女優霊
『女優霊』(じょゆうれい)は、1996年公開の日本のホラー映画。
女優霊 | |
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監督 | 中田秀夫 |
脚本 | 高橋洋 |
製作 |
仙頭武則 小林広司 柘植靖司 大澤茂樹 |
出演者 |
柳ユーレイ 白島靖代 石橋けい 大杉漣 菊池孝典 |
音楽 | 河村章文 |
撮影 | 浜田毅 |
編集 | 掛須秀一 |
製作会社 | WOWOW、バンダイビジュアル |
配給 | ビターズ・エンド |
公開 | 1996年3月2日 |
上映時間 | 76分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
2010年にはリメイク版のアメリカ映画『THE JOYUREI 女優霊』が制作されている。
概要
編集WOWOW製作による「J・MOVIE・WARS3」のうちの1作。映画撮影所を舞台に、過去のフィルムに写っていた女優の幽霊にまつわる怪異を描いたホラー映画作品。後にジャパニーズホラーブームの先駆者として評価されることになる映画監督の中田秀夫と脚本の高橋洋が、初めて手を取り合って制作した映画作品である[1]、中田にとっては映画監督としてのデビュー作である[2][3](ただし2人は『女優霊』に先立ち心霊実話物『呪死霊』を制作している[4])。
監督の中田は、ホラー映画という商業性の中に本作に自分が育った映画撮影所への思い入れを盛り込み[2]、高橋に提案した[4]。実際の映画の内容も、映画撮影所を舞台に、新人の映画監督が処女作の撮影中に怪異に巻き込まれるという内容になっている。
脚本を担当した高橋は、子供の頃にテレビで題名の分からないホラー映画の予告編を見た経験をモチーフとして本作に反映させている。この題名不詳の映画はかつてアメリカ合衆国で制作されたものの封印作品となり公開されず、後に日本で一度だけテレビ放送されたという映画作品『シェラ・デ・コブレの幽霊』であると言われている[3][5][6]。また高橋は、アメリカ合衆国のSFドラマシリーズ『アウター・リミッツ』の「これは、あなたのテレビの故障ではありません」というナレーションに象徴される、テレビに何か不思議なものが映ってしまうのではないかという子供の頃の恐怖も本作に影響していると回想している[4]。
本作は中田監督作品の初期の傑作であるとも[7]、後の「ジャパニーズホラーの礎」であるとも評されることになるが[1]、本作の公開当時には「怖くない」という否定的な評価も寄せられた[8]。中田と高橋は後に、鈴木光司の小説を原作とした1998年の映画化作品『リング』で世界的な反響を得るが、同作に際しては『女優霊』には好意的ではない反応を示した観客を今度こそ怖がらせてやろうという意気込みが込められることになる[8]。『女優霊』でも用いられたモチーフやその反省点は、『リング』における原作にはない映画独自のアレンジとして盛り込まれており、例えば『リング』で怪異の元凶として登場する山村貞子の映画版における描写には、『女優霊』では幽霊の顔を見せすぎたという反省などが反映されている[8]。『女優霊』に登場する髪の長い女優の幽霊は、映画版『リング』における貞子の原形であるとも言われる[1]。
高橋は撮影済みのラストシーンは撮影済みであったが、仕掛けがうまく映らなかったためお蔵入りにしたと述べている[4]。また1999年には高橋洋が続編の『女優霊2』を監督予定であったが、製作中止となった。
ストーリー
編集新人映画監督の村井俊男は自身のデビュー作を製作中、その作品のカメラテスト中に別の映像が紛れていることに気づく。村井はその不気味な映像に何故か見覚えがあるのであった。それ以降、撮影現場では奇妙な現象が起こり始める。
キャスト
編集スタッフ
編集ハリウッドリメイク版
編集THE JOYUREI 女優霊 | |
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Don't Look Up | |
監督 | フルーツ・チャン |
脚本 | ブライアン・コックス[要曖昧さ回避] |
製作会社 | Distant Horizon Ltd & Action5.Inc |
配給 | インターフィルム |
公開 |
2010年7月27日(DVD発売) 2010年11月23日(DVD発売) 2011年1月8日 |
上映時間 | 86分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
ハリウッドリメイク版で邦題は『THE JOYUREI 女優霊』。「フィルムに写った謎の女性」といったキーワードは共通しつつも、原作である日本映画版とは異なったストーリーとなっている。日本公開に合わせ、日本オリジナルも同時上映された。
キャッチコピーは「それは けっして みてはならないもの…」。
キャスト
編集- Lila Kis - Rachael Murphy
- Marcus Reed - リシャッド・ストゥリック
- Josh Petri - ヘンリー・トーマス
- Romy Bardoc - カルメン・チャップリン
- Davis - ケヴィン・コリガン
- Tami - ダニエラ・シー
- Matya - ゼルダ・ウィリアムズ
- Béla Olt - イーライ・ロス
- Grigore - ロテール・ブリュトー
- Olt's Cameraman - Ben DiGregorio
- Claire - アリッサ・サザーランド
- Beng - Robert Towers
- Romanian Grip - Jack Dimich
- Anca - Elena Satine
- Peter - Brian Henderson
スタッフ
編集- 監督 - フルーツ・チャン
- 脚本 - ブライアン・コックス[要曖昧さ回避]
- 撮影 - プーン・ハンサン
- 音楽 - トニー・ハメック
- 編集 - クリストファー・T・ライト
- 美術 - マーク・グレビル
- 特殊効果 - スコット・オオシタ
- 配給 - インターフィルム
コミカライズ
編集脚注
編集- ^ a b c “貞子の原型が登場!?「リング」コンビによる伝説のJホラー「女優霊」待望の初DVD化!”. ハリウッドチャンネル. ハリウッドチャンネル株式会社 (2010年6月14日). 2011年7月13日閲覧。
- ^ a b 中田秀夫(インタビュアー:原田優輝、須永貴子)「HIDEO NAKATA」『PUBLIC-IMAGE.ORG』、2009年3月19日 。2011年7月13日閲覧。
- ^ a b “監督:中田秀夫 脚本:高橋 洋 伝説のJホラー映画「女優霊」初DVD化決定!!”. シネマトピックスオンライン. (2010年6月14日) 2011年7月13日閲覧。
- ^ a b c d 高橋洋:『女優霊』について(漫画版『女優霊』あとがき)
- ^ 小梶勝男. “批評 シェラデコブレの幽霊”. 映画ジャッジ!. アップリンクス. 2011年7月13日閲覧。
- ^ 高橋洋(インタビュアー:国領雄二郎)「『リング』、『女優霊』の脚本でJホラー像を確立した高橋洋監督の『恐怖』(2/2)」『マイコミジャーナル』、2010年12月20日 。2011年7月13日閲覧。
- ^ 松岡美樹 (2006年11月22日). “リングの中田監督によるホラー映画「女優霊」”. RBB TODAY (イード) 2011年7月13日閲覧。
- ^ a b c リング研究会編 編『冒険者ガイド ループ界』角川書店、1998年9月5日、76-80頁頁。ISBN 4-04-883544-0。