(日本建築家協会)新人賞受賞[7]。
- 1995年 - SANAAを西沢立衛と共に設立する[7]。
- 1995年 - ケネス・ブラウン環太平洋建築賞受賞。
- 1998年 - 日本建築学会賞受賞[11]。
- 2002年 - American Academy of Arts and Lettersアーノルド・W・ブルンナー記念建築賞受賞。
- 2002年 - ザルツブルク建築賞ヴィンセンツオ・スカモッチ賞受賞。
- 2004年 - ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞受賞[12]。
- 2005年 - ショック賞(視覚芸術部門)受賞。
- 2005年 - 第46回毎日芸術賞建築部門受賞[12]。
- 2006年 - 日本建築学会賞2度目受賞[12]。芸術選奨文部科学大臣賞受賞[13]。日本建築大賞受賞。
- 2007年 - 王立英国建築家協会国際研究奨励賞(IFRIBA)授受。
- 2010年 - 女性として2人目、日本人女性としては1人目にして唯一(2016年現在)のプリツカー賞受賞[14]。フランスの芸術文化勲章オフィシエに叙される[7]。
- 2010年 - 第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展ディレクターを務める[7]。建築部門の最高責任者に日本人および女性の起用は初。
- 2012年 - 英国王立芸術大学(Royal College of Art)名誉博士(建築学)。
- 2013年 - 銀の定規賞受賞[15]。シュツットガルト大学名誉博士(建築学)。
- 2015年 - 村野藤吾賞受賞[16]。American Academy of Arts and Letters 外国人名誉会員。
- 2015年 - 政府が海外主要都市に創設する日本の対外発信拠点「ジャパン・ハウス(仮称)」の有識者諮問会議メンバー(建築分野)に選出された[17][18]。
- 2016年 - オックスフォード大学名誉学位授受[19]。紫綬褒章受章[20]。
- 2022年 - 第33回高松宮殿下記念世界文化賞建築部門受賞[21][22]。
- 2024年 - 文化功労者[23]。
作品
編集→「SANAA」も参照
年 | 名称 | 所在地 | 国 | 備考 |
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1988 | PLATFORM I | 千葉県勝浦市 | 日本 | 現存せず |
1990 | PLATFORM II | 山梨県北巨摩郡 | 日本 | 現存せず |
1991 | 再春館製薬女子寮 | 熊本県熊本市 | 日本 | |
カステルバジャック・スポーツ・ショップ | 神奈川県 | 日本 | 現存せず | |
1992 | N-HOUSE | 熊本県熊本市 | 日本 | |
1993 | パチンコパーラー I | 茨城県日立市 | 日本 | |
パチンコパーラー II | 茨城県那珂町 | 日本 | ||
1994 | 森の別荘 | 長野県茅野市 | 日本 | |
Y-HOUSE | 千葉県勝浦市 | 日本 | ||
調布駅北口交番 | 東京都調布市 | 日本 | 現存せず | |
1996 | パチンコパーラー III | 茨城県常陸太田市 | 日本 | 現存せず |
S-HOUSE | 岡山県岡山市 | 日本 | SANAAとして | |
岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー マルチメディア工房 |
大垣市 | 岐阜県日本 | SANAAとして 現存せず | |
1997 | 熊野古道なかへち美術館 | 和歌山県 | 日本 | SANAAとして |
M-HOUSE[24] | 渋谷区 | 東京都日本 | SANAAとして 現存せず | |
K社本社屋 | 茨城県 | 日本 | SANAAとして | |
1998 | ひたち野リフレ ひたち野うしく駅駅前利便施設 |
牛久市 | 茨城県日本 | |
1999 | オペーク・ギンザ | 中央区 | 東京都日本 | 外装デザイン |
飯田市小笠原資料館 | 長野県 | 日本 | SANAAとして | |
2000 | 岐阜県営住宅ハイタウン北方 I期+II期 | 北方町 | 岐阜県日本 | |
saito | 東京都渋谷区 | 日本 | ||
小さな家 | 東京都 | 日本 | ||
江山閣 | 水戸市 | 茨城県日本 | ||
hhstyle.com | 渋谷区 | 東京都日本 | ||
六ツ川地域ケアプラザ | 神奈川県 | 日本 | SANAAとして | |
ヴェニス・ビエンナーレ第7回国際建築展 日本館『少女都市』 会場構成 | ヴェニス | イタリア | SANAAとして | |
プラダ・ビューティ プロトタイプ デザイン | SANAAとして | |||
2001 | オペーク・ナゴヤ | 愛知県名古屋市 | 日本 | 現存せず |
プラダ・ビューティ 香港Lee Garden店 | 香港 | 中国 | SANAAとして | |
イスタンブール・ビエンナーレ ガーデンカフェ | イスタンブール | トルコ | SANAAとして | |
2002 | 朝日新聞山形ビル | 山形市 | 山形県日本 | |
2003 | 梅林の家 | 東京都 | 日本 | |
下御門ビル | 奈良県奈良市 | 日本 | ||
ISSEY MIYAKE BY NAOKI TAKIZAWA | SANAAとして | |||
ディオール表参道 | 東京 | 日本 | SANAAとして | |
2004 | 金沢21世紀美術館 | 石川県 | 日本 | SANAAとして |
2005 | 鬼石多目的ホール | 藤岡市 | 群馬県日本 | |
2006 | 有元歯科医院 | 岡山県 | 日本 | |
ツォルフェラインスクール | エッセン | ドイツ | SANAAとして | |
トレド美術館ガラスパビリオン | オハイオ | アメリカ | SANAAとして | |
ノバルティス製薬オフィスビル | バーゼル | スイス | SANAAとして | |
海の駅なおしま | 香川県 | 日本 | SANAAとして | |
2007 | スタッドシアター | アルメラ | オランダ | SANAAとして |
ニューミュージアム | ニューヨーク | アメリカ | SANAAとして | |
2008 | ガーデンコート成城 United Cubes | 世田谷区 | 東京都日本 | |
大倉山の集合住宅 | 横浜市 | 神奈川県日本 | ||
2009 | デレック・ラムNYショップ(クロスビーストリート)デザイン | ニューヨーク | アメリカ | SANAAとして |
サーペンタインパビリオン | ロンドン | イギリス | SANAAとして | |
ROLEXラーニングセンター | ローザンヌ | スイス | SANAAとして | |
2010 | 葉山の小屋[25] | 葉山町 | 神奈川県日本 | |
逢妻交流館 | 豊田市 | 愛知県日本 | ||
犬島「家プロジェクト」 | 岡山市東区 | 日本 | ||
デレック・ラムNYショップ(マディソンアヴェニュー)デザイン | ニューヨーク | アメリカ | SANAAとして | |
2011 | SHIBAURA HOUSE | 港区 | 東京都日本 | |
日立駅自由通路及び橋上駅舎[26] | 茨城県日立市 | 日本 | ||
石神井アパートメント | 東京都 | 日本 | SANAAとして | |
2012 | 土橋邸 | 東京都 | 日本 | |
ルーブル=ランス | ランス | フランス | SANAAとして | |
東松島市宮戸島のみんなの家 | 宮城県 | 日本 | SANAAとして | |
2013 | 京都の集合住宅 | 京都市 | 日本 | |
ヴィトラ・ファクトリー | ヴァイル・アム・ライン | ドイツ | SANAAとして | |
岡山大学Jホール | 岡山県 | 日本 | SANAAとして | |
2014 | ヨシダ印刷東京本社 | 東京都墨田区 | 日本 | |
總寧寺永代供養施設「無憂樹林」 | 千葉県市川市 | 日本 | ||
団子坂の家 | 東京都 | 日本 | ||
岡山大学パーゴラ | 岡山県 | 日本 | SANAAとして | |
宮戸島月浜のみんなの家 | 宮城県 | 日本 | SANAAとして | |
2015 | なかまちテラス 小平市立仲町公民館・仲町図書館 [27] |
東京都小平市 | 日本 | |
グレイス・ファームズ | ニューケイナン | アメリカ | SANAAとして | |
2016 | Spring[28] | 大子町 | 茨城県日本 | 茨城県北芸術祭出展作[29] |
すみだ北斎美術館[30] | 東京都墨田区 | 日本 | ||
直島港ターミナル | 香川県 | 日本 | SANAAとして | |
2017 | 荘銀タクト鶴岡 | 山形県 | 日本 | SANAAとして |
2018 | 大阪芸術大学アートサイエンス学科棟 | 河南町 | 大阪府日本 | |
西武鉄道001系電車「Laview」[31] | [32] | 日本 | ||
マルシャルファイヨール通りのアパートメント | パリ | フランス | SANAAとして | |
2019 | 日本女子大学図書館[33] | 東京都文京区 | 日本 | SANAAとして |
日立市市庁舎[34](日立市役所) | 茨城県 | 日本 | SANAAとして |
プロダクトデザイン
編集- MARUMARU(driade社から発売のスツールチェア)
- HANAHANA(driade社から発売のフラワースタンド)
- Flower / 椅子 / 2001
- Drop / 椅子 / 2004
メディア出演
編集映画
編集- 2020年 『建築と時間と妹島和世』 (監督:ホンマタカシ)
テレビ
編集脚注
編集- ^ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00678604
- ^ a b c d “本学卒業生 妹島和世氏が「建築界のノーベル賞」米プリツカー賞を受賞”. 日本女子大学 (2010年). 2016年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
- ^ “日立市新庁舎建設設計提案競技審査委員会(2次審査)を開催しました。”. 日立市. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “What does Sejima think?”. 日立市. 2023年1月15日閲覧。
- ^ “世界的に有名な建築家の妹島和世さんをお迎えして、妹島さんの母校の日立市立助川中学校で「先輩からのメッセージ講演会」が開催されました。”. Twitter. 茨城県. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “母校をたずねる:水戸一高 「スカイハウス」に再会するまで…消去法だった建築への道 建築家・妹島和世さん=1974年度卒”. 毎日新聞. 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b c d e “建築家の妹島和世氏が芸術文化勲章を受章”. 駐日フランス大使館 (2019年1月17日). 2021年6月29日閲覧。
- ^ 二川幸夫 編『妹島和世読本-1998』エーディーエー・エディタ・トーキョー、1998年、333頁。ISBN 4871406504。
- ^ “(PDF)東京建築士会主催 / 「住宅建築賞」入賞作品一覧”. 東京建築士会. 2023年1月9日閲覧。
- ^ 「第6回吉岡賞/JAhouse新人賞」『新建築住宅特集』第42号、新建築社、1989年10月、23頁。
- ^ 『日本経済新聞』2006年2月6日夕刊18頁「建築家ユニットSANAA快進撃――建築評論家五十嵐太郎氏(夕刊文化)」(日本経済新聞社)
- ^ a b c 『毎日新聞』2010年3月29日夕刊社会面8頁「米・プリツカー賞:「建築のノーベル賞」に妹島さん、西沢さん 共同作業に評価」(毎日新聞東京本社)
- ^ 「芸術選奨文科大臣賞、「爆笑問題」ら18人に」『朝日新聞』2006年3月16日、朝刊。
- ^ 『産経新聞』2010年4月13日朝刊特集面「「建築界のノーベル賞」米プリツカー賞受賞 妹島和世氏、西沢立衛氏」(産経新聞大阪本社)
- ^ “2013年の「銀の定規賞」 卒業生 妹島和世さんと西沢立衛さんの共同事務所「SANAA」が受賞”. 日本女子大学 受賞・活躍紹介サイト. 日本女子大学. 2023年7月24日閲覧。
- ^ “受賞者、受賞作品、選考委員一覧”. The MuranoTogo Prize|村野藤吾賞. 村野藤吾記念会. 2023年1月10日閲覧。
- ^ 有識者に別所哲也氏らジャパン・ハウスで初会合 – ニッケイ新聞WEB(共同)、2015年7月28日
- ^ ジャパン・ハウス(仮称)有識者諮問会議メンバーリスト 平成27年7月27日現在 - 外務省
- ^ “日本人建築家 名誉博士”. University of Oxford Japan Offece. オックスフォード大学日本事務所 (2016年5月20日). 2023年7月24日閲覧。
- ^ “秋の褒章、772人20団体の受章決まる”. 朝日新聞デジタル (2016年11月2日). 2016年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
- ^ “世界文化賞に妹島和世さんら 「頑張って建築をつくっていく」”. 朝日新聞デジタル (2022年9月15日). 2022年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月16日閲覧。
- ^ “高松宮殿下記念世界文化賞、独映画監督のヴィム・ヴェンダースさんら5部門6人が受賞”. 読売新聞オンライン (2022年9月15日). 2022年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月16日閲覧。
- ^ “文化勲章・功労者の業績 2024年度”. 日本経済新聞 (2024年10月25日). 2024年10月25日閲覧。
- ^ 井上文人 (2018). “現代文化と自我の変容Ⅷ:SANAAと現代建築”. 名古屋短期大学研究紀要 (56): 151-161. ISSN 0286-777X.
- ^ “葉山の小屋”. 新建築データ. 株式会社新建築データ. 2024年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ “日立駅”. JR東日本建築設計. 2023年1月5日閲覧。
- ^ 千葉菜々「(建モノがたり)なかまちテラス東京都小平市」『朝日新聞』2023年7月18日、夕刊、2面。
- ^ “ケンポク会場に、妹島和世の足湯ができました!”. Casa BRUTUS. 2023年1月5日閲覧。
- ^ KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭>作品一覧>Spring
- ^ “すみだ北斎美術館 - 建築”. すみだ北斎美術館. 2023年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月9日閲覧。
- ^ 新型特急車両「Laview」2019年3月デビュー! - 西武鉄道プレスリリース、2018年10月29日発信、同日閲覧。
- ^ 所在地欄はその概念自体がない鉄道車両であるため省略。
- ^ “目白キャンパス施設紹介”. 日本女子大学. 2023年1月10日閲覧。
- ^ “2018講演会「環境と建築」”日立市新庁舎(2019年)””. 東西アスファルト事業協同組合. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “NHKアカデミア 妹島和世 建築家 "揺るぎない知性"との出会い”. NHK (2022年9月27日). 2024年1月13日閲覧。
- ^ “妹島和世「西武鉄道・特急Laview」×田中卓志”. 新美の巨人たち. テレビ東京 (2023年7月8日). 2023年7月22日閲覧。
外部リンク
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